投資信託とETF、どっちが儲かる?同指標ファンドの直近3年の成績を比較

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インデックスファンドは投資信託とETFにそれぞれ設定されています。基本的に同じ指数に対してインデックス投資を行うと同じ値動きになりますが、分配金や信託報酬の差によって運用成績に若干の差が現れます。

当記事では、同じ指標におけるETFと投資信託の運用を比較しつつ、どちらの運用がパフォーマンスを期待できるのか解説します。ETFと投資信託の違いや運用先についてお迷いの方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬や基準価額など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. インデックス投信とETFの成績を比較
    1-1.S&P500
    1-2.TOPIX
  2. 投資信託とETFどちらが儲かる?
    2-1.投資信託とETFの違い
  3. 投資信託とETFの使い分け
    3-1.アクティブ投信の運用は投資信託
    3-2.商品ファンドに強みがあるETF
  4. ETFの価格乖離の対策
  5. まとめ

1.インデックス投信とETFの成績を比較

S&P500とTOPIXのインデックスファンドとETFにて、運用成績の比較を行いました。
数値はSBI証券が公表する2022年3月4日の情報です。

1-1.S&P500

ファンド名 トータルリターン 基準価額 純資産(百万円)
6ヶ月 1年 3年
iシェアーズ S&P500 米国株 (ETF) 2.38% 25.95% 19.41% 356,384円(100口あたり) 77,781
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 2.36% 25.93% 19.46% 17,330円 1,002,547

1-2.TOPIX

ファンド名 トータルリターン 基準価額 純資産(百万円)
6ヶ月 1年 3年
MAXIS トピックス上場投信(ETF) -2.84% 3.26% 7.86% 190,450円(100口あたり) 2,289,279
eMAXIS TOPIXインデックス -0.03% 2.91% 7.52% 25,457円 16,202

S&P500とTOPIXのETFと投資信託を表にまとめてトータルリターンや基準価額、純資産の比較を行いました。

信託報酬費用の分だけ、わずかに運用成績の差が見られますが、ほぼ誤差の範囲です。同じ指数のファンドの運用成績でみると、ETFと投資信託では変わりはないと言えそうです。

2.投資信託とETFどちらが儲かる?

投資信託とETFで同じ指数に対してインデックス投資をすると、より良い成績を出すのはどちらなのでしょうか。

運用上は、同じ指数に連動する成績を目指すため、ほとんど変わらないリターンとなりますが、分配金の有無や、買付手数料、信託報酬の差によって基準価額に差が現れます。

ETFはファンドの運用による基準価額の他に、相場で取引される売買価格があり、状況しだいでは価格が乖離する可能性があります。投資信託とETFの運用の違いは主に、運用コストの差と売買タイミング、基準価額と取引価格が存在することによる価格乖離の有無です。

2-1.投資信託とETFの違い

投資信託とETFの運用を比較するにあたって、それぞれの仕組みを確認しておきましょう。

投資信託のしくみ

投資信託は、投資家から資金を集め、預かった運用資産をもとに専門家であるファンドマネージャーの責任で運用を行う受託スタイルです。

公募投資信託の場合、ファンドの運用テーマや方針を販売用資料にまとめ、銀行や証券会社などの販売会社へ販売を依頼し、出資を募ります。その後の運用成績が良ければ新たな出資が得られ、運用成績が悪いと純資産を失い、基準価額が下落します。

販売会社がファンドを販売し、運用は運用会社へ委託され、投資家から預かった資金は信託銀行などの受託会社にて保管されるため、万が一運用会社や販売会社が破綻しても投資家の資産は無くなりません。

運用会社から指図を受けて実際に売買を行うのは、受託会社の仕事です。基準価額は日々計算され、営業日の夜に更新されます。

ETFのしくみ

ETFは基本的に投資信託と仕組みは同じですが、ETFは指定取引業者である証券会社を介して、運用会社がETFを発行して取引所へ上場しています。発行されたETFを取引所で一般の投資家が売買しているのです。

