世界的にサステナブル投資への関心が高まっています。サステナブル投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を考慮した投資手法で、ESG投資とも呼ばれます。この投資手法は、長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指すものです。
本記事では、NISAでサステナブル投資にチャレンジしたい読者に向けて、日本株や投資信託の選び方やおすすめの銘柄を解説します。投資のプロである筆者がサステナブル投資をするならどのような点に注目するのか、ポートフォリオ構築の考え方も踏まえて説明します。
※本記事は2024年7月23日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 高まるサステナブル投資の重要性
- NISAでサステナブル投資を始めるメリット
- サステナブル投資の銘柄選定基準
- サステナブル投資で注目の日本株
4-1.トヨタ自動車(7203)
4-2.ソニー(6758)
4-3.第一三共(4568)
4-4.日本電信電話(9432)
4-5.リコー(7752) - サステナブル投資でおすすめの投資信託
5-1.eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズ・インデックス(成長投資枠)(7203)
5-2.シュローダー・サステナブル・世界株ファンド(限定為替ヘッジ/為替ヘッジなし)(成長投資枠)
5-3.iFreeESGセレクト・リーダーズ・インデックス(成長投資枠) - ポートフォリオ構築のポイント
- まとめ
1.高まるサステナブル投資の重要性
サステナブル投資が注目される背景には、企業の持続的な成長と社会的責任への関心の高まりがあります。気候変動や社会問題への対応は、企業にとって重要な経営課題となっています。サステナブル投資は、ESGの視点から企業を評価し、長期的な成長力のある企業を選別する投資手法です。
投資家にとっても、サステナブル投資は魅力的な選択肢となっています。ESGへの取り組みが優れた企業は、長期的に安定した収益を生み出す傾向があるからです。また、社会的責任を果たす企業は、ブランドイメージの向上やリスク管理の強化につながるため、投資リスクの低減にもつながります。
2.NISAでサステナブル投資を始めるメリット
参照:金融庁「NISAを知る」
NISAは、少額から投資を始められる非課税制度です。投資による利益に対する税金が非課税となるため、長期的な資産形成に適しています。NISAでサステナブル投資を始めるメリットは以下の通りです。
- 非課税で長期的な資産形成ができる
- 少額から投資を始められる
- 毎年360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)まで非課税枠を利用できる
- 幅広い金融商品から選択できる
例えば、NISAを活用することで、以下のようなサステナブル投資を通じた長期的な資産形成が可能です。
- NISA口座を開設する(証券会社やネット証券で可能)
- ESG評価の高い企業の株式や、サステナブル投資に特化した投資信託を選ぶ
- 成長投資枠(年間240万円)を使ってサステナブル投資やESG関連の株式や投資信託を購入
長期的視点で投資を続け、非課税のメリットを最大限に活用しましょう。市場の変動に一喜一憂せず、定期的に投資先のESG評価をチェックすることが重要です。
3.サステナブル投資の銘柄選定基準
サステナブル投資では、ESGの視点から企業を評価します。具体的には以下のような基準で銘柄を選定します。
- 環境:温室効果ガスの排出量、再生可能エネルギーの活用、廃棄物の削減など
- 社会:人権の尊重、ダイバーシティの推進、労働環境の整備など
- ガバナンス:取締役会の独立性、情報開示の透明性、リスク管理体制など
これらの基準を満たす企業は、長期的に安定した成長が期待できます。また、ESG評価の高い企業は、社会的責任を果たすことで企業価値の向上につながります。
4.サステナブル投資で注目の日本株
以下は、ESGの視点から選定した注目の日本株です。
4-1.トヨタ自動車(7203)
トヨタ自動車は、環境に配慮した技術開発に力を入れています。ハイブリッド車や電気自動車の販売台数は世界トップクラスです。また、サプライチェーン全体での CO2 排出量削減にも取り組んでいます。ガバナンス面でも、社外取締役の比率が高く、経営の透明性が確保されています。
トヨタは、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表し、気候変動や資源枯渇などの地球規模の課題に取り組むことを宣言しました。「トヨタ環境チャレンジ2050」は、6つの主要な目標で構成されており、トヨタはクルマに関連する環境負荷をなくし、その存在が社会にプラスの影響を与えることを目指しています。
