国連工業開発機関(UNIDO)とレノボは7月9日、サーキュラーエコノミーを加速させるための戦略的協力に合意した。持続可能な工業化と責任ある電子機器管理を促進するプログラムを共同開発し、グローバルサプライチェーン全体での循環性向上を目指す。
今回の協力では、両者の戦略的アプローチと技術的専門知識を組み合わせ、持続可能な技術ソリューションを提供するパートナーへのアクセスを拡大する。具体的には、能力開発の取り組み、意識向上キャンペーン、スキル開発プログラムなどを通じて、グローバルサプライチェーン全体での循環性を支援していく。UNIDOは、循環設計、持続可能な生産、リユース、リサイクル、素材回収などの循環原則を産業バリューチェーン全体に統合することで、従来の「通常の事業」モデルに代わる変革的な選択肢としてサーキュラーエコノミーを推進している。
協力の主要プロジェクトの一つは、地球環境ファシリティ(GEF)が資金提供する「グローバル・エレクトロニクス・マネジメント(GEM)プログラム」だ。UNIDOが主導し、アフリカ開発銀行(AfDB)、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)と連携して実施されるこのプログラムは、アフリカ、アジア、中南米の16カ国で責任ある電子機器管理の環境を整備することを目的としている。金融・技術へのアクセス支援、政策・法制度の変更促進、電子廃棄物の削減、循環性と資源回収の向上などに取り組む。
レノボは、製品への閉ループリサイクル材料(※1)の継続的使用など、サーキュラーエコノミーへの参加を通じて環境への取り組みを加速させている。同社はまた、修理、リサイクル、リユースを促進するサステナビリティサービスを顧客に提供し、製品ライフサイクルの延長と素材の循環維持を支援している。両者は今後、持続可能な工業化を推進する技術の重要性について認識を高めるため、グローバル諮問グループ会議やその他のイベントも開催する予定だ。この新たな協力段階は、包摂的で気候変動に強く、持続可能な未来の構築に向けたUNIDOとレノボの共通のコミットメントを反映している。
※1 編集部注釈:使用済み製品や廃棄物を回収し、元の製品と同じ品質の材料として再生し、再び製品に使用するリサイクルの仕組みのこと
【参照記事】UNIDO and Lenovo collaborate to accelerate circular economy innovation

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- 2050年も化石燃料41〜55%、マッキンゼー最新予測で脱炭素目標達成困難に - 2025年10月20日
- 米Gevo、SAFプロジェクトで14.6億ドルの融資保証期限を延長獲得 - 2025年10月20日
- 米エネルギー省、中西部送電網に16億ドル融資保証 - 2025年10月17日
- 住友金属鉱山とトヨタ、全固体電池用正極材の量産化へ共同開発契約 - 2025年10月17日
- 日本最大16MW、グリーン水素で脱炭素実証 サントリー白州工場で稼働開始 - 2025年10月17日