三井住友DSアセットマネジメントのインパクトレポートの内容は?

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SMBCグループの資産運用部門の一翼を担う三井住友DCアセットマネジメントでは、どのようなESG活動を行っているのでしょうか。公開されているレポートや情報をもとに、活動のポイントをまとめました。

運用会社が行うESG活動が気になる人は、ぜひ記事内容をご確認ください。
※本記事は2023年7月13日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬や基準価額など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. SMBCグループの運用を担う三井住友DSアセットマネジメント
  2. 三井住友DSアセットマネジメントのESG活動とは
    2-1.ESG投資の基本方針
    2-2.今までとこれからのESG投資
  3. マテリアリティへの取り組み
    3-1.マテリアリティとは?
    3-2.掲げる主なマテリアリティへの取り組み
  4. ESG・インパクト投資関連のファンド
    4-1.世界インパクト投資ファンド
    4-2.三井住友日本株式ESGファンド
    4-3.グローバルSDGs株式ファンド
  5. まとめ

1.SMBCグループの運用を担う三井住友DSアセットマネジメント

三井住友DSアセットマネジメントは、日本の3大メガバンクの一つとされている三井住友フィナンシャル・グループの傘下企業です。主に投資商品の運用や、金融商品の取引を行います。2002年に三井生命グローバルアセットマネジメント株式会社を始めとする5社と合併、2019年には大和住銀投信投資顧問株式会社と合併の後、現在の社名になりました。

国内外の機関投資家や個人投資家に対して、株式、債券、投資信託、外貨預金などの幅広い金融商品を提供しており、2022年9月末時点の預かり資産残高は約20.6兆円です。

さまざまなテーマのファンドを運用しており、確定拠出年金用のDCファンドにて多くの資金を集めている点が特徴的です。

2.三井住友DSアセットマネジメントのESG活動とは

多くの資産を預かる三井住友DSアセットマネジメントは、機関投資家のリーディングカンパニーとして、ESGに対する取り組みの姿勢を公に公開しています。基本となるESGへの取り組みを見ていきましょう。

2-1.ESG投資の基本方針

ESG投資には、非財務情報の取得と分析が書かせません。三井住友DSアセットマネジメントは投資先企業に対して、次のような取り組みを行っています。

  • 非財務情報を積極的に取り込み、企業活動が環境及び社会に及ぼす主な悪影響について、分析と評価の対象とする
  • ESG投資が形骸化しないように、他の機関投資家などとも積極的なエンゲージメントを行う
  • ESG投資に関する情報収集を行い、ファンドの運用に取り入れながら、投資家保護の視点から適切な情報開示に努める
  • 議決権行使については、投資先企業との十分なエンゲージメントを元に考慮する

運用会社として、外部から積極的にESG活動の推進を行い、企業との関わりを持つという方針が明らかにされています。

2-2.今までとこれからのESG投資

2006年4月に国連にて公表されたPRIのおよそ3年後の2009年から、三井住友DSアセットマネジメントのESG評価はスタートしています。2016年には、スチュワードシップ推進室を設置し、継続的なESG評価に余念がありません。

今後は、パリ協定や生物多様性条約などの地球環境のための国際的枠組み、またはPRI等のグローバルイニシアティブに対して、積極的な関わりをもち、国際的なESG活動にも取り組みたいと表明しています。

3.マテリアリティへの取り組み

三井住友DSアセットマネジメントが取り組むESG活動の中に、マテリアリティへの取り組みがあります。具体的なマテリアリティの内容や取り組みについて、以下に詳細を紹介します。

3-1.マテリアリティとは?

ESG活動におけるマテリアリティは、企業がこれからも事業を継続し、成長していくにあたって、最も重要な課題を特定し、取り組むことです。マテリアリティの特定には、企業による経営戦略や事業活動、ステークスホルダーの期待など考慮すべき点がいくつかあります。

三井住友DSアセットマネジメントのマテリアリティは、資産運用会社の立場から「資産運用業務におけるマテリアリティ」と「事業会社としてのマテリアリティ」に分けられています。

それぞれ、「環境問題:生命の安全」、「社会課題:生活の質の向上」、「ガバナンス」の3つの分野から重要度の高い課題を特定しています。

3-2.掲げる主なマテリアリティへの取り組み

資産運用業務や事業会社としてのマテリアリティの中から、特に重点項目と思われる3つの課題について、詳細を紹介します。

環境への配慮

気候変動への対応は、企業が取り組むべき重要課題の一つです。昨今では、大企業のみならず、関連するサプライチェーンに対して、温室効果ガス削減を求める声も大きくなりました。

三井住友DSアセットマネジメントでは、パリ協定への賛同と、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指す、グローバルな資産運用会社で構成される、NZAM(Net Zero Asset Managers Initiative)に加盟しています。

運用会社としての投資先企業へのESG評価はより厳しさを増し、各企業のESG活動促進を働きかけています。

社会貢献活動と業務品質向上

三井住友DSアセットマネジメントは資産運用会社であり、一企業市民としての自覚を持ち、日々社会貢献活動へ勤しんでいます。主な社会貢献活動の内容は以下のとおりです。

  • 人生の早い段階から資産形成に取り組むことの重要性を伝える金融教育活動
  • 特定の公募投信で得られる収益の一部を、環境問題や社会課題に取り組んでいる研究機関などへ寄付
  • 社員有志の寄付によって運営される「三井住友DSアセットQOL基金」を中心として、社員参加型の活動を積極的に行う

