物件を購入する際には、新築か中古か、区分か一棟か、都心か地方かといったように、どちらを選べばよいのか迷うポイントが数多くあります。
ここでは、以下のような不動産投資の際によく比較されるポイントのメリット・デメリットを整理して行きたいと思います。
目次
新築物件・中古物件のメリット・デメリット
不動産を購入する際に、まず悩むのは新築と中古のどちらを買えばいいのかという疑問です。新築物件は価格が中古と比べて高くなりますが、そのぶん購入後の入居が見込みやすく、保証なども充実しています。
中古物件では、取得時の価格は安い代わりに、融資条件が厳しくなることや賃料が低くなること、修繕費などのランニングコストがかかるなどのデメリットがあるため、一長一短というイメージになります。
できるだけ高い入居率で安定的な賃料を得たい場合やフルローンで取り組みたい場合、ローン完済まで長期で物件を持ち続ける場合などは新築を、多少の空室リスクはあっても高い利回りを狙っていきたいという場合や自己資金に多少の余裕がある場合、中古物件の良し悪しを見極める知識がある場合などは中古を検討してみるのが良いかと思います。
比較項目 | 新築物件 | 中古物件 |
---|---|---|
物件価格 | ×物件の取得価格が高い | ◎物件価格が新築より2割〜3割安い |
仲介手数料 | ◎購入手数料がかからない | ×物件価格×3%+6万円が上限でかかる(仲介を利用した場合) |
利回り | ×物件の利回りが低い(都内の利回り例:3%〜5%) | ◎物件の利回りが高い(都内の利回り例:4%〜6%) |
賃料価格 | ◎新築プレミアムで高く設定できる | ×築年数が立つほど賃料は低くなる |
賃料下落率 | ×<購入時からの家賃の下落率が大きい | ◎購入時からの家賃の下落率が少ない |
ローン | ◎ローン期間が長い(最長35年) | ×ローン期間が短くなりやすい(20年~30年:築年数などに応じて変動) |
担保余力 | ○担保余力が高い | ×担保余力が低い |
償却期間 | △減価償却期間が長い(購入が節税目的の場合はデメリット) | △減価償却期間が短い(購入が節税目的の場合はメリット) |
設備 | ○最新設備が設置されている | ×設備が古くなっている |
耐震性 | ◎新耐震基準を満たしている、耐震だけでなく制振システムが導入されていることも | ×1981年以前は旧耐震 |
維持コスト | ○修繕費などが少なくて済む | ×設備などの修繕費がかかる(設備の故障、大規模修繕など) |
瑕疵担保責任 | ◎瑕疵担保責任の保証期間が10年 | ×瑕疵担保責任は購入後数ヶ月~1年程度 |
区分投資・一棟投資のメリット・デメリット
新築か中古かが決まったあとに迷うのは、区分投資(マンション)か一棟投資(アパート)かというポイントです。
区分投資は少額でも始めやすいというメリットがありますが、次の投資の際に担保評価が出づらく一棟投資に比べて投資効率が良くないというデメリットがあります。
一方で、一棟投資は物件価格や初期費用が高い代わりに、区分投資よりも利回りが高く、担保評価がつきやすい、出口戦略が豊富といったメリットがあるため、大きな規模で投資を進めていきたいという方に向いている投資です。
比較項目 | 区分投資 | 一棟投資 |
---|---|---|
物件価格 | ◎物件の取得価格が低い(都内の新築:2,000万円~5,000万円程度) | ×物件の取得価格が高い(都内の新築:5,000万円~1億円程度) |
利回り | ×利回りが低い(都内の新築:3%〜5%) | ◎利回りが高い(都内の新築:5%〜7%) |
賃料以外の収入 | ×なし | ○あり(自動販売機の収益など) |
立地 | ◎駅徒歩10分以内の物件が多い | ×駅から遠い物件なども多い |
担保評価 | ×一棟に比べて担保評価が低い | ◎区分に比べて担保評価が高い |
融資金利 | ◎低金利の条件を引き出しやすい(1.5%~3.0%程度) | ×区分に比べて金利が高い(1%後半~4.5%程度) |
融資期間 | ◎長期間の融資を引きやすい(30年~35年) | ×区分に比べて融資期間が短い(20年~30年) |
修繕費用 | ○修繕費用の規模が少ない | ×修繕費用の規模が大きい |
費用計上 | ×コストコントロールが難しい | ○コストコントロールが可能 |
