ガイアックスが「国内DAOカオスマップ2024」を公開!筆者が気になる地方創生に取り組むDAOを解説

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NFTプロジェクトの運営などで導入されることが増えている「DAO(分散型自立組織)」が、国内自治体との親和性が高いとして注目を集めています。

2023年には、自由民主党デジタル社会推進本部のWeb3プロジェクトチームがDAOに関する法律の在り方について議論を深め、関連団体や企業が推薦された事業者とともにハッカソンを実施しました。

そんな中、ガイアックスは2024年4月に「国内DAOカオスマップ2024」を発表しました。このマップには、会社型DAOを含む204件のプロジェクトが掲載されており、NFTや地方創生をテーマにしたDAOの取り組みも多く含まれています。本記事では、地方創生分野で注目されるDAOの特徴や、2024年に注目したい日本国内DAOによるNFTプロジェクトを紹介します。

目次

  1. ガイアックス、「国内DAOカオスマップ2024」公開!
    1-1. 国内DAOカオスマップの制作目的
    1-2. 地方創生、新しい寄付の形としてDAOの活用も増えている
  2. 自治体初、群馬県がDAOガイドラインを公表
    2-1. ガイドラインのポイント3つ
  3. DAO(分散型自立組織)とは
    3-1. NFTプロジェクトを運営するDAOとは
    3-2. どんなDAOに参加すればいいのか
    3-3. どこからDAOに参加すれば良いのか
  4. 筆者が気になる地方創生に取り組むDAOを紹介
    4-1. 複数自治体横断の地域創生コミュニティ「美しい村DAO」
    4-2. あるやうむの「地域おこし常緑隊DAO」
  5. まとめ

①ガイアックス、「国内DAOカオスマップ2024」公開

自律分散型組織「DAO」のコンサルティングや実務支援を手掛ける株式会社ガイアックスは、合同会社型DAOを含む204件のプロジェクトを網羅した「国内DAOカオスマップ2024」を2024年4月22日に公開しました。本調査は2024年3月から5月にかけて実施されたものです。

今回ガイアックスが調査・選出した204のDAOは12分野に整理されており、それぞれがどのように活用されているかが明らかとなっています。特に顕著だった分野として、「サポーター(72件)」「ソーシャル(28件)」「地方創生(25件)」「社会貢献(21件)」「クリエイターエコノミー(17件)」が挙げられます。

DAOは、民主的で開かれた透明性の高い推し活プラットフォームとして活用されるケースが多いという分析も注目ポイントです。クリエイターの創作物やファンの貢献活動がDAOを通じて共創型・参加型へと変容する仕組みが、その背景にあります。

また、DAOならではのトークン活用が「愛着⇒意思決定への参加⇒貢献活動⇒インセンティブ⇒愛着」という循環構造を形成することで、持続可能な組織の構築に向いているとされています。この循環構造が、コミュニティの活性化や持続性に寄与している点も注目に値します。

1-1. 国内DAOカオスマップの制作目的

近年、Web3への注目度が高まる中、日本国内におけるDAOの数も増加しています。企業や自治体もDAOを活用した施策を検討していますが、「新規プロジェクトの施策としてDAOの導入を検討しているが、具体的な活用方法がわからない」といった課題が依然として多く寄せられていると言います。

こうした背景を受け、多くの日本のDAOプロジェクトに携わってきた株式会社ガイアックスは、DAOの現状や具体的な活用方法のヒントを整理し、わかりやすく提供することを目的として「カオスマップ」を制作しました。

1-2. 地方創生、新しい寄付の形としてDAOの活用も増えている

ガイアックスの調査によれば、クリエイティブやエンタメ領域でのDAOとNFTの親和性が高く、単発的なNFTプロジェクトから始まり、DAOを通じた継続的な活動に発展する事例が増えています。

特に「サポーター」や「地方創生」の分野では、特定の人・地域・団体を支援する仕組みとしてDAOの導入が活発化しています。また、「地方創生」や「社会貢献」の分野では、新しい寄付の形としてDAOを活用した資金調達に注目が集まっています。

資金調達が難しい地域自治体やNPO団体でも、DAOを活用することでデジタルを通じて参加可能な新しい「地方創生活動」や「社会貢献活動」を展開することが可能です。たとえば、地域密着型スポーツチームの運営や、地方で課題となっている空き家の活用といった取り組みにもDAOが役立てられています。

このように、社会貢献や地域密着型のDAOがカオスマップ全体の約半数を占めている点も特徴的です。

②自治体初、群馬県がDAOガイドラインを公表

ガイアックスは、群馬県から受託した「DAOガイドライン - 新しいコミュニティへの道しるべ -」を公開しました。

このガイドラインは、コミュニティや地域団体、スタートアップ、市町村などがDAOを活用し、地方創生や産業創出に繋げることを目的として、DAOの設立や運営に関する基本的な事項をまとめたものです。

