ユニバーサル最新作『ジュラシック・ワールド:リバース』が実践する映画製作の脱炭素化

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ユニバーサル・ピクチャーズは、最新作『ジュラシック・ワールド:リバース』の製作において、脚本開発から公開まで全工程で環境配慮型の取り組みを実施したと発表した。米通信・メディア大手コムキャストが7月14日、報じている。同作は先週劇場公開され、恐竜が現代の気候に適応できず赤道付近の限られた環境でのみ生息する世界を描いている。

同作の製作チームは、NBCユニバーサルの環境プログラム「GreenerLight Program」に参加し、撮影による環境負荷の削減と地域社会への貢献を両立させた。現地の環境専門部門を配置し、電力計画から廃棄物削減まで包括的な持続可能な製作基準を実施。リサイクル・堆肥化プログラムの確立、再利用可能な食器類の使用により10万点以上の使い捨て製品を削減、さらに以前の作品のセットや木材を再利用するなどの取り組みを行った。

エネルギー面では、撮影可能な場所では送電網からの電力を優先的に使用し、スタジオ撮影時には100%再生可能エネルギーを活用。ロケーション撮影で送電網が利用できない場合はバッテリーを導入し、発電機の使用を最小限に抑えた。また、暖房用の天然ガスを使用せず、化石燃料由来のディーゼルを再生可能ディーゼル(HVO)に切り替え、電動バイクから26トンの電動トラックまで20台以上のハイブリッド・電気自動車を導入した。

これらの取り組みにより、同作の製作に伴う二酸化炭素排出量を約28%削減し、サステナブル・エンターテインメント・アライアンスが公表する大作映画の業界平均排出量を下回ることに成功した。プロデューサーのフランク・マーシャル氏は「大規模な製作では環境への配慮が不可欠で、撮影前よりも良い状態で現場を去ることが重要」と語った。

地域貢献活動として、出演者とスタッフによる2回のビーチ清掃で2.5トン以上のごみを回収(ヴェロキラプトル100頭分以上の重量に相当)。さらに地元の非営利団体と協力し、海洋汚染の影響を受けた18のサンゴ礁から放置された漁網を回収する海洋保護プロジェクトも支援した。

公開に先立ち、NBCユニバーサルはハリウッド気候サミットでパネルディスカッションを主催。プロデューサーのパトリック・クロウリー氏、俳優のルナ・ブレイズ氏とオードリナ・ミランダ氏、ロサンゼルス郡自然史博物館恐竜研究所のネイサン・スミス所長が登壇し、古生物学の映画での描写と舞台裏での包括的な持続可能性への取り組みについて議論した。スミス所長は「多くの同僚がジュラシックシリーズをきっかけに古生物学の道に進んだ。この映画を見た次世代の古生物学者たちにもインスピレーションを与えている」と述べた。

映画産業における環境配慮の重要性が高まる中、『ジュラシック・ワールド:リバース』は大規模製作における脱炭素化の新たなモデルを示し、エンターテインメントと環境保護の両立が可能であることを実証した。

【参照記事】‘Jurassic World Rebirth’ Embraces Nature and Science from Script to Screen

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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