長期投資には株・ETF・投資信託どれが良い?メリット・デメリットを比較

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資産運用には、株式やETF、投資信託など多くの手段がありますが、長期投資に向いているのはどの金融商品なのでしょうか。数年・数十年にわたって同じ金融資産を保有し続ける長期投資では、投資経験の浅い方にとって、「本当にこの商品でよいのだろうか」と不安になることも少なくありません。

そこで本記事では、長期投資で重視すべきポイントや各金融商品のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。資産運用が初めての方や、新NISAの商品選びで迷っている方は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2024年6月22日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 長期投資で重視すべき3つのポイント
    1-1.コスト
    1-2.価格の変動幅の大きさ
    1-3.運用にかかる手間
  2. 株式投資のメリット・デメリット
    2-1.株式投資のメリット
    2-2.株式投資のデメリット
  3. ETF(上場投資信託)のメリット・デメリット
    3-1.ETFのメリット
    3-2.ETFのデメリット
  4. 投資信託のメリット・デメリット
    4-1.投資信託のメリット
    4-2.投資信託のデメリット
  5. まとめ

1.長期投資で重視すべき3つのポイント

短期間で売却益を狙う短期投資と異なり、長期間に渡って同じ金融商品を定期的に買い付ける長期投資に取り組む際は、次の3つのポイントを重視することが大切です。

  • 運用コスト
  • 価格のボラティリティ(変動幅)の大きさ
  • 運用にかける手間

それぞれ詳しく解説します。

1-1.運用コスト

運用期間が数年・数十年にわたる長期投資では、運用にかかるコストが最終的な投資成果に大きな影響を与えます。

たとえば、同じ100万円を運用するケースでも、年間コストが0.5%の場合と1.5%の場合では、得られる利益も大きく異なります。両者には1ポイント(1.5%-0.5%)の差があるので、年間1万円(100万円×1%)のコスト差が発生するのです。

そして、運用期間が10年だとコストは10万円、20年だと20万円の差に拡がっていきます。短期で見ればそれほど変わりないコストであっても、運用期間が長くなるほど差が大きくなるため、特に長期投資ではなるべくコストを抑えること=低コストな商品選びが大切になるのです。

1-2.価格のボラティリティ(変動幅)の大きさ

長期投資では、金融商品の値動きの大きさも重視しましょう。株式や債券等の金融商品は価格変動リスクを伴います。日々取引される金融商品の価格は、需給状況や地政学的なリスクに応じて上昇と下落を繰り返しています。

そのため、値動きの大きい商品に投資をすると、ことあるごとに「こんなに下がって大丈夫なのか」「長期投資をしてもリターンを得られないのでは」との不安が生まれてしまい、精神的な焦りから合理的な判断を下せず、損失が確定するにも関わらず途中で売却してしまうことがあります。長期保有を前提としているのに、一時的な不安で売買を繰り返してしまっては意味がありません。

心理的な不安に左右されずに長期保有を続けるためには、定期的に一定額を買付するドルコスト平均法が向いています。これは、価格が低い時には金融商品を多く購入し、価格が高い時には少なく購入することになるので、平均購入価格の平準化して価格変動リスクを抑える効果が期待できます。また、ドルコスト平均法の買い方は、投資初心者であっても購入するタイミングを迷わないので、常に合理的な判断を下せる点もメリットです

このほか、自分のリスク許容度を明確にし、それに見合った金融商品を選ぶことが大切です。

1-3.運用にかかる手間

長期投資では、運用にかかる手間も重要なポイントです。長期投資を前提として保有している商品でも、「値動きが大きく、相場やチャートの動向を常にチェックする必要がある」「ニッチな分野の株式なので、業界動向を把握しなければならない」など運用管理に手間のかかる商品は、途中で手放したくなってしまう可能性があります。

長期投資では、基本的には「運用を始めたら、後は寝かせておくだけ」といった手間のかからない金融商品を選ぶほうが気持ち的にも楽なので、投資経験の浅い方であっても長期間無理なく続けられます。

2.株式投資のメリット・デメリット

長期投資では、各金融商品のメリット・デメリットを理解した上で運用に取り組む必要があります。まずは、株式投資のメリット・デメリットについて解説します。

2-1.株式投資のメリット

  • 保有中のコストがかからない
  • 配当や株主優待が利用できる
  • 注文方法にバリエーションがある

保有中のコストがかからない

株式投資は購入時や売却時に取引手数料が発生するものの、現物株取引であれば保有中にコストが発生することはありません。長期投資しても保有コストがかさむことがないため、コストを重視する人には適した金融商品です。

