投資信託の純資産総額、目安は?銘柄選びのポイントも

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投資信託のファンドを選ぶ時に目にする純資産総額。公募によってファンドに集まったお金、ということはお分かりの方もいるかと思いますが、純資産総額の大きいファンドほど良い銘柄と言えるのでしょうか。また、実際の運用や基準価額との関連性はあるのでしょうか。

この記事では、純資産総額から見るファンドの運用状況や、基準価額との関連性、純資産総額から見たファンドの選び方などを詳しく解説しています。投資信託の選び方がわからない方、純資産総額とファンドの関連性が気になる方などは、ご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2024年6月16日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 投資信託の純資産総額とはファンドの規模を示すもの
    1-1.純資産総額に関する気になるポイント
  2. 純資産総額が増加すると基準価額も上がる?
    2-1.基準価額の計算方法
  3. 純資産総額の規模と運用
    3-1.純資産総額が多いと良い運用ができるのか
    3-2.純資産総額の目安は?
  4. 純資産総額に関するランキング
    4-1.純資産総額ランキング
    4-2.資産流入ランキング
    4-3.資産流出ランキング
    4-4.好パフォーマンスランキング
  5. まとめ

1.投資信託の純資産総額とはファンドの規模を示すもの

純資産総額は、ファンドのすべての資産である総資産額から、支払いが終わっていない信託報酬などの費用を差し引いた差額のことを指します。そもそも投資信託は、投資家の方から集めた資金をプールしてファンドマネージャーの責任で運用を行い、投資額に応じた持ち分を各投資家に受益権(分配金などを受け取る権利)として販売する商品です。

投資家は、少額資金でも分散投資されたファンドに投資できるメリットがある一方、その銘柄本数は上場株式のように多いため、どのような基準で選べばいいのか難しいのがデメリットとも言えます。様々な選定ポイントの中でも純資産総額は、ファンドの規模や健全性を判断する指標の一つとして活用することができます。

1-1.純資産総額に関する気になるポイント

ファンドの規模を表す純資産総額ですが、基準価額の動きとどのように関係しているのでしょうか。

基準価額が下落しつつ純資産総額も下がっている

一般的にこのような状況は、投資家が運用の見通しが悪いとして、途中解約が相次いでいる状況です。

他の投資家が一斉に解約しているからといって、即座に同調する必要はありません。基準価額が大きく下がっている場合、運用会社のサイトで確認すると原因や今後の見通しが書かれた月次レポート等が公表されていることがありますので、状況の確認のためサイトへアクセスしてみましょう。

決算による分配直後など一時的な値動きであれば心配する必要はありませんが、長期的に見て同じ資産クラスやカテゴリーに投資しているファンドと比べて運用成績が悪い場合、運用を継続するべきか否かの判断を行う必要があります。

基準価額は下がっていないが純資産総額は下落している

基準価額がそこまで下がっていないのに、純資産総額は大きく下がっている場合、お金の出入りによる要因が考えられます。あまりに規模が小さくなりすぎると運用に支障をきたす場合があります。

投資信託の目論見書には、繰上償還(ファンドの運用期間が満期を迎える前に終了すること)となる対象の口数が記載されていますが、信託期間(運用期間)が無期限となっているファンドでも、この数値に近づいているようであれば、今後も運用を続けるかどうかの是非を決めなければいけません。

なお、分配金が支払われた時も純資産総額は減少します。この場合、純資産総額の減少は一時的なものなので、そこまで気にする必要はないでしょう。

2.純資産総額が増加すると基準価額も上がる?

純資産総額が増えると、その分だけ基準価額も増えるのでしょうか。純資産総額と基準価額の関連性を理解するために、基準価額の計算方法を確認しましょう。

2-1.基準価額の計算方法

基準価額とは、1口当たりの投資信託の価格です。なお、銘柄選びの時や目論見書を確認するときに見かける基準価額は1万口当たりの数字となっています。

基準価額の計算式は、純資産総額を総口数(ファンドに投資している投資家が保有している口数をすべて合わせたもの)で割って求めます。1万口あたりの価格を表す基準価額の場合、さらに1万倍にするので、基準価額は1口あたりの純資産総額と見ることもできます。

例えば、Aさん、Bさん、Cさんが、3万口、2万口、5万口買い付けた場合、総口数は10万口です。運用会社へ支払う費用を差し引いた分の純資産総額が20万円だった場合、ファンドの基準価額は以下のように計算されます。