ガイアックスは、本ガイドラインが群馬県をはじめとする日本全国でDAO活用の手引きとして役立つことを期待しており、広く活用してほしいと述べています。

2-1. ガイドラインのポイント3つ

法的側面や資金管理などの規制面(ハード部分)

DAOの設立において課題となるのは、法律や資金管理といった規制面です。DAOを取り巻く法的環境は日々変化しており、継続的な情報収集とキャッチアップが欠かせません。本ガイドラインでは、2024年3月時点での最新情報をもとに、日本のDAO関連法の概要やDAOでの資金調達について、DAO組成者が参照できるようまとめています。

また、資金調達やガバナンス・意思決定の方法に関して、以下の3つの具体例を挙げて解説しています。

  • 美しい村DAO(地方創生DAO)
  • Whiskey&Co.(トークンを活用したリブランディング)
  • Roopt DAO(シェアハウスDAO)

これらの事例を通じて、実践的な視点から課題解決へのヒントを提示しています。

国内外の14DAO事例調査を経て、DAO活用のノウハウをガイドライン化

DAO組成後の大きな課題は、自律的かつ継続的な活動の実現です。本ガイドラインの作成にあたり、国内外の14のDAO事例を調査し、DAO運営の現状や課題、成功のポイントを洗い出しています。

調査の結果、活動が活発なDAOに共通して見られたポイントとして、以下が挙げられます:

  • 定期的な会議やイベントの開催:DAOの現状把握やメンバー間の交流を促進。
  • コミュニティマネージャーの存在:DAO内コミュニケーションを活性化。
  • メンバーへの積極的なロール(役割)の付与:メンバーの主体的な関与を促進。

これらの知見をガイドラインに反映することで、DAO運用の具体的なコツを提供しています。

参加メンバーや意思決定メカニズムなどDAO運営、DAO組成の実務に役立つ情報を網羅

ガイドラインでは、第二章から第八章にかけてDAOの組成と運用に関する理論を解説しています。さらに、実際にDAOを組成する際の実務に役立つ内容として、「DAO実施マニュアル」を末尾に掲載。実施マニュアルでは、DAO組成に使用される主要なツールのセットアップ手順や、ステップごとに必要な手順を具体的に解説しています。

これにより、DAO運営の初心者から経験者まで幅広い読者が実務に活用できる内容となっています。

③DAO(分散型自律組織)とは

NFTプロジェクトの運営において、「DAO(Decentralized Autonomous Organization)」という形態が注目を集めています。日本語では「自律分散型組織」と訳されるDAOは、特定の中央管理者を持たず、構成員が自律的に運営するインターネットネイティブな組織を指します。これらは主にブロックチェーン技術を基盤として構築され、スマートコントラクトを活用して運営されています。

スマートコントラクトは、特定の条件が満たされると自動的に実行されるプログラムであり、特にイーサリアム上での利用が広く知られています。

3-1. NFTプロジェクトを運営するDAOとは

2023年12月時点では、多くのNFTプロジェクトのDAOはブロックチェーン上ではなく、主にDiscordなどのチャットツールを基盤として運営されています。テキストコミュニケーションを通じてプロジェクトの進行が行われ、報酬の送金には依然として人の手が関与しています。

DAOの組織は階層がないとされていますが、実際には次のような役割が見られます:

  • ファウンダー:プロジェクトを立ち上げた創設者。
  • 運営:初期段階から参加し、活動を支えるユーザー。
  • アクティブユーザー:プロジェクトに積極的に参加し、高い貢献度が評価されるメンバー。
  • 非アクティブユーザー:観察や情報収集に留まる参加者。

アクティブユーザーには、プロジェクトへの貢献に応じてインセンティブが付与されることが一般的です。このように、DAOは形式上はフラットであっても、実際にはファウンダーや運営が主導するケースが多いのが現状です。

3-2. どんなDAOに参加すればいいのか

DAOはWeb3を基盤とするコミュニティであり、NFTをインセンティブやユーティリティとして活用する例が多く見られます。気に入ったNFTを購入することで、その発行元DAOに参加できる場合もあれば、NFTを所有せずにDAOの活動を観察することも可能です。

多くのDAOはDiscord上で運営されており、アクティブなユーザーがいるかどうかは、スレッドの活発さを見ることで判断できます。また、DAO内で複数のプロジェクトが立ち上がっていることもあり、特定のタスクに参加することで独自の経験を積むことができます。

