ふるさと納税の寄付金は何に使われる?知っておきたい寄付金の使い道

ふるさと納税は、寄付先から高級和牛、地産の魚介類、工芸品など魅力的な返礼品を受け取れることから人気があります。

しかし、ふるさと納税の魅力は返礼品だけではありません。本来ふるさと納税制度は、地域を活性化させるための財源を確保しようとする手段であり、ふるさと納税の利用者は、魅力的な返礼品という経済的なメリットを受けるのと同時に、地域活性化に貢献することができます

今回は、ふるさと納税の寄付金の使い道を通して、ふるさと納税が具体的にどのように地域に役立っているのかを解説します。

目次

  1. ふるさと納税と地域活性化とのつながり
    1-1.ふるさと納税の成り立ち
    1-2.寄付金で地域活性化?
    1-3.ふるさと納税の正しい使い道とは
  2. どのように寄付先を選べば良いか?
    2-1.使い道から探す
    2-2.返礼品を選ぶ
    2-3.税額控除の手続きをする
  3. まとめ

1 ふるさと納税と地域活性化とのつながり

ふるさと納税では豪華な返礼品が注目されることが多いため、その魅力が先行している側面もありますが、本来はまちづくりの財源を確保するために、自治体が寄付を募るための制度です。納税者は特定の自治体に寄付することで確定申告した際に所得税と住民税から寄附金額の一部が控除されます。

そして集められた寄付金は、地域の課題を解決するために様々な用途に使われ、地域の活性化につながっていくことが期待されます。

まずは、ふるさと納税の成り立ちや理念を理解し、それがどのように地域活性化につながっていくのかについて見ていきます。

1-1 ふるさと納税の成り立ち

多くの人々が進学や就職を機に地方(ふるさと)を離れて都会へと移住して生活している現状を背景に、ふるさと納税制度は平成21年度に導入されました。

自治体のまちづくりに必要な財源のうち、大部分を占める住民税は、自動的に居住している自治体に納めることになります。つまり、都会に移住した人にとって自分が納税したお金が故郷(生まれ育ったまち)のために使われることはほとんどありませんでした。

そこで現在居住している自治体に限らず、生まれ育った故郷のために居住自治体に本来納めるはずの税金の一部を寄付できる仕組みとしてふるさと納税制度は創設されました。

さらにふるさと納税の寄付先は「生まれ育ったまち」だけではなく、好きな自治体に寄付をすることが可能です。

ふるさと納税制度の実態は「ふるさと」である必要は無く、また「納税」ではなく寄付という意味合いが強くなっています。

1-2 寄付金で地域活性化?

自治体は、ふるさと納税によって集めた寄付金を活用して様々な事業を行います。地域によってそれぞれが抱えている課題は異なるため、その用途は多岐にわたります。

例えば全国的に多くの自治体で問題となっている課題を挙げると、商店街のシャッター街化に見られるような「商業圏の縮小」「雇用の縮小」「相続されない空き家の増加」などです。

少子高齢化、人口減少から派生する社会問題は、若年層が都会に流出してすることで一層加速して負のスパイラルを生み出しています。

このような課題を解決して地域を活性化するために、各自治体は創意工夫して若年層を呼び込むために地域の魅力を発信したり、子育て支援施策に力を入れたり、IT技術を積極的に取り入れたりしています。

そして地域活性化の諸政策に取り組むためには財源が必要であり、政府はふるさと納税を活用して財源確保に努めているわけです。

1-3 ふるさと納税の正しい使い道とは

各自治体は寄付金を集めようと豪華な返礼品を用意してアピールしていますが、返礼品競争は総務省により「還元率は3割」までと見直されました。

また、本来の趣旨に立ち返って、地域の課題とその解決に対するビジョンをしっかりと示し理解と賛同を得ていく、との見解も示されました。

このような経緯から各自治体のウェブサイトや、ふるさと納税のポータルサイトでは、各自治体のふるさと納税の使い道が事前に示されています。ふるさと納税の利用者は地域の課題を知り、自分の納めた税がどのように使われるのかを知ることができます。

このように地域活性化のための力になれることを具体的に実感でき、地域を応援したい気持ちを目に見える形になっている現在は、ふるさと納税の本来の姿といえるでしょう。

2 どのように寄付先を選べば良いか?

