イビデンのESG・サステナビリティの取り組みや将来性は?株価推移、配当・優待情報

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グローバルなSDGs重視の流れが加速しており、企業も環境や社会に関する課題解決への貢献が求められています。ホームページで自社の取り組みを積極的に発信する企業も多数見られるようになりました。

イビデンはICパッケージ基盤やプリント配線板などを手掛ける電子部品メーカーで、ESG重視の経営を行っています。

今回はイビデンのサステナビリティの取り組み、株価推移や業績について解説します。投資を検討している方、ESGに関心のある方は参考にしてみてください。

※2023年6月29日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. イビデンの概要
  2. イビデンのESGに関する取り組み
    2-1.気候変動問題への対応
    2-2.循環型社会への取り組み
  3. イビデンの10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. イビデンの将来性
  5. イビデンの配当・優待情報
  6. まとめ

1.イビデンの概要

銘柄 イビデン
証券コード 4062
株価 8,066円
PER(会社予想) 33.76倍
PBR 2.66倍
配当利回り(会社予想) 0.50%

※2023年6月29日のデータ

イビデンは1912年設立で、岐阜県大垣市に本社を構える電子部品メーカーです。売上高は連結で4,175億円(2023年3月期)、従業員数は連結12,744名の規模です(2023年3月末時点)。同社が手掛けている事業は、電子事業、セラミック事業、その他の事業の3つに分類されます。

主要事業である電子事業では、ICパッケージ基盤、プリント配線板などを展開しています。プリント配線板は、半導体やカメラなどの部品が実装される土台であり、部品の高機能化により付加価値が高まっています。

プリント配線板は、ハイエンドのスマートフォンやモジュール基板に利用されています。同社のプリント配線板の強みは、非常に微細なこと。MSAPという技術を中心に、世界トップレベルで微細な配線を実現しています。

セラミック事業では、車に用いられる部品を中心に展開しています。「DPF」はディーゼルエンジンから排出される黒鉛を効率よく捕集する部品で、SiC(シリコンカーバイド)を主成分に用いています。高い捕集性能と低燃費を両立できる素材であり、高耐久性・高信頼性も期待できます。

イビデンの株価は2023年5月に大幅な上昇を見せました。PERが高く配当利回りが低い状況となっているものの、株価が急騰したことが大きな要因です。

2.イビデンのESGに関する取り組み

イビデンはサステナビリティ重視の経営を推進している企業でもあります。ここでは同社における環境関連の取り組みをいくつか紹介します。

2-1.気候変動問題への対応

気候変動対応のため、同社は複数の取り組みを行っています。その1つがクリーンエネルギーへの取り組みで、岐阜県の揖斐川の上流に3つの水力発電所を所有しています。

水力発電は水の位置エネルギーを利用して発電する仕組みで、温室効果ガスを排出しないエネルギーです。同社の所有する水力発電所は、計画的に改修工事を行いながら、最新の発電機への更新などによって、発電出力の維持に努めています。

「再生エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)」の基準を満たしており、余剰電力を電力会社に供給可能な値性も整備しています。水力発電所の発電分を売却し、電力需要者に提供することにより、温室効果ガス排出の削減に貢献しています。

気候変動防止へのもう1つの取り組みは、ガスコージェネレーションシステムの積極的な導入です。発電効率の高い大規模システムであり、低炭素の自家発電エネルギー比率の向上に取り組んでいます。設備導入による省エネ推進とBCP強化の取り組みが評価され、2019年には一般社団法人コージェネレーション・エネルギー高度利用センターの「コージェネ大賞」を受賞しました。

各事業場には太陽光発電設備も導入し、再生可能エネルギーを活用しています。将来的には各事業場を送電網でつなぎ、需要に合わせで電力を最適に供給する体制を目指す方針です。

2-2.循環型社会への取り組み

限りある資源の有効活用も企業の大きな責任と捉え、発生抑制、再利用、再資源化を推進しています。各事業場やグループ会社では廃棄物の分別および再資源化する取り組みを進めており、2004年以降に国内事業場では固形廃棄物のゼロエミッション(生産工程から発生する固形廃棄物の埋め立てゼロ)を達成しています。