一部のDAOでは、NFT保有者だけがアクセス可能な専用チャットルームが設けられていることもあります。初心者には、立ち上げたばかりのプロジェクトへの参加がおすすめです。手伝えるポジションが空いている場合も多く、自分に合った役割を見つけやすい環境が整っています。

3-3. どこからDAOに参加すれば良いのか

DAOに参加するには、まず各NFTプロジェクトの公式サイトやホームページを訪れるのが良いでしょう。そこには、コミュニティへの参加方法が案内されています。

具体的なアクセス手段としては以下の方法が挙げられます:

  • 検索エンジンで公式サイトを検索:プロジェクトの正式な情報源に直接アクセス。
  • OpenSea経由:NFTコレクションを検索し、地球マークをクリックすることで公式サイトにアクセス可能。
  • X(旧Twitter)経由:公式アカウントの投稿に記載されたリンクを確認。

ただし、安全性を重視する場合は、まず公式サイトやOpenSeaを通じた方法をおすすめします。

④筆者が気になる地方創生に取り組むDAOを紹介

4-1. 複数自治体横断の地域創生コミュニティ「美しい村DAO」

「美しい村DAO」は、内閣府地方創生推進事務局の広域連携SDGsモデル事業「日本で最も美しい村デジタル村民の夜明け事業」に基づき、地方創生を目的として設立されたDAO(自律分散型組織)です。鳥取県智頭町と静岡県松崎町の2自治体を起点に、ブロックチェーン技術を活用したNFT販売プラットフォームの開発やDAO運営を開始しました。

このプロジェクトでは、スマートコントラクトによる「デジタル村民コミュニティ」を構築し、デジタル村民証(NFT)の発行や地域資源NFTの販売を通じて、村とデジタル村民をつなぐ共創型プラットフォームを提供しています。デジタル村民証を保有することで、リアル村民同様のサービスや特典を受けられる仕組みが特徴です。

地方自治体が抱える人口減少や文化の衰退、自然環境の維持などの課題に対して、「美しい村DAO」は、デジタル村民と地域住民が協力し、地方活性化や関係人口の増加を目指します。また、「日本で最も美しい村」連合サポーター有志で構成されるコンソーシアムが支援を行い、ブロックチェーン型スマートコントラクトの管理や加盟町村のNFT発行、インセンティブの管理を行っています。

このように「美しい村DAO」は、持続可能な社会を目指した地方創生の新しいモデルケースとして注目されています。

4-2. あるやうむの「地域おこし常緑隊DAO」

札幌発のスタートアップ企業「あるやうむ」は、新たな地方創生モデルとして「地域おこし協力隊DAO」の取り組みを開始しました。この取り組みは、「地域おこし協力隊」と「デジタルコミュニティ(DAO)」を掛け合わせたサービスで、「新たな関係人口創出」と「地域課題の解決」を目的とした革新的な関係人口モデルです。自治体のDAO設立を支援することで、地域活性化とデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速を目指しています。

2024年2月6日より参加者の募集を開始し、同年5月2日時点で50名を超える応募があり、そのうち30名以上が面談を経て移住可能な候補者として選定されました。

「地域おこし協力隊DAO」は、次の3つのサービスを一貫して提供します:

  1. 適任者の募集・選定:地域おこし協力隊に最適な人材を見つけるプロセス。
  2. 着任中のサポート:協力隊員の活動を支える支援体制の提供。
  3. デジタル技術の提供:DAOを活用した効率的な自治体運営支援。

DAOは、全メンバーが対等な立場で意思決定に関わることができ、各自が自由にアイデアを共有し創造性を発揮する場を提供します。「地域おこし協力隊DAO」は、こうした理念を体現するデジタルコミュニティであり、メンバー間の交流によって生まれる柔軟な発想と行動力が、地域課題の解決に繋がることを目指しています。

さらに、あるやうむは「NFTによる地方創生」を推進しており、全国の自治体向けにふるさと納税NFTや観光NFT、「地域おこし協力隊DAO」ソリューションを提供しています。これまでにも全国各地でふるさと納税NFTプロジェクトを成功させてきた実績を持ち、自治体と連携した取り組みを進めています。

⑤まとめ

ガイアックスが公開した「国内DAOカオスマップ」により、クリエイターエコノミーだけでなく、地方創生や社会貢献、地域密着型のスポーツチームなど、地域活性化のための多様な活動にDAOが活用されていることが明らかになりました。特に、地方自治体がWeb3技術と連携してDAOを導入する際には、ブロックチェーン技術に精通した企業との協力がサービス構築の鍵となります。

これからもWeb3を活用した新たな形の取り組みやプロジェクトが次々と登場してくることが予想されます。興味のある方は、既に活動を開始している地方のプロジェクトをチェックし、地域社会とDAOが生み出す可能性を体感してみてはいかがでしょうか。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。