なお、2024年6月22日時点では、SBI証券や楽天証券等のネット証券を中心に、国内の現物株取引(単元未満株取引を含む場合も)や信用取引の取引手数料を無料にしている証券会社もあるので、運用コストをさらに抑えることが可能です。

配当や株主優待が利用できる

また、株式投資には配当金や株主優待があることも特徴です。配当とは、企業が稼いだ利益を投資家に分配することで、株主は保有株数に応じて配当金を受け取ることができます。日本の場合、年1回もしくは2回の配当を実施している企業が多くあります。

一方、株主優待とは、企業が株主に提供する商品やサービスです。株主は持ち株数に応じて商品券や割引券などの優待商品を受け取れます。

基本的に長期投資は、「ただ保有しておくだけ」の運用方法であるため、投資の楽しみを実感する機会もあまりありません。しかし、配当金や株主優待が受けられる銘柄であれば、定期的な楽しみも生まれ、運用期間中も投資の醍醐味を感じられるメリットがあります。

注文方法にバリエーションがある

さらに株式投資は、注文方法にバリエーションがあることも特徴です。指値注文や成行注文、逆指値など様々な種類があり、相場に合わせて最適な注文方法を選べます。投資信託では、思いもよらない価格で約定することもあるため(詳しくは後述)、「自分が希望する価格以外では約定させたくない」という選択ができる株式投資は、個人投資家にとって大きなメリットがあるといえます。

2-2.株式投資のデメリット

  • 変動幅が大きい
  • 業界分析や企業分析が必要
  • まとまった投資資金が必要

変動幅が大きい

株式投資は投資信託など他の金融商品に比べて、変動幅が大きい特徴があります。金融商品には相場に応じて価格が上下動する価格変動リスクがあります。特に株式は、価格のボラティリティ(変動幅のこと)が高く、元本割れを起こす可能性の非常に高い商品です。しかし、その分、リターンも大きいので、銘柄選びや購入と売却のタイミングを慎重に判断する必要があります。

業界分析や企業分析が必要

万が一投資先の企業が破綻してしまえば投資資金が戻らないリスクもあることから、企業分析や業界分析等のファンダメンタルズ分析もしっかりと行わなければいけません。そのため、「投資に手間をかけたくない」「大きなリスクを取りたくない」「テクニカル分析だけで済ませたい」という人にはあまり向いていません。

まとまった投資資金が必要

また、国内株式の場合は1単元(100株)ごとの取引となることから、数万円~数十万円といった投資にまとまった資金が必要となります。「まずは少額投資で取り組みたい」という人にとっては、少しハードルが高い金融商品です。

3.ETF(上場投資信託)のメリット・デメリット

次に、ETFのメリット・デメリットについて解説します。ETFとは、証券取引所に上場している投資信託です。

3-1.ETFのメリット

ETFには、次の3つのメリットが挙げられます。

  • 複数の銘柄に分散投資できる
  • リアルタイムで売買できる
  • 投信に比べて保有中のコストが低い

複数の銘柄に分散投資できる

ETFは複数の銘柄に分散投資しながら運用されているため、1つのファンドを購入するだけでリスク分散ができるメリットがあります。「どの企業を選べばいいのか分からない」「リスクが偏るのが怖い」という人にとっては、手軽に分散投資できる金融商品であり、長期保有に適した商品も多く揃っています。

リアルタイムで売買できる

また、ETFは株式市場に上場していることから、リアルタイムで売買できることも特徴です。株式のように市場動向を見ながら追加購入もできるため、「価格が下がったら買い増しをしたい」という意向がある人にも向いています。

投信に比べて保有中のコストが低い

さらに、ETFは投資信託に比べて保有コストが低いこともメリットのひとつです。ETFは一般の投信と違って販売会社(証券会社や銀行など)のコストがかからないため、信託報酬が基本的に1%未満と安価に設定されています。「投資信託の分散投資効果は魅力的だけど、保有コストがネックだ」「長期投資目的なので信託報酬はできるだけ安いほうが良い」という人はETFを検討するのもいいでしょう。

3-2.ETFのデメリット

一方、ETFには次のようなデメリットもあります。

  • 国内ETFは一般の投資信託に比べて銘柄数が少ない
  • 銘柄によってはまとまった投資資金が必要
  • NISA(つみたて投資枠)の対象銘柄が少ない

国内ETFは一般の投資信託に比べて銘柄数が少ない

国内の投資信託は約6,000本もの種類があるのに対して、ETFはそれほど種類が多くありません。東京証券取引所に上場しているETFの銘柄数は、国内・海外合わせて328本(※1)と限られています。