  • 純資産総額20万円÷総口数10万口=2円
  • 1万口あたりの基準価額は20,000円

ファンドの基準価額は株式のような需要と供給で決まるものではなく、客観的な評価額として基準価額に表されています。なお、基準価額は、当日の取引の終了後、計算されています(1日1回)。最新の基準価額の発表時間は、運用会社によって異なりますが、夕方から夜にかけて行われ、投資家がその価格で取引できるのは翌日となります。このように、受益者(投資家)の公平性を保つため、当日の基準価額がわからない状況で取引することは、ブラインド方式と呼ばれています。

3.純資産総額の規模と運用

純資産総額の金額が大きければ大きいほど運用の成果が出せるのでしょうか。ここでは、純資産総額と運用の関係性について解説します。

3-1.純資産総額が多いと良い運用ができるのか

純資産総額の多いファンドは多くの資産を保有しているので、余裕のある資産運用が可能です。主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  1. 経費率を抑えられる
  2. 銘柄の入れ替えが行いやすい
  3. 繰り上げ償還されにくい

規模の小さなファンドは、投資できる銘柄に制限があるため、理想のポートフォリオを組めない可能性があります。また、頻繁に銘柄の売買を行っていると、リバランスの兼ね合いにより売りたくない銘柄まで売却するケースに陥ることがあります。基準価額にも影響するので、銘柄の思い切った入れ替えを行いづらくなるのです。

一方、規模の大きなファンドは繰上償還のリスクも低めです。繰上償還の条件は、目論見書に記載してありますが、例えば、「受益権の口数が〇〇億口を下回ることとなった場合」に信託期間を繰り上げて償還するなどです。このほか、対象インデックスが改廃された時や、ファンドの償還が受益者の有利であると認められるときなども繰上償還の対象となり、運用が強制的に途中で終わってしまいます。

「ファンドの規模が大きければ良い運用ができる」とは言えませんが、余裕がある柔軟な運用ができることは確かでしょう。

3-2.純資産総額の目安は?

では、どの程度の規模のファンドへ投資するのが良いのでしょうか。

SBI証券の銘柄検索で調べてみると、運用期間3年以上のスクリーニングでは純資産総額が少ないファンドもありましたが、5年以上の期間、運用を続けているファンドはおおよそ、100億円以上の純資産額を保有していました(2024年6月16日調査)。

純資産総額で100億円以上の資産を維持しつつ、5年以上の運用を行っているファンドが多いことから、中長期でみると純資産総額の目安は100億円以上と考えても良いでしょう。

ファンド規模の目安ですが、2024年6月16日現在、SBI証券取扱のファンドである「UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))」の最高純資産総額は4兆円を超えており、S&P500のインデックスファンドで純資産総額100億円を超える銘柄は13本以上となっています。

4.純資産総額に注目してファンドを選ぶ

SBI証券の取り扱いファンドから、純資産総額の多さや、純資産の増加に注目してランキングトップ10をピックアップしました。

4-1.純資産総額ランキング

2024年6月14日現在、SBI証券で取り扱っている投資信託の純資産総額ランキングトップ10です。参考に基準価額も載せました。基準価額は分配再投資分も合わせて分析すると、本来の運用成績がわかります。

ファンド名 純資産総額(百万円) 基準価額(円)
1.三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 4,878,251 30,755
2.三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 3,656,398 25,673
3.アライアンス-アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月Hなし予想分配 3,009,589 13,391
4.SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・S&P500) 1,717,459 28,118
5.楽天-楽天・全米株式インデックス・ファンド (愛称:楽天・VTI) 1,586,038 31,031
6.インベスコ-インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型) (愛称:世界のベスト) 1,461,350 9,947
7.アライアンス-アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信B Hなし 1,373,169 74,448
8.GS-netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし) 1,152,267 35,818
9.ピクテ-ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) 915,950 2,698
10.フィデリティ-フィデリティ・世界割安成長株投信 B(Hなし) (愛称:テンバガー・ハンター) 848,853 32,982

※純資産総額、基準価額ともに2024年6月14日時点の情報です。

4-2.資産流入ランキング

2024年6月14日現在、SBI証券で6か月連続で資金流入プラスを続けているファンドランキングトップ10です。流入金額から流出金額を引いて、差額が大きなファンドから上位表示しています。

