2018年度の税制改正で、年収850万円超の会社員の基礎控除上限が平成32年1月から給与所得控除の上限を220万円から195万円に引き下げられる見込みとなりました。このニュースを見て「自分は850万円以下だから大丈夫」と思った方、要注意です。実は、今後の税制改正においては会社員の所得に対して増税される可能性があるのです。
この記事では、今回の税制改正の背景を整理した上で、将来の増税に向けて取り組むべきポイントを検討していきたいと思います。
- 1.税制改正の背景にある「働き方改革」の推進
- 1-1.今回の改正では、フリーランスや個人事業主が減税に
- 1-2.着々と進められている「働き方改革」
- 1-3.今後は会社員に対する優遇税制が見直される可能性も
- 2.将来の増税に向けて今から取り組めることは?
- 2-1.支出を減らす
- 2-2.収入を増やす
- 2-3.会社員だからこそできる副業とは?
- 3.まとめ
1.税制改正の背景にある「働き方改革」の推進
1-1.今回の改正では、フリーランスや個人事業主が減税に
今回の税制改正では年収850万円以下の会社員は所得税が現状維持となりましたが、見逃せない変化が一つあります。それは、会社員の給与所得控除を10万円引き下げて、会社員以外も含む全体の基礎控除が10万円引き上げられたという点です。
結果としては、給与控除が10万円減って基礎控除が10万円増えたので増税とはならなかったのですが、個人事業主やフリーランスにとっては、基礎控除が10万円増えたので減税となりました。つまり、今回の税制改正では、個人事業主やフリーランスが優遇されたことになります。
1-2.着々と進められている「働き方改革」
今回の改正の裏にある考えが「働き方改革」だと言われています。働き方改革のテーマにはライフワークバランスの推進や正規と非正規の格差解消、テレワーク(自宅など企業外で作業すること)の推進などがありますが、そのなかのテーマの一つに副業の推進というものがあります。
今まで企業の就業規則は終身雇用などを念頭に置いて作られていたため、原則的に副業が禁止されていました。しかし、昔よりも残業時間が減少して所得が全体的に下がるなかで、副業などで新たに収入を作りたいというニーズや、別の仕事でスキルアップをして所得を上げたいというニーズが高まっており、テレワークなど多様な働き方も広く世間に認められるようになってきたことも相まって、政府としても今までの「原則的に副業を禁止する」というスタンスを変更する必要が出てきたというわけです。
1-3.今後は会社員に対する優遇税制が見直される可能性も
副業や多様な働き方が推進されていくと、フリーランスや個人事業主が増えていくことになりますので、働き方改革の取り組みに一貫性を持たせるために、税制においても今回の改正のようにフリーランスや個人事業主が不利を受けることの無いように調整が適宜行われていくと考えられます。
ただ、高齢化が進み社会保障料が上がっていくと予測されるなかで、政府としても税収を減らすわけにはいかないので、これまで給与控除や退職金などで所得税上の優遇を受けてきた会社員の扱いが見直される可能性が高いと考えられるのです。
たとえば、退職金に関する控除については勤続年数20年までは1年につき40万円、勤続年数20年超の部分については1年につき70万円と勤続が長い方が優遇されていますが、退職金制度の導入企業数の減少、平均勤続年数の低下、働き方の多様化などを背景として、過去の税制調査会などにおいても勤続年数20年超の控除額を引き下げるといった退職所得控除の見直しを検討するべきではという意見も出てきており、今後どこかのタイミングで見直しが入る公算は高いと言えるでしょう。
2.将来の増税に向けて今から取り組めることは?
