生活習慣を変えたサーモス「真空断熱ケータイマグ」 ヒット要因やサステナビリティの取り組みも

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サーモスの真空断熱ケータイマグは、飲み物を手軽に持ち運べる水筒として大ヒットしました。ヒットから10年以上経過してもなお市場に定着しており、愛用している方も数多く見られます。

マイボトルブームと共に、飲み物に関する生活習慣を大きく変えた存在と言える、サーモスの真空断熱ケータイマグが、幅広い世代から支持を集めた要因はどこにあるのでしょうか。今回は真空断熱ケータイマグがヒットした要因について詳しく解説します。

※本記事は2023年12月4日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. サーモス真空断熱ケータイマグは軽量でスリムな水筒
    1-1.ステンレスの軽量化に成功
    1-2.真空断熱層の高い技術
  2. 真空断熱ケータイマグがヒットした要因
    2-1.飲みたいときに美味しい温度で飲める
    2-2.軽くて持ち運びしやすい
    2-3.繰り返し使えてエコに貢献
    2-4.飲み物代の節約にも役立つ
  3. サステナビリティへの取り組み
    3-1.ステンレス魔法ビン回収サービス
    3-2.熊本市とのコラボでオリジナルデザインのボトルを販売
  4. まとめ

1.真空断熱ケータイマグは軽量でスリムな水筒

サーモスは、日本酸素ホールディングスが所有する、魔法ビンや調理用品などのブランドです。1904年にドイツで設立された会社で、1989年に日本酸素ホールディングスがイギリス・アメリカ・カナダのサーモス事業を買収しました。2023年12月現在は日本酸素ホールディングスの100%子会社であるサーモス株式会社として、港区芝に本社を構えています。

サーモス社の真空断熱ケータイマグは、保冷・保温の両方の機能が付いているコンパクトな水筒です。シリーズ累計販売数は2,700万本以上の大ヒットを記録しています(2022年6月末時点・JNLシリーズの累計)。

参照:サーモス「製品情報

初代のケータイマグが発売されたのは1999年です。2004年からは女性を中心に次第に人気を集めるようになりました。当時はハーブティーが人気で、自宅で入れたハーブティーを会社や外出先で楽しむ人が増えていました。

スターバックスもマイボトルを歓迎するなど、新しいタイプの水筒は若い世代を中心としたブームになりました。今では老若男女、幅広い世代がマイボトルを持ち歩いています。真空断熱ケータイマグは、それまでペットボトルなどの飲み物を買うのが主流だった日本人の生活習慣を変えた存在の1つといえます。

1-1.ステンレスの軽量化に成功

JNLシリーズは、2012年に誕生しました。当時は競合他社からもボトル製品が続々登場しており、次のチャレンジということで軽量化に挑戦して開発されました。

ケータイマグはパーツが少ないため、どの部分を軽量化するかが課題でしたが、本体のステンレスに目を付け、ステンレスの厚さを限界まで薄くしました。魔法ビンとしての機能性とステンレスの薄さのベストバランスを追求した結果、従来の製品から20~30%の軽量化とコンパクト化を実現し、JNLシリーズが発売されました。

参照:kurashicom「さらに軽く、さらに便利に。サーモスの真空断熱ケータイマグ「JNLシリーズ」は進化を止めない

1-2.真空断熱層の高い技術

保温性・保冷性の高さも、支持されているポイントです。魔法ビンとしての高い機能を実現しているのが、ステンレス製の内びんと外びんの間の高真空の壁である真空断熱層です。壁によって中の温度が外に逃げず、外の熱も中に届かないため、飲み物の温度を長く保つことができる構造となっています。

軽量化を目指すうえで、2つのびんの隙間である断熱層も極限まで縮める方向性で開発され、2年ほど試行錯誤が続きました。

2.真空断熱ケータイマグがヒットした要因

真空断熱ケータイマグが、多くの消費者から支持された要因を解説します。

2-1.飲みたいときに美味しい温度で飲める

真空断熱ケータイマグの機能の高さにより、飲み物を美味しく飲めることが大きなメリットです。保温・保冷の両方の機能を備えているため、オールシーズンで利用できます。魔法ビンの構造で高い保温性があっても、結露や漏れはありません。