土地・建物の裁量 | ×管理組合で決定する | ◎自分で意思決定できる |
償却期間 | △一度の減価償却額が少ない(購入が節税目的の場合はデメリット) | △一度の減価償却額が大きい(購入が節税目的の場合はメリット) |
物件の流動性 | ◎流動性が高い | ×流動性が低い |
出口戦略 | ×出口戦略は主に売却 | ◎出口戦略が複数ある |
都心・地方のメリット・デメリット
物件の種類だけでなく投資するエリアも重要なポイントです。都心に物件を買うか、郊外・地方に物件を買うかで悩まれる方も少なくないでしょう。都心の物件は、価格が高く利回りが低い代わりに、空室などが発生しにくく賃料も下落しにくいという安定性が期待できます。
郊外・地方の物件は、安く買うことができ利回りも高いというメリットがある一方で、空室などが発生しやすく賃料水準の低さや下落率の高さがデメリットとなってきます。
不動産投資の初心者やローリスクで安定した収益を確保したい方は都心の物件、賃貸業を本業にしていきたい方や大家として時間を使って集客やリフォームなどの差別化を図っていきたい方は、郊外・地方の物件を検討すると良いかと思います。
比較項目 | 都心の物件 | 郊外・地方の物件 |
---|---|---|
物件価格 | ×物件の取得価格が高い | ◎物件価格が3割〜5割安い |
利回り | ×物件の利回りが低い(3%〜5%) | ◎物件の利回りが高い(5%〜10%) |
賃料価格 | ◎郊外・地方に比べて高い | ×賃料が低く、修繕積立金などの経費率が高くなる |
賃料下落率 | ◎長期的な家賃の下落率が少ない | ×長期的な家賃の下落率が大きい |
融資条件 | ◎好立地物件の場合、フルローンや金利1%台も | ×ハイリスクな投資とみなされて自己資金が求められることがある |
人口の動向 | ◎人口は10年以上で増加傾向が続く | ×人口減少リスクが大きい |
空室リスク | ◎空室が出にくい | ×空室が発生しやすい |
流動性 | ◎流動性が高い | ×流動性が低い |
RC・鉄骨・木造のメリット・デメリット
RC・鉄骨・木造の特徴についても触れておきたいと思います。主に、マンションがRC、アパートが木造というイメージになりますが、その大きな違いは耐用年数です。RCは耐用年数が47年間ありますが、木造では22年間となります。
耐用年数の違いが、融資年数や減価償却期間に影響し、RCは融資年数が長い代わりに一度の減価償却費が少ないという特徴があり、木造は一度の減価償却費は多いものの融資年数が短くなるという特徴があります。(鉄骨は骨格剤の厚さによって、償却期間が大きく変わります)
また、耐用年数が少ないということはそれだけ劣化しやすいということなので、木造の修繕費や賃料の下落率は他の造りに比べて大きくなるデメリットもあります。一方、木造は建物の撤去がしやすいため、リフォームや建て替えなどもしやすく、出口戦略が豊富というメリットもあります。
比較項目 | RCの特徴 | 鉄骨の特徴 | 木造の特徴 |
---|---|---|---|
物件価格 | ×建物の価格が高い | ○建物の価格が高い | ◎建物の価格が安い |
賃料水準 | ◎賃料水準が高い | ○木造より賃料水準高い | ×賃料水準が低い |
賃料の下落率 | ◎賃料下落率が少ない | ○賃料下落率が少ない | ×賃料下落率が大きい |
融資期間 | ◎融資期間が長い | ○融資期間が長い | ×融資期間が短い |
コスト | ×建築費・修繕費が高い | ○建築費・修繕費が高い | ◎建築費・修繕費が安い |
建物耐用年数 | ◎耐用年数が長い(47年) | ○木造より耐用年数長い(34年) | ×耐用年数が短い(22年) |
減価償却期間 | ◎減価償却期間が長い | ○木造より償却期間長い | ×減価償却期間が短い |
減価償却費用 | △一度の償却費が低い | △一度の償却費が低い | △一度の償却費が高い |
遮音性 | ◎騒音が発生しにくい | ○騒音が発生しにくい | ×騒音が発生しやすい |
改築・建替え | ×改築・建替えしづらい | ○改築・建替えしづらい | ◎改築・建替えしやすい |
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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