ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクは6月22日、ふるさと納税を通じた災害支援の取り組みについてメディア向けオンライン説明会を実施した。静岡県熱海市の伊豆山地区で大規模な土石流が発生した災害からまもなく1年。災害リスクが高まる夏を前に、同社が続けている災害支援事業について紹介。被災地に代わって他の自治体が寄付を募る「代理寄付」の有用性などについて説明した。
日本各地で発生する自然災害の支援のため、同社は「ふるさとチョイス災害支援」サイトを開設している。被災自治体が速やかに復興寄付支援を募ることができるスキームで、被災自治体に直接、速やかに寄付金が届けることができる。2014年9月、日本で初めてふるさとチョイスが導入、無償で提供を開始した。開始4年で寄付額は約38億円に上り、関心の高さをうかがわせる。
熱海市の土石流災害では、被害発生の翌日から災害支援サイトで緊急で寄付を募ったほか、他自治体を経由した寄付も行われ、1週間で6千件以上、総額9千万円超の寄付が集まった。同社によると、これは同市が2020年の1年間で受け付けたふるさとの納税総額のおよそ4分の1に相当する。同サイトでは現在も寄付受付を継続しており、同日までに寄付額は総額2億円を超えた。ふるさとチョイス会員登録後、初めての寄付が同市の土石流被害だった人も多い。
「いまだ復旧は道半ば、現場では今も自治体や住民の皆様方が復興に向けて取り組んでいる」と同社。時間の経過とともに忘れられがちな被災地の状況を発信し続けることも、同サイトの大切な役割だ。
新型コロナウイルス感染拡大では、20年3月に「コロナに立ち向かう地域応援プロジェクト」を開始。寄付総額180億円、寄付者数53万人、寄付件数は約116万人に上る。また、コロナ禍で移動が制限されたことから、ボランティアや支援物資の代わりに、ふるさと納税での災害支援が選ばれることが増えたという。支援者には「災害支援での使い道が明確かを重視したい」という要望があり、寄付総額や用途が明確なふるさと納税サイトは、ニーズに応える受け皿となっている。
「ふるさと納税制度は、災害時の助け合いを可能にするという役割が期待されていた。制度によって、日本国内で寄付文化が根付きつつある」と同社は手ごたえを語る。
災害発災時、自治体は救命作業などに追われ、ふるさと納税受付後の事務作業が滞ってしまうリスクがある。被災自治体に代わり、友好関係などにある他自治体が代わりに寄付を受け付けるのが代理寄付だ。説明会では、18年に豪雨災害に見舞われた広島市に代理寄付を行った北海道夕張市の事例について、当時夕張市職員として対応にあたり、現在は同社地域ソリューション部 GCF・災害支援担当の佐近航さんが実体験を交えて説明した。支援金だけでなく、言葉を届けられる「応援メッセージ」機能も、被災者を力づけている。
今後の課題として「代理寄付の有用性を継続的に伝え、さらに活用してもらう普及活動が必要」とした。
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