ETFもファンドとして資金を集め、運用するため基準価額が設定されていますが、取引所での売買価格は日々の取引によって変動しています。

投資信託とETFで運用成績に差が出るポイントは、信託報酬などの運用コストと、基準価額と売買価格の乖離による点が考えられます。

3.投資信託とETFの使い分け

投資信託とETFは上場、非上場の差はありますが、基本的に運用は同じです。同じ系統の運用商品をどのように使い分けると良いのでしょうか。以下2つのポイントにて解説します。

3-1.アクティブ投信の運用は投資信託

投資信託はファンドの数が多いため、インデックス投信や公社債投信など多くのテーマから選ぶことができます。ベンチマークを上回る成績を目指すアクティブファンドは、投資信託から選ぶと良いでしょう。

アクティブファンドはシンプルな株式ファンドから、先物取引を駆使して下落相場の時でも収益を狙うファンドもあり、多くの選択肢があります。現状、ETFでは取り扱いのないアクティブファンドが多く揃っていますので、切り口を変えた運用をお考えの方は、投資信託のファンドを確認してみましょう。

3-2.商品ファンドに強みがあるETF

ETFは指数に連動するインデックスファンドや公社債ファンド、商品ファンドの取り扱いがあります。ETFファンドの特色は、商品ファンドです。投資信託のファンドにも取り扱いはありますが、ETFの商品ファンドは取引量の多さと流動性の高さが強みです。

ETFの商品ファンドは、原油、金、天然ガスなど一つの商品の指数に連動するインデックスファンドとなっているため、運用が分かりやすい特徴があります。地政学リスクによって大きく変動する原油関連の指数は、ETFであれば流動性が高いため臨機応変に売買できます。

4.ETFの価格乖離の対策

ETFには、ファンドの運用成績の指標となる基準価額と、取引所で売買される取引価格の2つの価格があります。マーケットの需給で決まる取引所価格と、ファンドの運用成績で決まる基準価額は必ずしも一致しないため、価格乖離が生じることがあります。

乖離をそのままにしておくと、ベンチマークに連動するというインデックスファンド本来の意味が揺らいでしまうため、対処が必要です。証券取引所では、以下の2つの方法にて価格乖離に対処しています。

  • インディカティブNAVの公表
  • マーケットメイクによる流動性の提供

インディカティブNAVは、ETFのリアルタイム推定値を示すものです。基準価額は前日の夜に発表され、当日の価格変動が反映されないため、投資家がリアルタイムの基準価額の推定値を把握できるように、15秒ごとにインディカティブNAVが公表されています。

インディカティブNAVが公表されていると、売買価格がインディカティブNAVより高いと売り圧力が働き、売買価格がインディカティブNAVよりも低いと買い圧力が働きます。これらの作用によって価格乖離はが起きにくくなるのです。

もう一つの価格乖離対策は、マーケットメイカーによるマーケットメイクです。マーケットメイカーは、証券会社や主に海外の流動性提供会社が担当します。投資家へ売り気配や買い気配が示された板情報を提示し、相対取引の形で売買を行います。マーケットメイカーはマーケットメイクの仕事を請け負った報奨金として、インセンティブを受け取ります。

日本では、2018年からマーケットメイク制度が東証にて導入されました。マーケットメイクは指定されたETFでのみ行われます。

まとめ

ETFと投資信託の大きな違いは、上場と非上場という点です。上場しているETFはリアルタイムでの取引が可能です。運用上の差はあまり見られませんが、投資家の売買の方法によっては、収益に差が出る可能性があります。

投資信託はファンドの本数が多く、さまざまな運用テーマを掲げたファンドがあります。アクティブファンドの豊富さは投資信託に分があります。

ETFは基本的にインデックスファンドが中心です。単一の商品指数に連動する銘柄が数多く揃っています。国際情勢にあわせて機動的取引をしたい原油先物取引では、リアルタイムで売買できるETFが便利です。

投資信託とETFでは、それぞれに強みや特徴がありますので、自分の投資スタイルに合わせて柔軟に使い分けると良いでしょう。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。