将来の増税に対して、今から取り組めることは「支出を減らす」ことと「収入を増やす」ことの2点となります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.支出を減らす
まずは、支出を減らすという点については、以下のような取り組みが可能です。
- 【食費】外食を控えて自炊の割合を増やす
- 【通信費】携帯のプランを見直す、不要な月額サービスを見直す
- 【保険料】生命保険などのプラン見直し・解約
- 【自動車】自動車関連の費用が多い場合は売却も検討する
- 【住居費】給与に対する家賃の比率が高い場合は引越しも検討
夫婦で重複して保険料を支払っている場合や、使っていない月額サービスなどがある場合などには、比較的容易に支出を減らすことが可能です。ただ、支出を減らすということは、現状の生活を切り詰めていく取り組みとなるため、支出面から改善できる金額は月で数千円から数万円程度と考えておいたほうが良いでしょう。
2-2.収入を増やす
収入を増やす主な選択肢としては、「本業の給与を増やす」といいう選択肢と「副業などで収入源を増やす」という2つが考えられます。
本業からの給与が増えればそれに越したことはありませんが、残念ながら日本全体の平均給与額は中長期で減少傾向にあります。以下は、直近20年間の民間の平均給与額の推移(国税庁調べ)ですが、リーマンショックのあった平成21年に大きく給与額が減少して以降、多少は回復してきたとはいえ、10年前・20年前と比べると依然として低水準が続いており、日本の企業全体が給与アップには慎重な姿勢を見せていることが分かります。
そういった厳しい状況の中で期待されているのが、副業による収入増です。ただ、副業で月に10万円程度のまとまった収入を作るには、平日夜や土日の時間をかなり割かなければならず、本業との両立が難しいという課題があります。
たとえば、元手が不要で始めやすいクラウドソーシング(ネット上での仕事の受発注)という副業は、記事作成(ライティング)など専門性があまり高くない作業の発注が多いため、よほど作業の処理スピードが早くなければ1時間で500円~1000円程度の収入になるケースが多いでしょう。
クラウドソーシングでは、会社員以外にも、専業主婦や学生、高齢者などがスキマ時間に作業をこなすといったケースも多いため、低い金額であっても受発注でも成立してしまうという背景があります。
2-3.会社員だからこそできる副業とは?
前述のクラウドソーシングを含めて、数ある副業の中で会社員から人気の高い副業の一つが不動産投資と言われています。なぜでしょうか?
クラウドワークスの例でも見たように、副業を始めるハードルが低いと、その副業に参入する人の数も多くなるため、サービスの供給者が多くなってしまい、サービスの価格は下がる流れとなってしまいます。
不動産投資が会社員にとって有利な副業と言えるのは、不動産投資を始める上で必要となるローンの審査が、会社員でないと下りづらいためです。主婦や学生、高齢者、個人事業主は、毎月安定した給与を得ることが難しいため、返済能力が低いとみなされてしまい、大きな金額の融資を受けることができません。
その点、会社員は社会的な信用が大きく、勤続年数が3年以上あり、他に借入が少ないといった方であれば、かなりの金額まで不動産の融資を引き出すことが可能です。たとえば、シノケンプロデュースという融資実績の豊富な不動産投資会社では、自己資金100万円の会社員の方が、1億円以上の融資を引き出せたというケースもあります。
不動産投資の年間の利回りが5%~7%程度だとすると、1億円の物件から得られる年間収入は500万円~700万円に上ります。もちろん、管理費やローンの返済なの経費を差し引く必要がありますので、実際に手元に残る収入はそれよりも少なくなるものの、クラウドソーシングなどの副業からの収入と比べれば、収入の桁が異なると言えるでしょう。
また、不動産投資が会社員から副業として選ばれているのは、収入面だけではありません。不動産購入後はほとんど手間をかけずに運用できるという、時間面においても大きな特長があります。入居者の募集から審査・契約・入宮中のクレーム対応などまで、不動産を管理する会社に丸投げをすることができてしまいますので、オーナーとしてはほとんどやることがありません。
このように不動産投資は、会社員という社会的信用の高い職業属性をフルに活用することができる副業であり、収入面・時間面で大きな魅力がある選択肢です。もちろん、投資である以上はリスクもありますので、無料の不動産投資セミナーや資料請求などを通して、正しい知識を身につけてから検討してみると良いでしょう。
3.まとめ
今後の税制改正では、所得税に関する控除の見直しや消費税率のアップなど、増税を想定して準備をすることが大切です。支出の見直しや本業からの収入アップを目指しつつ、不動産投資のような副業を始めることも視野に入れて、積極的に情報収集やアクションを取っていきましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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