夫婦の住居購入、マンションと戸建てのどちらが良い?メリット・デメリットを比較

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夫婦が「そろそろマイホームを」と考え始めたときに、マンションか戸建てかで迷うこともあるのではないでしょうか。マンションと戸建ては特徴の全く異なる住まいであり、メリットもあればデメリットもあります。

この記事ではマンションと戸建ての特徴やメリット・デメリットを比較し、それぞれどのような夫婦に向いているかを解説します。

目次

  1. マンションと戸建ての特徴を比較
    1-1.マンションと戸建ての物件価格を比較
    1-2.マンションと戸建ての維持費を比較
    1-3.マンションと戸建ての資産価値を比較
    1-4.マンションと戸建ての住み心地を比較
  2. マンションのメリット・デメリット
    2-1.マンションのメリット
    2-2.マンションのデメリット
  3. 戸建てのメリット・デメリット
    3-1.戸建てのメリット
    3-2.戸建てのデメリット
  4. マンション、戸建てにそれぞれ向く夫婦とは?
    4-1.マンションに向く夫婦
    4-2.戸建てに向く夫婦
  5. まとめ

1.マンションと戸建ての特徴を比較

マンションと戸建てのどちらを選ぶかを考える前に、それぞれの特徴を知っておきましょう。

1-1.マンションと戸建ての物件価格を比較

以下は、住宅支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」より、住宅の種類別の所要資金平均額(全国)です。

  • マンション:4,848万円
  • 土地付き注文住宅:4,694万円
  • 建売住宅:3,719万円
  • 注文住宅:3,717万円
  • 中古マンション:3,157万円
  • 中古戸建て:2,704万円

いずれの住宅も価格が上昇傾向にありますが、中でもマンションは高価格なうえに値上がり幅も大きくなっています。

マンションは地方より都会の立地のよい場所に建てられるケースが多く、低金利によって需要が増加していました。大都市を中心として値上がりの傾向が続いています。

1-2.マンションと戸建ての維持費を比較

マイホームを取得する場合、取得費だけでなく維持費も考える必要があります。マンションと戸建ての維持費について比較してみましょう。

マンションと戸建て共通の維持費

マンション、戸建てともに必要となる維持費には、以下のような費用があります。

  • 固定資産税
  • 火災保険料

木造が多い戸建てよりも鉄筋コンクリート造のマンションの方が固定資産税が高めになります。一方、戸建ては木造建築が多いために火災保険料が高めになり、マンションは耐火性が高いために火災保険料は安く抑えられます。

マンションだけにかかる維持費

マンションだけにかかる維持費には、以下のような費用があります。

  • 管理費・修繕積立金
  • 駐車場代

東日本不動産流通機構の「2022年度首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金」によると、管理費と修繕積立金の月額平均は以下のとおりです。

  • 管理費:1万2,480円
  • 修繕積立金:1万1,474円
  • 合計:2万3,954円

住宅ローンの返済に加えて、おおよそ毎月2万円以上の固定費がかかることがわかります。

マイカーを持つ場合、駐車場代もかかります。駐車場代には地域差があり、1万円程度からが相場です。これらのランニングコストはローンの返済とともに資金計画に組み入れる必要があります。

一方で戸建ての場合、修繕積立金のような費用はかかりませんが、将来のリフォームの費用を自主的に準備する必要があります。

1-3.マンションと戸建ての資産価値を比較

マンションか戸建てかを決める要素の1つに資産価値があります。資産価値の比較とは資産価値が高いか、落ちにくいかを比べることです。

マイホームを取得したとしても、子どもの独立などで住み替えを検討する可能性はあります。将来マイホームを手放す際に、資産価値が下がると安い金額で売らなければなりません。

資産価値の種類

資産価値には大きく分けて、「売却価値」と「収益価値」があります。売却価値とは簡単にいうと「いくらで売れるか」の価格、収益価値は「いくらで貸せるか」の家賃収益のことです。

資産価値の高い物件かどうかを検証する際は、売却価値も収益価値も高い物件であると定義して考えてみましょう。この視点で見ると、貸し出す際にすぐに借り手がつき、売り出した際になるべく高い金額で短期間に買い手がつく家が、資産価値の高い物件であると言えます。

マンションの資産価値と戸建ての資産価値

マンションは便利な立地にあるため借り手がつきやすく、収益価値が高いと考えられます。ただし、土地の専有面積が少ないため、築年数が経過して建物の劣化が進むと売却価値は下がってしまうため、適切な建物管理が為されているかどうかという視点も大切です。

一方、木造の多い戸建ては建物の資産価値が早く減っていきますが、資産全体で占める土地割合が大きく、土地は経年劣化の影響を受けません。ただし、戸建はマンションに比べて流動性が低く、借り手や売り手を見つけるのに時間がかかってしまったり、解体が必要な建物である場合には解体費用などの費用も発生します。

1-4.マンションと戸建ての住み心地を比較

ファミリータイプの住宅としてのマンションと戸建ての住み心地を比較してみましょう。ここでは、住み心地を以下のポイントで比較します。

  • セキュリティ
  • 立地と交通の利便性
  • 騒音問題

セキュリティ

警察庁の2022年「住まいる防犯110番」のデータによると侵入窃盗の発生場所別認知件数の割合は、以下のようになっています。

  • 一戸建て住宅:33.0%
  • 3階建て以下の共同住宅:7.8%
  • 4階建て以上の共同住宅:4.3%

上記の割合を見てみると、防犯性能やセキュリティ面ではマンションのほうが安全といえるでしょう。マンションではエントランスがオートロックであったり、管理人や警備会社による24時間体制の管理が為されていることも少なくありません。