たとえば夏は麦茶や水出しの緑茶などを詰めていけば、職場などで簡単に水分補給ができます。また、サーモスの真空断熱ケータイマグはスポーツドリンクも入れられるので、熱中症などが心配なときに持っていくのも便利です。

2-2.軽くて持ち運びしやすい

現在のモデルの「JNL」は重さが210gとスリムなスマートフォン並みに軽く、持ち運びしやすさも特徴です。カバンやリュックに入れて職場などに毎日持っていけます。

持ち運びしやすさに加え、取り扱いが簡単なのもメリットです。飲み口を外して洗えて、本体も丸洗いができるので、自宅で簡単に手入れできます。

2-3.繰り返し使えてエコに貢献

2007年頃からはエコへの関心が高まり、マイボトルの利用者も増えるようになりました。SDGsやESGの影響もあり、ペットボトルの大量消費に抵抗感を持つ方も増えています。真空断熱ケータイマグは何回も繰り返し使えて、ペットボトルの消費を抑えることができるため、エコが気になる方にも人気です。

2-4.飲み物代の節約にも役立つ

2009年に起きたリーマンショックなどの社会情勢など、節約志向が高まりもマイボトルの普及を後押ししました。

真空断熱ケータイマグを持っていけば、外出先で飲み物を買う必要がなく、飲料代の節約に繋がります。たとえば毎月20日間勤務で、勤務日に150円のペットボトルを1本買うとすると、1か月あたり3,000円の負担です。

真空断熱ケータイマグJNLシリーズの定価は1本3,630(税込)であり、ペットボトルを買わずに1か月以上使えば元が取れる計算です。自宅で作るお茶などの材料費を考えても、節約になります。

3.サステナビリティへの取り組み

サーモスはエコ意識との合致などの背景もあり、サステナビリティの取り組みも積極的に行っています。

3-1.ステンレス魔法ビン回収サービス

サーモスでは循環型社会実現に寄与するため、ステンレス製のボトルやタンブラーなどを回収するサービスを展開しています。他社製品も回収対象に含めており、回収された使用済み製品はリサイクル業者にて選別・破砕処理がなされます。その後は材料メーカーにて再生ステンレスや再生樹脂といった材料に生まれ変わり、さまざまな製品へ再利用されます。

回収に協力した方には、店舗で利用できる下取りクーポンが配られ、ステンレス製魔法ビンを5%割引で購入できるメリットがあります。回収場所はサーモス直営店ですが、今後さらに回収場所が増えることも期待されます。

3-2.熊本市とのコラボでオリジナルデザインのボトルを販売

サーモスは熊本市と連携協定を結び、水に関する持続可能な社会の実現のためのさまざまな取り組みを行っています。その1つが限定オリジナルデザインのボトルで、2022年から販売しています。ボトルには阿蘇の地下水が、人の営みを通じてさまざまな物語を織りなす様子が描かれています。

オリジナルデザインボトルの制作・販売の目的は、熊本の水の豊かさを知ってもらうためや、熊本市が推進している地下水保全活動に興味を持ってもらうためです。ボトルの販売収益は、公益財団法人が実施している「水田オーナー制度」に活用されます。デザインボトルを購入・使用することで地下水の保全に貢献可能です。

また、「水田オーナー制度」で収穫された玄米は、子ども食堂やフードバンクに提供されます。環境面だけでなく、社会面でのSDGsにも貢献する仕組みです。

4.まとめ

サーモスの真空断熱ケータイマグの商品としての特徴、ヒットした要因について解説してきました。飲み物を簡単に持ち運べて、最適な温度で美味しく飲める機能性の高さが多くの方に支持されています。

これまで累計2,700万本以上の大ヒットを記録しているのは、内ビンと外ビンの二重構造、真空断熱層など同社の培った高い技術があってこそといえます。ステンレスの軽量化は2年かかりましたが、粘り強い試行錯誤が実を結びました。

サーモスはエコ意識との相性も良いことから、リサイクルな水資源の保護など、サステナビリティの取り組みにも積極的です。今後も環境や社会に貢献できる製品およびサービスの展開が期待されます。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。