Web3とは

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「Web3.0」としても知られているWeb3は、分散型プロトコルが発展することによって、YouTube、Netflix、Amazonのような大企業への依存を減らすことを目的とした、インターネットの新しい形態です。

Web3とは何か

Web3というからには、Web1とWeb2があるわけです。Web3が何であるかを理解するためには、Web1とWeb2ついて理解する必要があります。

Web1

Web1は主にリーダブルウェブと呼ばれていて、読むことができるウェブのことを言います。ほとんどのユーザーは、コンテンツを受動的に消費していて、Web1は読む専用のものであり、ユーザーが書き込むことはできませんでした。Web1は作られたページを閲覧することのみが可能なウェブです。

Web2

Web2は単にページを見るだけでなく、ファイルを開いて編集することができるコンピューターコードにちなんで、「リード/ライト」バージョンのインターネットと呼ぶ人もいます。Web2では、YouTube、Facebook、Twitterなどのプラットフォームで、ユーザーがコンテンツを作成することができ、読むのと同時に書き込むことを可能にしているウェブのことを指します。

Web2はユーザーが参加することで、よりソーシャルなものに発展してきましたが、ある欠点が存在しました。それは、コンテンツを作成することによって、これらのプラットフォームを管理する企業にユーザーが個人情報やデータを提供することになるという点です。

企業はユーザーの個人データを収集することによって、パーソナライズされた広告やマーケティングの作成を可能にしています。昨今、大企業が個人データを適切に扱っているのかが度々話題になっており、特にMetaはデータプライバシー法の違反で、2019年に連邦取引委員会(FTC)が出した過去最大の罰則である50億ドルの罰金を科されています。

Web 2は世界に素晴らしい無料サービスをもたらしましたが、こうした巨大テック企業の個人データ収集に嫌気がさし、自分のデータやコンテンツを管理したいと思う人もいるのです。そこで登場したのが「Web3」です。

Web3

Web2では、自分たちのデータがどう使われているのかが不明でしたが、Web3ではブロックチェーンを利用することによって、自分が何を受け取って、何を支払い、それがどう使われているのかがわかるようになります。データを追跡できることを検証可能性と呼びますが、Web3は読み書きができると同時に、検証可能なウェブであると言えます。

Web2の最大の問題点は、大企業による個人情報の収集や、それが広告主に売られたりハッカーに盗まれたりする可能性があることです。これらの問題に対してWeb3では、ネットワークを分散化することによって対処しようとしています。

Web3では、ネットワークが分散化されているため、1つの組織がネットワークをコントロールすることはありません。ネットワークの上に構築される分散型アプリケーション(DApps)もオープンなものとなっています。

分散型ウェブのオープン性とは、単一の当事者がデータをコントロールしたり、アクセスを制限したりできないことを意味しており、中央の企業の許可を必要とせず、誰でもさまざまなDAppsを構築し、接続することができるのです。

Web3という言葉は、元イーサリアムの共同創業者であり、ポルカドットとクサマの創業者であるGavin Wood氏が提唱したと言われています。そんなWood氏が2014年に書いたブログ記事のタイトルは「Dapps: What Web 3.0 Looks Like」です。このタイトルや内容からは、Wood氏が「Dapps≒Web3」であると考えていたことが読み取れます。

このブログ記事は2014年に投稿されたものであるため、現在のWeb3はこのときから変化していると考えられますが、Web3の原点であることは間違いありません。

以上をまとめると、Web3とはWeb2の問題点に対処するために、ブロックチェーンを利用した分散型ネットワークとアプリケーションを指す言葉であると言えるでしょう。

Web3関連プロジェクト

大まかに、Web3がどのようなものであるのかを掴めたと思います。ここからは、Web3関連プロジェクトを具体的に見ていき、Web3への理解を深めていきましょう。

Brave

Braveはプライバシーを守るウェブブラウザです。Braveはユーザーからデータを収集しないためユーザーのプライバシーに干渉しません。一切個人情報を抜き出さず、個人が特定できるようなウェブ上での活動もトラッキングしないのです。

さらに、広告を表示するためのタグをブロックする機能が備わっており、ウェブサイト上の広告に加え、YouTubeなどの動画サイトの広告さえもブロックしてしまいます。このブラウザのどこがWeb3と関連しているのかというと、BATトークンを使った仕組みにあります。