では地域課題や寄付の使い道を知る方法、具体的なふるさと納税の寄付の仕方を見ていきましょう。

2-1 使い道から探す

ふるさと納税を検討する際には、「さとふる」や「ふるなび」などのポータルサイトを経由して探すのが一般的です。

例えば「さとふる」では、返礼品の品物をジャンルや価格ごとに探せますが、トップページの最下段にある「使い道から探す」というメニューから探すことができます。

さとふる「ふるさと納税を使い道から探す」(さとふる「ふるさと納税を使い道から探す」)

「ふるさと納税を使い道から探す」の項目では、具体的な使い道ごとに該当する自治体の施策が整理されています。例えば、「教育・人づくり」「地域・産業振興」「こども・子育て」といった地域課題ごとにまとめられています。

「教育・人づくり」をクリックすると、北海道から沖縄まで、ふるさと納税を活用して、教育や人材育成のためにどのような施策を展開し、事業を実施するのかについて自治体ごとに一覧で表示されます。また、ここから該当自治体のウェブサイトに移り、詳細を確認することもできます。

自治体の施策・事業に賛同し、応援したい自治体が決まれば寄付額を決めて返礼品を選びます。

応援する自治体が決まっている場合

生まれ故郷や、かつてお世話になったことのある自治体など既に応援したい自治体がある程度決まっている場合には「地域から探す」をクリックして、該当する都道府県を選ぶことができます。

さとふる「ふるさと納税を地域から探す」(さとふる「ふるさと納税を地域から探す」)

都道府県ごとにその地域の特徴や返礼品が記載されており、好きな自治体をクリックすると、より詳しい説明やふるさと納税の使い道を確認することができます。
自分が寄付しようとしている自治体の使い道に賛同できるかどうかを検討した上で寄付できる仕組みとなっています。

2-2 返礼品を選ぶ

寄付を行う自治体を決めた後は、寄付額を決め、返礼品を選びます。

選んだ自治体名をクリックすると、その自治体が用意している返礼品が、必要な寄付額と併せて列挙されており、寄付者はこの中から好きなものを選ぶことができます。

さとふるのお礼品
石川県白山市のお礼品 (さとふる「石川県白山市」の例)

ふるさと納税制度は、実際に寄付を行った金額から2000円を引いた金額を所得税と住民税から控除されます。
つまり、納税者の立場からすれば、いずれにしても納めるはずだった税金の一部分を好きな自治体に回すことができるため、納税者の負担は増減しません。2000円の自己負担は発生しますが、それ以上の価値がある返礼品を受け取ることができます。

なお税額控除には限度があり、限度額は寄付者の所得水準によって決まります。総務省のポータルサイトでは、簡単に限度額を計算できるエクセルシートが提供されています。寄付額を決める際は自身の控除限度額を確認したほうが良いでしょう。

もちろん限度額を超えて寄付しても問題は全くありません。超過分は税額控除を受けられないため自己負担になるだけですが、自己負担を増やしてでも応援したい地域がある場合は、積極的に寄付しても良いでしょう。

2-3 税額控除の手続きをする

寄付後に税額控除を受けるためには、原則として確定申告が必要です。寄付をした翌年の3月15日までに、寄付先の自治体が発行した証明書や受領書を準備して、税務署で手続きをすることになります。

通常、確定申告の手続きは時間と手間を要しますが、普段確定申告する必要がないサラリーマンなどは税額控除の手続きを簡略化した「ワンストップ特例制度」が利用することができます。

「ワンストップ特例制度」とは、サラリーマンなどが確定申告を行わなくても税額控除を受けられるようにするための仕組みです。寄付先が5自治体以内であれば、利用することができます。ただし、寄付する際にワンストップ特例申請書を寄付先の自治体に提出する必要があります。

手続き後は、寄付先の自治体から居住自治体に控除に必要な情報が連携され、自動的に翌年度の住民税から減額されることになります。

3 まとめ

ワンストップ特例制度の導入により控除を受ける際の確定申告がなくなったため、ふるさと納税へのハードルはさらに下がりました。ふるさと納税が初めての方や過去に行ったことがある方は、今年は使い道に着目した寄付先選びを実践してみてはいかがでしょうか。

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HEDGE GUIDE 編集部 ふるさと納税チーム

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