DeFiに次ぐブームとなる!?“ReFi”の概要・事例・展望とは?

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この記事では、この先のweb3業界で盛り上がりを見せると期待されている「ReFi」の概要と具体的な事例、展望を解説します。すでに一部では盛り上がりを見せていますが、まだまだ認知度の低い「ReFi」について勉強するきっかけとなれば幸いです。

目次

  1. ReFiとは?
  2. ReFiの事例
    2-1. Regen Network
    2-2. NFTTree
    2-3. ReFi DAO
    2-4. X Prize
    2-5. Celo
  3. ReFiの展望

ReFiとは?

ReFiとは「Regenerative Finance」の略で、日本語訳すると「再生金融」と呼ばれます。これは環境問題や社会課題をブロックチェーンを活用することで解決しようとする取り組みを意味します。

近い言葉として「DeFi」が挙げられます。分散型金融と訳され、銀行等の金融システムをブロックチェーンを活用してより効率化しようという取り組みです。DeFiはすでにweb3業界を牽引する存在となっており、非常に多くのプロジェクトが生まれています。

ReFiはまだまだ認知度は低いですが、これから先DeFiのように注目を集めていく概念になると言われています。ReFiの語源は、2015年に経済学者のジョン・フラートンが提唱した「Regenerative Capitalism」という用語から来ています。フラートンは、気候変動や資源不足といった環境課題や社会課題に対して、「経済」が問題視されることに着目し、どうすれば、経済が問題の原因ではなく、解決策になるのかを検討しました。つまり、環境問題や社会課題の解決が進まないのは経済的な問題があるからであり、その問題さえ解決できればこれらの課題解決は進むのではないかという考えです。より具体的に言えば、これらの事業はお金にならないから進まず、逆にお金になれば進むということです。

そして、この経済的なインセンティブを解決する手段として注目されているのがブロックチェーン技術であり、「ReFi」です。ReFiはブロックチェーンを活用し、以下の3つのプロセスで理想を実現しようとしています。

  1. 保存/再生の価値を定義する
  2. それを取引可能な資産にする
  3. その資産の流動性を生み出す

少し難しく聞こえるかもしれませんが、根本の思想は上述した通りで、搾取(環境破壊)よりも保存や再生(環境保全)の方が合理的にメリットがある状態をブロックチェーンを活用して作り出そうという考えです。例えば、自身が保有している森(土地)があり、その森林を伐採してアパートを建設するよりもそのまま保全する方が金銭的にメリットがあれば伐採ではなく保全を選択する人が増えます。この新しいインセンティブの仕組みを作り出すことで、環境問題や社会課題を解決していこうという取り組みがReFiです。

とはいえ、何となくはわかるけど、、という方も多いと思いますので、続いて具体的な事例を見ていきます。

ReFiの事例

では、具体的な事例を見ていきます。

Regen Network

このプロジェクトは主に農家を対象とし、農家が食品を生産するだけでなく、土地の管理者としての役割も果たすようなインセンティブモデルを作ろうとしているプロジェクトです。

引用:Regen Network

農家のカーボンクレジットをNFTで取引できるようなマーケットプレイスを立ち上げ、農家の土地を保全・再生させることで金銭的なメリットがあるような仕組みを導入しています。Cosmos SDKを活用し独自のブロックチェーンを構築しており、あらゆる気候・環境問題を解決するための共通基盤となることを目標としています。

このカーボンクレジットの売買はReFiの中でも代表例として挙げられる事例で、Regen Network以外にも多数のプロジェクトが取り組んでいます。その背景にあるのは「地球温暖化によるカーボンオフセット市場の需要増」と「NFTの売買によって透明性高くリアルタイムで取引ができる」という点です。まさにブロックチェーンを活用することで新しいインセンティブを生み出すことに成功している領域となります。

カーボンオフセットに関して詳しくはこちらの記事でも解説しています。

新トレンドReFiで活用されるNFT!注目すべきカーボンオフセットプロジェクト

NFTTree

このプロジェクトは植林のプロジェクトです。植林した木にはQRコードが貼ってあって、この木を植えた人、寄付した人、貢献した人、が可視化されています。その貢献証明としてNFTが存在し、またNFTホルダーのコミュニティもあるので、環境問題に関心が高い人たちのコミュニティとしても機能しています。