運用会社として社会に接点を持つことの重要性を認識し、着実に社会貢献活動を積み重ねています。

企業倫理と組織文化

顧客の資産を預かる運用会社は、社員一人ひとりが高い倫理観と社会へ貢献する気持ちを持ち、信頼を勝ち得ていく必要があります。三井住友DSアセットマネジメントが担う企業倫理の醸成に向けて、次の取り組みが行われています。

  • 全ての社員が受講するコンプライアンス研修はもとより、法令遵守や企業倫理、受託者としての責任について、各部署でディスカッションの機会を設定し、より自発的な意識の醸成を目指す
  • 社員の環境問題や社会課題に対する意識を高め、当事者として課題に携わるサステナビリティ研修の実施
  • 社員それぞれの意識や組織の状態を把握し、風通しのよい組織文化を育てる

風通しがよく透明性の高い組織と、高い倫理観をもつ社員教育への注力は、運用会社としての強い責任の現れでしょう。

4.ESG・インパクト投資関連のファンド

三井住友DSアセットマネジメントが運営するESG・インパクトファンドから3つピックアップし、詳細を紹介します。

4-1.世界インパクト投資ファンド

基準価額 15,054円
純資産 42,531百万円
運用管理費 1.98%
リターン(1年) 3.45%
設定日 2018年5月14日

※数値は2023年6月23日時点

世界の株式の中から革新的な技術やビジネスモデルをもって、社会課題の解決に取り組む銘柄を選定し、投資するファンドです。ファンダメンタルズ分析に加えて、インパクト投資の観点も取り入れた銘柄選定を行います。

テーマを「衣食住の確保」「生活の質の向上」「環境問題」の3つに分け、できるだけ均一になるように分散投資されている点が特徴的です。

組入上位5銘柄

銘柄 テーマ 構成比率 国・地域
1. ボストン・サイエンティフィック 健康促進 3.5% 米国
2.ザイレム 水問題と公衆衛生 3.3% 米国
3.ハッベル 資源の効率化 3.0% 米国
4. アボットラボラトリーズ 健康促進 2.8% 米国
5.ゴーダディ デジタルデバイド 2.7% 米国

銘柄の半分は米国株で占められており、組入上位5銘柄も米国株です。健康促進関連の銘柄は全体の20%を占めており、上位5銘柄中の3銘柄は健康促進テーマです。健康は社会課題の大きなテーマの一つとなっています。

4-2.三井住友日本株式ESGファンド

基準価額 14,551円
純資産 1,590百万円
運用管理費 1.188%
リターン(1年) 12.44%
設定日 2018年2月9日

※数値は2023年6月23日時点

これからESG投資の拡大が期待される日本株式を投資対象としたファンドです。

ファンダメンタルズ分析に加えて、企業分析に精通したアナリストが行うESG評価を加味して銘柄選択を行います。ESG評価は基礎評価とアナリスト評価から分析され、5つのカテゴリーに分類されています。

組入上位5銘柄

銘柄 業種 構成比率
1. ソニーグループ 電気機器 4.7%
2.トヨタ自動車 輸送用機器 4.4%
3.村田製作所 電気機器 3.9%
4.HOYA 精密機器 3.7%
5.⽇本電信電話 情報・通信業 3.2%

組み入れ上位5銘柄は、国内大型株とほぼ同じ並びとなっています。大きな規模でESG活動に取り組み、しっかりアピールできている企業を選択すると、大企業中心となるのでしょう。

4-3.グローバルSDGs株式ファンド

基準価額 17,024円
純資産 29,416百万円
運用管理費 1.694%
リターン(1年) 7.87%
設定日 2019年1月28日

※数値は2023年6月23日時点

SDGsへの貢献が期待される企業の株式に投資するファンドです。1.健全な地球環境、2.持続可能な社会、3.基礎的ニーズ、4.平等と機会、5.強固な社会基盤、の5つの課題から銘柄を選定し、世界の企業や事業に投資をしています。実質的な運用は、ロベコ・オランダの運用チームおよびリサーチ・チームと密接に連携して、ロベコ・スイスが行っています。

組入上位5銘柄

銘柄 業種 構成比率 国・地域 SDGsの評価ポイント
1. マイクロソフト ソフトウェア・サービス 6.1% 米国 取締役の半数が女性
2.アストラゼネカ 医薬品・バイオテクノロジー 4.1% イギリス 男女共同参画を推進
3.リンデ 素材 3.6% アイルランド クリーンエネルギー活用による温室効果ガス削減
4. コルゲート・パルモリーブ 家庭⽤品・パーソナル⽤品 3.2% 米国 衛生用品を通じた幅広い健康の提供
5.VISA 金融サービス 2.9% 米国 女性役員の比率が高く、男女平等の推進を行っている

組み入れ上位銘柄は、多様な国と産業に分散されていますが、SDGsの評価ポイントとして女性の社会進出や男女共同参画が多く見られました。ジェンダーギャップや育児と仕事のバランスなど、理解が進んでいるように見える海外でも未だ重要なテーマとなっていることが分かります。

まとめ

運用会社がまとめているESG活動やインパクトレポートは、一般の投資家に向けられた内容と、ステークホルダー向けのものとに分けられます。三井住友DSアセットマネジメントのレポートは、ステークホルダー向けに大きく振られた内容となっていました。

専門用語などが多く散りばめられており、ESGやSDGs、インパクト投資に縁のない人にはわかりにくい内容となっています。今後は責任投資原則の一環として、一般市民へわかりやすいESGやSDGs活動のレポートや提案を期待します。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。