長期投資には株・ETF・投資信託どれが良い?メリット・デメリットを比較

資産運用には、株式やETF、投資信託など多くの手段がありますが、長期投資に向いているのはどの金融商品なのでしょうか。数年・数十年にわたって同じ商品を保有し続ける長期投資では、「この金融商品でよいのだろうか」と不安になることも少なくありません。

そこで本記事では、長期投資で重視すべきポイントや各金融商品のメリット・デメリットについて解説していきます。

目次

  1. 長期投資で重視すべき3つのポイント
    1-1.コスト
    1-2.価格の変動幅の大きさ
    1-3.運用にかかる手間
  2. 株式投資のメリット・デメリット
    2-1.株式投資のメリット
    2-2.株式投資のデメリット
  3. ETF(上場投資信託)のメリット・デメリット
    3-1.ETFのメリット
    3-2.ETFのデメリット
  4. 投資信託のメリット・デメリット
    4-1.投資信託のメリット
    4-2.投資信託のデメリット
  5. まとめ

1.長期投資で重視すべき3つのポイント

長期投資に取り組む際は、次の3つのポイントを重視することが大切です。

  • コスト
  • 価格の変動幅の大きさ
  • 運用にかける手間

それぞれ詳しく解説します。

1-1.コスト

運用期間が数年・数十年にわたる長期投資では、運用にかかるコストが投資成果に大きな影響を与えます。

たとえば、同じ100万円を運用するケースでも、年間コストが0.5%の場合と1.5%の場合では、得られる利益も大きく異なります。1ポイント(1.5%-0.5%)の差があるので、1万円(100万円×1%)のコスト差があるのです。

そして、10年だと10万円、20年だと20万円の差になります。短期で見ればそれほど変わりないコストであっても、運用期間が長くなるほど差が大きくなるため、特に長期投資ではなるべくコストを抑えることが大切です。

1-2.価格の変動幅の大きさ

長期投資では、金融商品の値幅の大きさも重視しましょう。

値幅の大きい商品に投資をすると、ことあるごとに「こんなに下がって大丈夫なのか」「長期投資をしてもリターンを得られないのでは」と不安が生まれてしまい、途中で売却してしまうことがあります。長期保有を前提としているのに、短期的な不安で売買を繰り返してしまっては意味がありません。

心理的な不安に左右されずに長期保有を続けるためには、自分のリスク許容度に見合った金融商品を選ぶことが大切です。

1-3.運用にかかる手間

長期投資では、運用にかかる手間も重要なポイントです。長期投資を前提として保有している商品でも、「値幅が大きく、常に相場をチェックする必要がある」「ニッチな分野の株式なので、業界動向を把握しなければならない」など管理に手間のかかる商品は、途中で手放したくなってしまう可能性があります。

基本的には「運用を始めたら、後は寝かせておくだけ」といった手間のかからない金融商品を選ぶ方が、無理なく長期間運用を続けられます。

2.株式投資のメリット・デメリット

長期投資では、各金融商品のメリット・デメリットを理解した上で運用に取り組む必要があります。まずは、株式投資のメリット・デメリットについて解説します。

2-1.株式投資のメリット

個別企業に直接投資する株式投資は、次のようなメリットが挙げられます。

  • 保有中のコストがかからない
  • 配当や株主優待が利用できる
  • 注文方法にバリエーションがある

株式投資は購入時や売却時に取引手数料が発生するものの、現物株であれば保有中にコストが発生することはありません。長期投資しても保有コストがかさむことがないため、コストを重視する人には適した金融商品です。

また、株式投資には配当金や株主優待があることも特徴です。基本的に長期投資は「ただ保有しておくだけ」の運用方法であるため、投資の楽しみを実感する機会もあまりありません。しかし、配当や株主優待が受けられる銘柄であれば、定期的な楽しみも生まれ、運用期間中も投資の醍醐味を感じられるメリットがあります。

さらに株式投資は、注文方法にバリエーションがあることも特徴です。指値注文や成行注文、逆指値など様々な種類があり、相場に合わせて注文方法を選べます。投資信託では、思いもよらない価格で約定することもあるため(詳しくは後述)、「自分が希望する価格以外では約定しない」という選択ができる株式投資は投資家にとって大きなメリットがあるといえます。

2-2.株式投資のデメリット

様々なメリットが挙げられる株式投資ですが、次のようなデメリットも存在します。

  • 株価が大きく変動する可能性がある
  • 業界分析や企業分析が必要
  • まとまった投資資金が必要

株式投資は投資信託など他の金融商品に比べて、変動幅が大きい特徴があります。万が一投資先の企業が破綻してしまえば投資資金が戻らないリスクもあることから、企業分析や業界分析もしっかりと行わなければいけません。