引用:NFTTree

ReFi DAO

主に教育、啓蒙、イベントを通して再生文化を育む取り組みを実施しています。ブログ、ポッドキャスト、動画の全方位であらゆる環境問題や気候問題について発信しています。現在はそれらの活動やコミュニティが主ですが、今後は具体的なプロダクトを開発し、トークンエコノミクスを設計していくことがロードマップに組み込まれています。

引用:ReFi DAO

X Prize

イーロンマスクがスポンサーとなって立ち上げた気候変動の解決に挑戦するプロジェクトに資金提供を行う団体です。

引用:X Prize

厳密に言えば、気候問題だけではなく、宇宙やディープテックなどのドメインにも支援を行っていますが、地球の未来のことを考えたプロジェクトを積極的に支援しています。

また、X Prizeだけでなく、Cerulean Ventures、AeraForce DAO、ReFi Venture Studio、Allegory、a100x、Vanagon Ventures、Possible Ventures、Draft Venturesなど、ReFi分野に重点を置いた新しいVCやDAOが次々と誕生しています。

Celo

モバイルファースト、かつカーボンニュートラルなブロックチェーンであり、銀行口座にアクセスできない人たちがスマホで金融システムにアクセスできるために設立されました。「すべての人が豊かになるための金融システムの構築」を掲げ、ドルと連動したステーブルコイン「Celo Dollar」やユーロと連動した「Celo Euro」を開発しています。発展途上国を中心にユーザー数を拡大し、多くの企業からの支援も受けています。現時点で最も普及しているReFiプロジェクトと言ってもよいかもしれません。

引用:Celo

このように、ブロックチェーンを活用した新しい取り組みはすでに始まっています。

ReFiの展望

では最後に、ReFiの展望について考察します。

改めて整理すると、ReFiはブロックチェーンを活用して新しいインセンティブ(経済)モデルを作り出すことで、環境問題や社会課題を解決する取り組みを指します。その市場の認知度はまだ低いですが、すでに盛り上がってきているプロジェクトは存在しており、そこへ資金提供するVCやDAOも生まれ始めています。

筆者としては、この先ReFi市場は盛り上がっていくことを予想しています。その理由は「web3市場自体の盛り上がり」も存在しますが、それ以上に「環境や社会に配慮したビジネスの在り方」がビジネスのスタンダードになっていくと予想されるからです。SDGsのような取り組みを始めとして、急速に加速する地球規模の環境問題に対して、国家でも規制が強まってきています。例えば、EUが2035年以降のガソリン車の利用を規制したり、多くの国で炭素税を導入することでより多くの二酸化炭素を排出する企業には税金をかけるような検討がされています。

こういった現状や時代の変遷もあり、例えばカーボンクレジットの市場規模も急速に拡大しています。2030年までに現状の最大15倍となり、2050年までには最大で100倍に拡大するとのシナリオも存在しています。

更に、アメリカやヨーロッパの若者を中心としたZ世代では、製造過程で環境負荷の高い商品は購入しなくなっており、Allbirdsなどの環境に優しい製品が好まれる傾向にあります。このように、すでに環境によい取り組みをすることは、企業がCSRとして行うプラスαの活動ではなく、ビジネス活動の前提に取り入れなければいけない概念になってきています。この環境に良いことを前提に取り入れたビジネスのあり方を「CSV」とも呼ばれ、CSRからCSVへビジネスのあり方を変化させていく動きも加速しています。

つまり、この先のビジネスは国家の規制や世論の変化によって、環境問題や社会課題に対応することが不可欠となって来ると予想されます。

その未来において、最も効率的なビジネスを構築できる技術の1つがブロックチェーンであると考えています。例えば、急成長するカーボンクレジット市場でもすでに利用されています。また、製造過程の二酸化炭素排出量に関してもトレーサビリティを追跡することでその証明も可能になります。

このように、透明性と取引可能性を持ったブロックチェーンの技術は環境に配慮したビジネスと非常に相性が良い技術です。よって、ブロックチェーンを活用して環境問題や社会問題を解決するReFi市場はこれから先、非常に盛り上がっていくことが期待できます。この先、多くのプロジェクトが生まれてくることが非常に楽しみです!