ファンド名 純資産額(百万円) 基準価額(円)
1.三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 4,878,251 30,755
2.三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 3,656,398 25,673
3.アライアンス-アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月Hなし予想分配 3,009,589 13,391
4.SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド (愛称:SBI・V・S&P500) 1,717,459 28,118
5.楽天-楽天・全米株式インデックス・ファンド (愛称:楽天・VTI) 1,586,038 31,031
6.インベスコ-インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型) (愛称:世界のベスト) 1,461,350 9,947
7.アライアンス-アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信B Hなし 1,373,169 74,448
10.フィデリティ-フィデリティ・世界割安成長株投信 B(Hなし) (愛称:テンバガー・ハンター) 848,853 32,982
9. 三菱UFJ-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス 772,615 31,186
10. フィデリティ-フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(毎月決算)B(Hなし) 731,829 3,638

※純資産総額、基準価額ともに2024年6月14日時点の情報です。

4-3.資産流出ランキング

2024年6月14日現在、SBI証券で6か月連続で資金流出を続けているファンドランキングトップ10です。流入金額から流出金額を引いて、差額が大きなファンドを上位表示しています。ファンドの人気度を測る指標としてご参考ください。

ファンド名 純資産額(百万円) 基準価額(円)
1.ピクテ-ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) 915,950 2,698
2.大和-ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) 758,251 2,450
3.One-グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) (愛称:未来の世界) 711,591 39,576
4.三井住友TAM-次世代通信関連 世界株式戦略ファンド (愛称:THE 5G) 502,536 26,641
5.三井住友DS-グローバルAIファンド 473,056 46,059
6.One-投資のソムリエ 378,793 10,505
7.三菱UFJ-サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし) 353,994 37,411
8.三井住友TAM-J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) 334,873 4,755
9.アライアンス-アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信C 毎月Hあり予想分配 317,768 11,072
10.東京海上-東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) (愛称:円奏会) 303,485 9,006

※純資産総額、基準価額ともに2024年6月14日時点の情報です。

4-4.好パフォーマンスランキング

続けて、2024年6月14日現在、信託報酬0.55%以下、シャープレシオ2.0以上、純資産100億円以上、トータルリターン3年10%以上、運用期間10年以上、ファンドレーティング星4つ以上のNISA(つみたて投資枠)対応のファンドを選出しました。低コストかつ長期で好調なパフォーマンスを発揮しているファンドを選びたい方は参考にしてみてください。

ファンド名 純資産額(百万円) 基準価額(円)
1. ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 747,528 41,195
2. 三井住友TAM-世界経済インデックスファンド 321,376 37,780
3. 三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド 248,626 55,194
4. 三井住友TAM-SMT グローバル株式インデックス・オープン 232,229 45,250
5. 三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド 138,822 47,381
6. 東京海上-東京海上セレクション・外国株式インデックス 81,310 64,280
7. ニッセイ-DCニッセイワールドセレクトファンド(株式重視型) 53,362 42,438
8. 東京海上-東京海上セレクション・日本株TOPIX 46,882 36,823
9. ブラックロック-iシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド 46,441 57,956
10.三井住友DS-三井住友・DC年金バランス70(株式重点型) (愛称:マイパッケージ) 35,244 28,016

※純資産総額、基準価額ともに2024年6月14日時点の情報です。

まとめ

投資信託の純資産総額とは、総資産額から運用に必要な費用を引いて残った資産のことを言い、純資産額の多さはそのままファンドの規模に置き換えられます。純資産総額は投資家から預かった資金をもとに運用した時価総額で、表示される基準価額は客観的なファンドの評価です。結果としてファンドの運用成績が良い場合、多くの高い基準価額となって表示されます。

5年以上、繰上償還をせずに運用を継続しているファンドはおおよそ100億円以上の純資産総額で運用されているので、ファンド選びの際は、純資産100億円以上のファンドで絞り込んでも良いでしょう。

運用成績の良いファンドは、資産流出が少なくコンスタントに純資産総額が増えているので、トータルリターンとともに、純資産の増減も見るとより意に沿ったファンド選びが可能です。ファンドを選ぶ時は様々な切り口から検討してみましょう。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。