Braveは広告タグをブロックする機能があると説明しましたが、実はユーザーは広告を見るか見ないかを決めることができます。もし広告を見ると設定した場合には、Braveが承認した広告のみが設定した頻度に従って表示され、広告を見る設定にしたユーザーにはBraveを使っているだけでBATというトークンが付与されるという仕組みになっているのです。

Braveに広告を出したい広告主は、BATを買い、広告配信の登録を行います。登録した広告主は広告を見る設定をしたユーザーに広告を表示することができ、見てくれたユーザーに対してBATが与えられるという流れになっています。

また、広告を表示したサイトのコンテンツクリエイターもBATを受け取ることができ、広告主はユーザーとコンテンツクリエイターにBATを支払っているということです。

ここで注目すべきは、広告を見たユーザーにBATトークンを使ったインセンティブが与えられている点にあります。従来のウェブ広告では、ユーザーは情報を収集され、パーソナライズした広告を見せられるだけでした。しかし、Braveではユーザーが広告の表示を選択することができ、情報は収集されず、広告を見ればBATトークンを受け取ることができるのです。

Filecoin

FilecoinはアメリカのProtocol Labsが中心となり、オープンソースで開発が進められている分散型のクラウドストレージです。

Filecoinには独自のブロックチェーンとネイティブトークンであるFILが存在します。データファイルを預けたいユーザーは、ストレージを提供するマイナーと呼ばれる参加者にファイルを預けることができます。マイナーはファイルを保持することで、依頼者のユーザーからFILを受け取ります。ファイルは暗号化されて保存されるため、預けたマイナーに見られることはありません。

ブロックチェーンにはFILの送受信の履歴とマイナーが契約通りに正しくファイルを保存していることの証明が記録されます。ブロックの生成者は、一定の間隔でネットワークの参加者の中から選ばれ、ブロックをブロックチェーンにつなぎ、ブロック報酬としてFILを受け取る仕組みとなっており、ブロック生成者になる確率はネットワークに提供するストレージの量に比例するため、多くのストレージを提供するほど報酬が受け取りやすくなっています。

マイナーが契約通りに正しくファイルを保存しているかは、Proof of ReplicationとProof of Spacetimeという2つのコンセンサスアルゴリズムを使って確認します。前者は「ファイルが指定のストレージスペースに存在するか」、後者は「そのデータが指定の期間継続的に保持されていたか」という2つの点からファイルの保存を証明するのです。

Proof of Replicationでは、マイナーは受けとったデータを自身の公開鍵と関連づけて保存し、そのハッシュをブロックチェーンに記録します。Proof of Spacetimeでは、ランダムに選ばれたマイナーがランダムに選ばれたストレージについて、申告通りデータが保存されているか定期的に検証します。

ここで、ユーザーのファイルを紛失するリスクについて疑問が生じます。マイナーがユーザーのファイルを紛失した場合はどうなるのでしょうか。実は、マイナーはウォレットに一定量のFILをステークしておく必要があり、適切に稼働していないマイナー、ブロックチェーンの合意形成に寄与しないマイナーにはペナルティが課され、ステークしてあるFILが減ってしまうのです。マイナーはステークしてあるFILを失いたくないため、ファイルの保存に務めるようになります。

以上のように、ファイルの保存にインセンティブを与えることによって、従来のクラウドストレージのように、一つの企業に自分のデータを預けるのではなく、分散型のクラウドストレージという選択肢を提供することができているわけです。

まとめ

Web3の概要とその具体例を見てきました。いずれの具体例も、Web3の原点である、Web2の持つ権力集中という問題を解決するサービスになっています。

最近のDeFiの発展などで、金融系の分散型アプリケーションに注目が集まっている中、分散型の流れは金融にとどまらず、私たちの生活に身近なサービスにも権利を分散させる流れができていることは確かです。

今後、新たに現れるWeb3プロトコルを理解するためにも、Web3の思想を原点から理解することが大切だと言えるでしょう。

監修者: 田上智裕

株式会社techtec株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。

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田上智裕

株式会社techtec 代表取締役。リクルートホールディングスでの全社ブロックチェーンR&Dを経験後、2018年に株式会社techtecを創業。「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営。メディアでの執筆や海外での講演などを中心に、ブロックチェーン業界の発展にコミットしている。