そのため、「投資に手間をかけたくない」「大きなリスクを取りたくない」という人にはあまり向いていません。

また、国内株式の場合は単元(100株)ごとの取引となることから、投資にまとまった資金が必要となります。「まずは少額投資で取り組みたい」という人にとっては、少しハードルが高い金融商品です。

3.ETF(上場投資信託)のメリット・デメリット

次に、ETFのメリット・デメリットについて解説します。ETFとは、証券取引所に上場している投資信託です。

3-1.ETFのメリット

ETFには、次の3つのメリットが挙げられます。

  • 複数の銘柄に分散投資できる
  • リアルタイムで売買できる
  • 投信に比べて保有中のコストが低い

ETFは複数の銘柄に分散投資しながら運用されているため、1つのファンドを購入するだけでリスク分散ができるメリットがあります。「どの企業がいいか分からない」「リスクが偏るのが怖い」という人にとっては、手軽に分散投資できる金融商品です。

また、ETFは株式市場に上場していることから、リアルタイムで売買できることも特徴です。株式のように市場動向を見ながら追加購入もできるため、「価格が下がったら買い増しをしたい」という意向がある人にも向いています。

さらに、ETFは投信に比べて保有コストが低いこともメリットのひとつです。ETFは一般の投信と違って販売会社(証券会社や銀行など)のコストがかからないため、信託報酬が安価に設定されています。「投資信託の分散投資効果は魅力的だけど、保有コストがネックだ」という人はETFを検討するのもいいでしょう。

3-2.ETFのデメリット

一方、ETFには次のようなデメリットもあります。

  • 国内ETFは一般の投資信託に比べて銘柄数が少ない
  • 銘柄によってはまとまった投資資金が必要
  • つみたてNISAの対象銘柄が少ない

国内の投資信託は約6,000本もの種類があるのに対して、ETFはそれほど種類が多くありません。つみたてNISAの対象銘柄も7本(※1)のみであるため、投資先の選択肢が広いとはいえません。

また、銘柄によってはまとまった投資資金が必要となることもあり、100円から購入できる投資信託に比べると利便性が劣る点もあります。

(※1)2022年10月31日現在

4.投資信託のメリット・デメリット

最後に、投資信託のメリット・デメリットについて解説します。

4-1.投資信託のメリット

投資信託には、次の3つのメリットがあります。

  • 少額から投資ができる
  • リスク許容度に応じて様々な銘柄がある
  • 複数の銘柄に分散投資できる

投資信託の最低購入金額は証券会社によって異なりますが、中には100円から購入できる証券会社もあり、初心者でも気軽に始めやすいメリットがあります。

また、投資信託は1つのファンドで複数の銘柄に分散投資していることから、「どんな銘柄に投資したらいいか分からない」「自分で銘柄を選定する自信がない」という人でも、リスク投資をすることが可能です。

さらに国内の投資信託にはおよそ6,000本もの種類があり、リスクを取りながらリターンを追求するファンドや、リスクを抑えながらリターンを目指すファンドなど様々なものがあります。投資家は自分のリスク許容度に合わせてファンドを選べるため、投資意向に合った方法で運用しやすい点も大きなメリットです。

4-2.投資信託のデメリット

初心者にも適した投資信託ですが、次のようなデメリットも挙げられます。

  • 約定価格がブラインド方式
  • 保有中にもコストが発生する
  • 信託期間が短いファンドがある

投資信託は1日1つの価格で取引され、株式やETFのようにリアルタイムで値動きすることはありません。投資家が売買する時点では価格が分からない「ブラインド方式」で取引されるため、約定した後に「想定していた価格帯から大きく動いてしまった」ということもあり得ます。

また、投資信託は売買時だけでなく、保有中にもコストが発生します。保有中のコストである「信託報酬」はファンドによって異なる(0.5~2%)ため、購入前に必ずチェックしましょう。

最後に、信託期間の設定にも注意が必要です。投資信託には必ず信託期間が設定されており、信託期間が終われば投資家に資金が戻されます。たとえば、「20年はこのファンドで運用したい」と思っても、信託期間が終了してしまえば運用を続けることはできません。

信託期間は延長されることもありますが、購入前にはあらかじめ残りの信託期間を確認しておくことが大切です。

まとめ

株式・ETF・投資信託にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どれが長期投資に向いているかは個人の投資意向にもよります。たとえば「投資期間中も投資の楽しみが欲しい」という人は配当や株主優待がある株式、「リスクを抑えて分散投資したい」という人はETFや投資信託が良いでしょう。

長期投資は何年・何十年もかけて同じ商品を保有し続けるため、それぞれの金融商品の特徴を理解した上で運用に取り組むようにしてください。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011