EU、廃電池リサイクル効率と素材回収の新規則を公表。重要鉱物の回収率目標も設定

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欧州委員会は7月4日、廃電池のリサイクル効率と素材回収の計算・検証に関する新規則を公表した。電池の循環型経済を促進し、グリーン移行を支える重要・戦略的原材料の回収・リサイクルを強化することを目的としている。規則は2025年7月24日に発効する。

新規則は、廃電池に含まれる材料、特に重要・戦略的原材料の高品質なリサイクルと回収を確保することを目指している。リサイクル事業者向けに明確で一貫した計算ガイドラインを設定し、EU域内の廃電池由来の二次原材料市場における不公正な競争を防ぐ狙いがある。電池は持続可能なモビリティを支え、2050年までの気候中立達成に貢献する重要な役割を果たすとされている。

規則では、鉛酸、ニッケルカドミウム、リチウムなどを含む電池について、リサイクル事業者のリサイクル効率を測定する方法論が確立された。また、コバルト、銅、リチウム、ニッケルなどの重要原材料および鉛の回収プロセスも具体的に定められた。さらに、リサイクル事業者から加盟国当局への文書提出に関する統一フォーマットも導入される。

本規則の背景には、EU電池規則(Batteries Regulation)附属書XIIで定められた野心的な目標がある。2025年12月31日までに達成すべきリサイクル効率は、鉛酸電池75%、リチウム系電池65%、ニッケルカドミウム電池80%、その他の電池50%と設定されている。さらに2030年12月31日までには、鉛酸電池80%、リチウム系電池70%への引き上げが予定されている。素材回収については、2027年12月31日までにコバルト、銅、鉛、ニッケルで90%、リチウムで50%の回収率達成を目標とし、2031年12月31日までにはそれぞれ95%、80%への引き上げが計画されている。

今回の規則制定により、EU域内での電池リサイクル産業の競争力強化と、循環型経済への移行が加速することが期待される。電池に使用される材料を経済圏内により長く留めることで、廃棄物の削減と資源の有効活用を促進する狙いだ。

【参照記事】Circular Economy: New rules to boost recycling efficiency and material recovery from waste batteries  

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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