(※1)2024年6月22日現在

銘柄によってはまとまった投資資金が必要

また、ETFは、銘柄によってはまとまった投資資金が必要となることもあり、100円から購入できる投資信託に比べると利便性が劣る点もあります。ETFの最低購入資金は取引価格(株価)×購入口数です。ETFの購入単位は、1口、10口、100口、1,000口の種類があり、銘柄によって異なります。

NISA(つみたて投資枠)の対象銘柄が少ない

つみたてNISAの対象銘柄も8本(※2)のみであるため、投資先の選択肢が広いとはいえません。また、投資信託のように分配金を自動的に再投資に回すこともできないので、長期投資と相性の良い複利効果を狙う場合は、手動で行う必要があります。

(※2)2024年6月22日現在

4.投資信託のメリット・デメリット

最後に、投資信託のメリット・デメリットについて解説します。

4-1.投資信託のメリット

投資信託には、次の3つのメリットがあります。

  • 少額から投資ができる
  • リスク許容度に応じて様々な銘柄がある
  • 複数の銘柄に分散投資できる

少額から投資ができる

投資信託の最低購入金額は証券会社によって異なりますが、中には100円から購入できる証券会社もあり、初心者でも気軽に始めやすいメリットがあります。積立頻度も毎日・毎週・毎月から好きに選べるので、収入状況に合わせた長期の積立投資を実践しやすいのも特徴です。

リスク許容度に応じて様々な銘柄がある

また、投資信託は1つのファンドで複数の銘柄に分散投資していることから、「どんな銘柄に投資したらいいか分からない」「自分で銘柄を選定する自信がない」という人でも、リスク分散を考慮した投資をすることが可能です。

複数の銘柄に分散投資できる

さらに国内の投資信託にはおよそ6,000本もの種類があり、リスクを取りながらリターンを追求するファンドや、リスクを抑えながらリターンを目指すファンドなど様々なものがあります。投資信託は長期・積立・分散の投資スタイルが基本です。投資家は自分のリスク許容度に合わせてファンドを選べるため、投資意向に合った方法で運用しやすい点も大きなメリットです。

4-2.投資信託のデメリット

初心者にも適した投資信託ですが、次のようなデメリットも挙げられます。

  • 約定価格がブラインド方式
  • 保有中にもコストが発生する
  • 信託期間が短いファンドがある

約定価格がブラインド方式

投資信託は1日1回決まる価格で取引され、株式やETFのようにリアルタイムで値動きすることはありません。投資家が売買する時点では価格が分からない「ブラインド方式」で取引されるため(例えば、国内資産に投資する投資信託の場合、当日の投資信託の基準価額が決まるのは、国内マーケットの終値を基に夕方から夜にかけて算出される)、約定した後に「想定していた価格帯から大きく動いてしまった」ということもあり得ます。

保有中にもコストが発生する

また、投資信託は売買時だけでなく、保有中にもコストが発生します。保有中のコストである「信託報酬」はファンドによって0.01~2%程度と大きく異なるため、長期投資を行う場合は購入前に必ずチェックしましょう。通常、信託報酬の低いファンドはインデックスファンド(日経平均やTOPIXなどの株価指数等に連動する投資成果を目指すファンド)と呼ばれ、信託報酬の高いファンドはアクティブファンド(目標とするベンチマークを上回る投資成果を目指すファンド)と呼ばれています。

信託期間が短いファンドがある

後に、信託期間の設定にも注意が必要です。投資信託には必ず信託期間が設定されており、信託期間が終われば投資家に償還されます(資金が戻されます)。たとえば、「20年はこのファンドで運用したい」と思っても、信託期間が終了してしまえば運用を続けることはできません。

償還日(信託期間が終了する日)が無期限のファンドもあれば、購入したファンドが償還間近のファンドという可能性もあります。信託期間は延長されることもありますが、購入前にはあらかじめ残りの信託期間を確認しておくことが大切です。

まとめ

株式・ETF・投資信託にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どれが長期投資に向いているかは個人の投資目的や意向にもよります。たとえば、「投資期間中も投資の楽しみが欲しい」「銘柄選びは自分で行いたい」という人は、低コストで配当や株主優待がある株式、「リスクを抑えて分散投資したい」「手間をかけず積立投資で長期的に資産形成したい」という人はETFや投資信託が良いでしょう。

長期投資は何年・何十年もかけて同じ商品を保有し続けるため、それぞれの金融商品の特徴を理解した上で運用に取り組むようにしてください。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011