ふるさと納税の返礼品には、地域の特産品の他にジビエもあります。寄付およびジビエの返礼品をもらうことは自治体や地元農家の支援につながるので、ジビエが好きな方だけでなく地域の獣害問題や社会貢献活動に関心を持っている方にも注目のプロジェクトです。
そこでこの記事では、ふるさと納税でもらえるジビエの返礼品や自治体の獣害対策に関する取り組み事例について詳しくご紹介します。獣害対策へ個人で貢献できる方法がないか気になっている方、社会貢献活動へ関心を持っている方などは、参考にしてみてください。
目次
- ジビエとは
- 自治体の獣害対策に関する取り組み事例
2-1.岩手県盛岡市猪去地区のツキノワグマ対策
2-2.富山県氷見市のイノシシ対策
2-3.北海道のエゾシカ対策
2-4.岡山県のサル対策
2-5.鹿児島県鹿屋市のイノシシ、サル対策 - ふるさと納税でもらえるジビエの返礼品6選
- まとめ
1.ジビエとは
ジビエは、フランス語で野生の鳥獣肉を指し、たとえば、野生の熊やイノシシ、シカなどを使った料理は、ジビエ料理となります。
国や自治体、農家などでは、獣害対策によって捕獲された野生鳥獣の命を無駄にせず、なおかつ獣害問題をポジティブな方向へ転換できるようジビエやジビエ料理の提供といった取り組みを行っています。
私たち生活者にとって返礼品のジビエを美味しく味わうことは、鳥獣の命を無駄にしない取り組みの貢献、獣害被害の間接的な支援につながっています。また、寄付金は地域の街づくりに活用され、幅広く役立ててもらえます。
なお、ジビエの品質管理については、農林水産省の国産ジビエ認証制度で定められています。同制度の認証を受けた機関は、約80もの衛生基準に関する審査を通過しているので、客観的に安全性が認められているのが特徴です。(※出典:農林水産省「食べて発見!ジビエの魅力」)
2.自治体の獣害対策に関する取り組み事例
ここからは、自治体の獣害対策に関する取り組み事例をいくつか紹介します。
2-1.岩手県盛岡市猪去地区のツキノワグマ対策
岩手県盛岡市猪去地区ではツキノワグマによる獣害があり、行政と自治会、猟友会、大学など複数の団体が共同で対策に取り組んでいます。
- 山沿いの果樹園一帯に電気柵を設置
- 電気柵周辺での除草作業と熊発生時に定点カメラ設置
- 緩衝地帯を設置し人と熊の距離を空ける
- 被害防止対策に関する研修会実施
鳥獣被害対策を理解するために研修会を実施し、ツキノワグマの出没を抑える環境作りに着手します。環境整備では、除草作業やツキノワグマの通り道封鎖といった内容です。
さらに農作物や人への被害を抑えるため、電気柵が設置されました。
活動開始前の2006年時点でツキノワグマの出没数は、猪去地区で13頭でした。さまざまな取り組みを続けた結果、2016年には盛岡市全体でツキノワグマの出没数が増加していた一方、猪去地区では出没数1頭まで減少しました。
※出典:農林水産省「自治会が中心となったツキノワグマ出没軽減に向けた協働の取組について」
2-2.富山県氷見市のイノシシ対策
富山県氷見市の場合は、2009年に市内で初のイノシシによる農作物被害が発生したことを受けて、獣害対策に乗り出しました。
その後、2010年に氷見市や猟友会、JAや森林組合など複数の団体により、鳥獣対策協議会が設立されました。同協議会では、具体的な対策方法やイノシシの捕獲方法などの検討、取り組みが行われています。
たとえば、イノシシを単純に捕獲し続けても環境を変えなければ出没数は減らないため、イノシシを寄せ付けない環境づくりに重点が置かれています。また、取り組みは、電気柵の設置やイノシシにエサを与えないといった内容です。さらに、被害を与え続けているイノシシについては、捕獲などの方法で対処する方針となっています。
2012年は998万円もの獣害による損害が発生していたものの、さまざまな取り組みによって2017年に153万円の損害まで抑えられるようになりました。イノシシと人の棲み分けを重視した獣害対策を継続しつつ、県内全域に氷見市の対策モデルを展開していく方針となっています。
※出典:農林水産省「棲み分け・侵入防止・捕獲による総合的なイノシシ対策の取組み」
2-3.北海道のエゾシカ対策
北海道では効果的なエゾシカ対策を進めるため、GIS(地理情報システム)を活用しながら情報収集や分析にも力を入れています。エゾシカ関連情報の見える化を図っているのが、大きな特徴です。
エゾシカの生息数や捕獲数といったさまざまな情報は、1つの機関に集約されていませんでした。そこで北海道は、エゾシカ現況マップという視覚的に各地域の情報を確認できるシステムを用意し、各市町村や関係機関へ配布しています。
※出典:農林水産省「情報の見える化と共有化によるエゾシカ被害対策の試み」
2-4.岡山県のサル対策
岡山県は、県内でニホンザルによる被害が広範囲に及んでいることから、GPSによる行動調査をはじめとした獣害対策に取り組んでいます。
ニホンザルの情報収集や分析には、生息状況調査と行動調査の2点が用いられています。岡山県で実施されている行動調査は、猟友会や市町村の協力を得ながらニホンザルにGPS首輪発信機を装着し、GPSのデータから行動範囲などを分析する調査方法です。
生息状況調査は、ニホンザルの出没日時を記録していくサル出没カレンダー調査と野生動物の痕跡からどのようなルートで行動しているか調べていくルートセンサス調査によって、生息域や被害状況などをまとめる調査分析方法です。
岡山県は調査分析によって被害の集中している地域を割り出し、複合策の設置といった対策の他、捕獲、防護に関する研修会によって対策レベルの向上を図っています。
※出典:農林水産省「ニホンザルから農作物を守れ(GPSで行動調査)」
2-5.鹿児島県鹿屋市のイノシシ、サル対策
鹿児島県鹿屋市はイノシシやサルによる農作物被害増加を食い止めるため、下記3つの取り組みによって被害軽減を目指しています。
- 寄せ付けない
- 侵入を防止する
- 個体数を減らす
イノシシやサルを寄せ付けないための対策としては、集落ぐるみの鳥獣被害対策に関する研修会、専門員による指導が実施されています。
侵入防止については、侵入防止柵や鳥獣被害発生医地域での緩衝帯設置、猟友会によるパトロールといったさまざまな対策が施されています。さらに、鹿屋市は近隣の市町と連携し、イノシシ、サルの捕獲によって個体数の減少を目指しています。
このような各種対策によって鳥獣による農作物の被害は、減少傾向です。しかし、サルによる被害の割合が高いため、ICTをはじめとした新しい技術で対策を続けている状況です。
※出典:農林水産省「サル被害対策への新たな取組の実施」
まとめ
また、ふるさと納税の寄付金は地域の課題解決などに活用されるので、社会貢献や地域活性化につながる行動といえます。
ジビエ料理に関心を持っている方やふるさと納税を通じた社会貢献を行いたい方は、今回紹介した返礼品や自治体の取り組み事例を参考にしながら、ジビエの返礼品について調べてはいかがでしょうか。
菊地 祥
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