2021年度は電子事業などにおける生産量の増加により、廃棄物も増加しました。一方で原単位では、2017年度を100とした場合、91と改善が見られます。今後も生産変動に応じた資源の適正使用と廃棄物削減を進めていく方針です。

また水資源に関して、電子事業において洗浄などで多くの水を使っています。生産拠点である岐阜県大垣市は地下水が豊富である一方、グローバルな観点で水不足に取り組む必要があると同社は認識しています。

2018年度から2022年度までの中期の取水量の削減目標として、2017年度の売上当たりの原単位から、5%削減することを目標としています。生産の集約化や逆浸透膜の活用によるリサイクルの推進などで改善が進んでおり、2017年度を100とした場合に2021年度は86と改善しています。

3.イビデンの10年間の株価推移と業績

ここからは、イビデンの長期の株価推移や近年の業績について解説していきます。

3-1.10年間の株価推移

10年前の株価は1,500円程度でしたが、現在は7,000円を上回る水準にまで上昇しました。10年間で株価はおよそ5倍程度に成長したことになります。

1回目の本格的な上昇は2019年後半から始まり、2021年11月には7,380円に到達しました。その後4,500円程度まで下落した後に再び上昇を始めました。

2023年5月に株価が一気に急騰し、一時期7,600円以上を記録。前回の最高値を上回りました。現在は半導体関連株の多くが上昇しており、イビデンも業績好調なことも評価されたのではないかと考えられます。

3-2.業績

2022年度の業績は下記のとおりです。

2022年度実績 前年同期比
売上高 4,175億円 +4.1%
営業利益 724億円 +2.2%
純利益 522億円 +26.6%

主力となる電子事業が堅調に推移し、売上高・利益ともに前年を上回りました。データセンター市場は今後も拡大し、データ処理能力の高度化と省エネ化ニーズにより、半導体の高機能化が見込まれるとのことです。2023年は一時的な投資抑制が予想されますが、2024年以降に需要拡大と投資意欲の回復により、高成長に回帰する見通しとしています。

4.イビデンの将来性

投資先としてのイビデンの将来性について、サステナビリティ・ESGと業績の両面から考察していきます。

まずサステナビリティに関して、環境分野を中心に数多くの取り組みが行われています。水資源の有効活用など、着実な改善が数値で見られる項目もあり、今後もさらなる取り組みの加速が期待されます。

イビデンのESG経営は、外部機関からも高い評価を得ています。FTSE Russell社による「FTSE4Good Index Series」の指数に、同社は7年連続で採用されています。ESGについて優れた対応を行っている企業のパフォーマンスを測定するために設計された指数です。この他にもMSCI ESG リーダーズ指数など、多くのESG指数に採用されています。

次に業績に関して近年は好調に推移し、売上高・利益ともに拡大しています。特に利益の伸びが大きく、2019年度の営業利益は100億円程度でしたが、現在は700億円を超えています。半導体関連の需要もしばらく継続すると予想され、同社の業績にもプラスの影響をもたらすでしょう。

5.イビデンの配当・優待情報

1株あたり年間配当 2022年3月期実績:40円
2023年3月期実績:50円
2024年3月期予定:40円
主な株主優待 なし

株主優待について、2021年3月期までは優待品の贈呈を実施していましたが、その後廃止されました。株主へより公平な利益還元という観点から慎重に検討を重ねた結果、配当金による直接的な利益還元を充実することがより適切であると判断したことが理由であると説明しています。

しかし、同社の配当利回りは、それほど高い水準とは言えません。2024年に予定されている年間配当も、2022年度と同水準に留まっています。

直接的な利益還元を重視するのであれば、さらなる増配も期待されます。

6.まとめ

イビデンのESG関連の取り組み、株価推移や近年の業績について解説してきました。高い独自技術により、世界トップクラスの電子部品やセラミック製品を開発・生産している企業です。

ESGも重視する経営方針であり、具体的な施策や効果なども積極的にホームページで公開しています。2023年5月に株価が急騰したことでも注目され、今後の成長も期待されている銘柄と言えます。

イビデンのESGやサステナビリティの取り組み内容に関心のある方は、この記事を参考にご自身でもお調べになった上で検討してみてください。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。