この取り組みには、気候変動への対応、資源循環の促進、自然との共生が含まれ、トヨタは事業活動のすべての領域を通じて環境持続可能性を実現することを目指しています。
参照:TOYOTA「トヨタ環境チャレンジ2050」
4-2.ソニー(6758)
ソニーは、環境負荷の低減に向けた取り組みを進めています。製品の小型化・軽量化によって資源の使用量を削減し、再生可能エネルギーを活用。社会面では、ダイバーシティの推進や人権の尊重にも注力しています。
4-3.第一三共(4568)
第一三共は、医療アクセスの向上に取り組む製薬会社です。開発途上国での医療支援活動や、難病治療薬の開発に力を入れています。環境面では、CO2排出量の削減に取り組んでいます。ガバナンス面でも、社外取締役の比率が高く(取締役9名中4名を社外取締役とする体制)、経営の監督機能が働いています。
4-4.日本電信電話(9432)
NTTは、再生可能エネルギーの導入や、ICTを活用した省エネルギーの推進に取り組んでいます。社会面では、ダイバーシティの推進や、通信インフラの整備による社会課題の解決に注力しています。ガバナンス面でも、取締役会の独立性が高く、透明性の高い経営が行われています。
4-5.リコー(7752)
リコーは、環境負荷の低減に向けた製品開発や、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に取り組んでいます。また、ダイバーシティ経営にも力を入れており、女性管理職比率の向上や、障害者雇用の促進に努めています。
5. サステナブル投資でおすすめの投資信託
以下は、サステナブル投資に特化した投資信託です。
5-1.eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス(成長投資枠)
eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズインデックスは、環境、社会、ガバナンス(ESG)要素を重視して選定された日本企業に投資する投資信託です。同ファンドは、日本経済新聞社が提供する「ESGセレクト・リーダーズ・インデックス」をベンチマークとしており、持続可能な成長を目指す企業に重点を置いています。
ESGの観点から企業の社会的責任や持続可能性を評価することで、長期的なリターンの向上を目指す手段として利用されます。
5-2.シュローダー・サステナブル・世界株ファンド(限定為替ヘッジ/為替ヘッジなし)(成長投資枠)
シュローダー・サステナブル・世界株ファンドは、世界中の企業に投資するサステナブルファンドです。同ファンドは、環境、社会、ガバナンス(ESG)基準を重視し、持続可能な成長を目指す企業に焦点を当てています。「限定為替ヘッジ」と「為替ヘッジなし」があり、為替リスクを軽減したい投資家には限定ヘッジ、為替リスクを受け入れる投資家にはヘッジなしが適しているでしょう。
ESG基準を満たす企業への投資を通じて長期的なリターンを目指します。
5-3.iFreeESGセレクト・リーダーズ・インデックス(成長投資枠)
iFreeシリーズの「iFreeESGセレクト・リーダーズ・インデックス」は、環境、社会、ガバナンス(ESG)要素を重視して選定された企業に投資する投資信託です。SBI証券と連携し、ESGに優れた日本企業を中心に投資することで、持続可能な成長を目指しています。ベンチマークは「ESGセレクト・リーダーズ・インデックス」であり、長期的なリターンの向上を目指す投資家にメリットがあります。
ESG基準を重視することで、リスク管理と社会的責任を両立させた投資が可能です。
6.ポートフォリオ構築のポイント
サステナブル投資でポートフォリオを構築する際は、以下の点に注意しましょう。
- 業種の分散:特定の業種に偏らないように、幅広い業種から銘柄を選ぶ
- 企業規模の分散:大型株、中型株、小型株をバランスよく組み入れる
- リスクの分散:ハイリスク・ハイリターンの銘柄とローリスク・ローリターンの銘柄を組み合わせる
- 長期投資:短期的な株価変動に惑わされず、長期的な視点で投資する
上記の日本株と投資信託を参考に、自分なりのポートフォリオを構築してみてください。
7.まとめ
サステナブル投資は長期的な視点で企業を評価し、持続的な社会の実現を目指す投資手法です。NISAを活用することで、非課税で長期的な資産形成が可能です。
本記事では、サステナブル投資の重要性やNISAのメリット、おすすめの日本株と投資信託を紹介しました。投資のプロが注目するESGの視点を取り入れることで、長期的に安定したリターンが期待できます。ぜひ、自分なりのサステナブル投資の基準を持ち、長期的な資産形成に役立ててください。
山下耕太郎
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