一方、戸建て住宅では侵入窃盗の割合が33%となっており、犯罪リスクが高いということがわかります。ホームセキュリティの導入や、防犯カメラの設置など、防犯対策を講じることが大切です。

立地や交通の利便性

マンションは駅の近くのような利便性の高い場所に建てられ、戸建ての住宅街は駅から離れた場所が多い傾向にあります。夫婦共働きの世帯では通勤の利便性は重要で、現役のうちは交通アクセスに優れたマンションが便利と感じる方も多いでしょう。

一方で、地方都市で自動車の利用が多い世帯では、駐車場を借りなくても駐車スペースを準備しやすい戸建てが便利です。

騒音問題

マンションの場合、1つの建物に複数の世帯が生活するため、他の世帯の生活音が伝わりやすいといえます。上下左右の住戸に住む人の足音や話し声がストレスになる可能性もあるでしょう。反対に自分たちの発する生活音が他の住人に迷惑をかけるおそれもあります。

戸建ての場合、通常の生活音が隣近所に伝わって迷惑をかけるケースはほとんどないでしょう。ただし、住宅密集地では子どもの騒ぐ声や楽器の音がトラブルになることも考えられます。

騒音については自分たちのライフスタイルをもとに、マンションと戸建てのどちらがいいかを検討するとよいでしょう。

2.マンションのメリット・デメリット

夫婦で知っておくべきマンションのメリットとデメリットを解説します。

2-1.マンションのメリット

マンションには、以下のようなメリットがあります。

  • 便利な場所に住める
  • セキュリティ面で安心できる
  • 断熱性が高く光熱費が抑えられる
  • 共用部に子どもが遊ぶスペースなどがある物件が多い
  • 耐震性・耐火性に優れる
  • 生活動線がシンプルで家事が楽

マンションは先述のとおり、比較的利便性の高い場所にあり、セキュリティ面で優れています。子育てファミリーには心強いでしょう。また、建物が鉄筋コンクリート造や重量鉄骨などの構造であり、耐震性・耐火性・耐久性に優れています。

断熱性が高く、エネルギーコストが低くなる点もメリットです。間取りもコンパクトなため生活動線がシンプルになり、家事がしやすい点も強みです。ファミリータイプのマンションには子どもが遊ぶスペースもあります。

2-2.マンションのデメリット

マンションには、以下のようなデメリットもあります。

  • 騒音トラブルが発生するリスクがある
  • 修繕積立金・管理費がかかる
  • リフォームが自由にできない
  • 管理規約を守らなくてはならない
  • 広さが限られる

マンションは上下左右に住戸があるため、騒音トラブルが起きやすい点はデメリットです。音の種類によっては隣接した住戸だけでなく広範囲に伝わるケースもあり、注意が必要です。

修繕積立金・管理費は、住宅ローンを完済してからも負担する必要があります。長く住むとリフォームの必要が生じるケースもありますが、管理規約を遵守しなければなりません。

マンションは戸建てに比べて1戸あたりの広さは限られます。子どもの多い世帯では、部屋数が不足するケースもあるでしょう。

3.戸建てのメリット・デメリット

夫婦で知っておくべき戸建てのメリットとデメリットを解説します。

3-1.戸建てのメリット

戸建てには、以下のようなメリットがあります。

  • プライバシーを保ちやすい
  • 土地を取得できる
  • 間取りを自由に決められる
  • 建て替えやリフォームが自由にできる
  • 庭を有効活用できる

戸建ては独立した住宅であるため、隣地との距離が離れているのであれば騒音や近隣の目を気にせずに生活できます。

注文住宅であれば間取りを自由に決められるので、家族構成やライフスタイルに合った家づくりが可能です。将来のリフォームや建て替えも自由にできます。

3-2.戸建てのデメリット

戸建てにはいくつかのデメリットもあります。

  • 維持管理を自力で行わなければならない
  • 立地の悪い場合がある
  • 売却しにくい
  • 自然災害のリスクが高い
  • セキュリティレベルが低い

マンションでは管理費・修繕積立金を支払うことで、建物のメンテナンスを任せられます。しかし、戸建ての維持管理は所有者の自己責任です。庭の手入れや建物の修繕、シロアリ被害に遭った場合の消毒など、労力も費用もかかることを想定しておく必要があります。

マンションは自然災害のリスクは低めですが、戸建ては床上浸水や土砂災害などで大きなダメージを受ける可能性があります。戸建てを取得する場合、利便性だけでなく自然災害のリスクの低い場所を選ぶことも大切です。

また、自由に設計できる反面、こだわりの強い家には買い手がつきにくいというデメリットもあります。

4.マンション、戸建てに求めるものから考える

マンションと戸建てはどちらにも一長一短があり、自分たちに合っているタイプを選ぶことが重要です。これまでの内容を踏まえ、以下ではマンション・戸建てそれぞれに求めることができる点をまとめてみました。

4-1.マンションに求めることができる点

  • 駅から近い、勤務先から近いなどの利便性を重視したい
  • 防犯・防災などの安全面を重視したい
  • 家事のしやすい家に住みたい
  • 将来、住み替える予定がある

4-2.戸建てに求めることができる点

  • プライバシーを重視したい
  • リモートワーク用の部屋や設備を重視したい
  • 家族が多く、広い家が必要
  • 庭付きの家に住みたい

まとめ

マイホーム取得は大きなお金がかかり、やり直しの難しいライフイベントです。取得してから後悔しないために、マンションか戸建てかを夫婦でよく話し合い、価値観をすり合わせることが大切です。自分たちのライフスタイルに合う住まいを取得し、夫婦の夢を実現していきましょう。

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松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員2種 運営サイト : 経営体質改善のヒント