ひかり味噌の経営戦略は?有機味噌の開発やハラール製品など海外展開も紹介

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大手メーカーもいる味噌市場において、独自戦略によって成長を続けてきたのがひかり味噌です。オーガニック味噌・無添加味噌を中心とした商品群を取り揃え、消費者の細かいニーズに対応しています。

この記事ではひかり味噌の成長の歴史、独自戦略や今後の展望について解説します。同社の戦略から、企業の成長のヒントを学んでみましょう。

※本記事は2023年11月30日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. ひかり味噌のコア製品は無添加・有機味噌
  2. ひかり味噌の成長の要因
    2-1.大手小売業者のPB製品の開発
    2-2.消費者のニーズに合わせて商品を細分化
    2-3.徹底した現場主義
  3. 海外事業で世界50か国にもアプローチ
    3-1.世界的に注目されている味噌
    3-2.展示会で味噌の魅力をアピール
    3-3.現地の方の嗜好に合わせた商品開発
    3-4.有機認証やハラール認証の取得
  4. ひかり味噌の新たな経営戦略
  5. まとめ

1.ひかり味噌の主力製品は無添加・有機味噌

ひかり味噌は、1951年に設立された味噌メーカーで、本社は長野県諏訪郡にあります。味噌業界の大手であるマルコメが1854年創業、ハナマルキが1918年創業のため、2社に比べるとひかり味噌は後発です。

比較的新しいメーカーではありますが、無添加・有機味噌などのジャンルに強く、健康志向の方、食品の添加物に敏感な方に訴求する商品が多く揃っています。オーガニック味噌ジャンルでの販売数量では約70%と非常に多くのシェアを獲得しています(日刊経済新聞社調べ)。

参照:ひかり味噌「オーガニック味噌シェア No.1※のひかり味噌から『有機そだちのおみそ汁』『有機のあまざけ』を発売

同社の代表的な商品を以下で紹介します。

カテゴリー 主な商品
無添加味噌 円熟こうじみそ、こだわってます
CRAFT MISO
味噌ヌーボー
有機味噌・オーガニック味噌 麹の花
銀座豉特選 禅(ぜん)
即席みそ汁 産地のみそ汁巡り
味噌屋のまかないみそ汁
春雨スープ 選べるスープ春雨
贅沢スープはるさめ
カップスープはるさめ
麹製品 生塩こうじ 麹の花
朝のむあまざけ

CRAFT MISO、麹の花、味噌ヌーボーなど、特徴的な名称の商品も見られます。スーパーなどで見かけたことのある方もいるのではないでしょうか。

CRAFT MISOは「新しいみそスタイル」がコンセプトで、好きなスタイルで楽しめる味噌です。野菜など好きな食材につけたり、味噌カツなどの料理に使ったりと、幅広い方法で味わえます。醤油の代わりに味噌を使うTKG(卵かけご飯)、パンにクリームチーズと味噌を乗せる食べ方などもります。

味噌ヌーボーは「味噌の初物」であり、ワインのボージョレ・ヌーヴォーを連想させる商品です。初物の味噌は、米と大豆が、味噌として仕上がってはいるものの、若くフレッシュな状態です。しっかりと熟成させた味噌とは一味違う風味を楽しめます。

2.ひかり味噌の成長の要因

ひかり味噌が味噌市場で成長してきた要因について解説します。

2-1.大手小売業者のPB製品の開発

ひかり味噌が後発メーカーでありながら、急成長をしてきた要因の1つ目に、大手行入り業のPB製品の開発があります。業界でいち早くPB製品の製造に取り組み、消費者のニーズに応える味噌づくりのノウハウを培ってきました。

現在でも同社は業務用フードサービスを展開しています。具体的な商品の例として、トップバリュの「塩分25%カット減塩だし入りみそ」や「無添加米こうじみそ」などがあります。トップバリュはイオンを始め、まいばすけっとやマックスバリュなどイオングループで広く取り扱われているPBです。

2-2.消費者のニーズに合わせて商品を細分化

ひかり味噌の独自戦略の中核とも言えるのが、消費者のニーズによって細分化された商品群です。商品のラインナップ数は1,100以上で、多種多様な製品を開発しています。

大手の食品メーカーでは画一的な商品を大量生産し、安い価格で提供する戦略を取るケースが多いのと対照的です。国産味噌、有機味噌などさまざまな材料を使い、配合量なども変えることで幅広い商品ラインナップを実現しています。

CRAFT MISOや味噌ヌーボーなど、他ではなかなか見かけないコンセプトの商品もあります。単に数が多いだけでなく、消費者の興味を誘うような商品群です。

参照:サイプラス「ひかり味噌

2-3.徹底した現場主義

ひかり味噌の代表取締役社長である林氏が重視するのが、徹底した現場主義です。林氏は工場にて、味噌など商品の官能検査に参加することもあります。官能検査は商品を目で見て触れて、口に含むことで、色・味・香りを確認する重要な工程です。

また林氏はひかり味噌の社長に就任する前、セイコーエプソンで海外営業を担当した実績があります。現在も欧米やアジアに出向き、味噌の原料の調達や営業活動を行っています。

3.海外事業で世界50か国にもアプローチ

味噌は日本独自の調味料というイメージを持つ方も多いと思われますが、ひかり味噌は海外事業も積極的に展開しています。原料・素材の調達から味噌加工技術のブラッシュアップまで、グローバルを意識した対応を行う方針です。

国内の食品市場はこれ以上の拡大が難しい中、成長を続けるためにも海外市場が不可欠です。ここからは、同社の海外戦略について見ていきましょう。

3-1.世界的に注目されている味噌

日本食は世界からヘルシーなイメージを持たれることが多く、発酵食品である味噌も注目されています。海外のスーパーマーケットや日本食レストランで「MISO」の表示もよく見かけられ、味噌も海外で徐々に知名度を上げつつあります。

ひかり味噌は、海外事業を通じて世界50か国にアプローチしています。国ごとの嗜好や食文化・ライフスタイルに合わせて商品開発を行っています。

3-2.展示会で味噌の魅力をアピール

味噌の魅力を知ってもらうため、現地の展示会に積極的に参加しています。食品やオーガニックをテーマとした展示会で、海外の顧客とコミュニケーションを取る方針です。

ときには料理のデモンストレーションも交え、味噌の香りや味を直接感じてもらう機会も設けています。

3-3.現地の方の嗜好に合わせた商品開発

日本では当たり前の存在である味噌も、海外では味噌を見たことも聞いたこともないという地域が多いです。味や香りをイメージできないことで、なかなか現地に浸透していかないという課題があります。

ひかり味噌では現地の文化を学び、食べ方や味覚を体感したうえで商品やレシピ開発につなげています。現地の方の好みにマッチしたレシピを提案し、多種多様な味噌の楽しみ方を伝えています。

具体的には味噌ドレッシング、味噌のディップ、味噌のカクテルなどです。さまざまな食材と味噌の相性は良いことから、同社は味噌の楽しみ方は今後もグローバルレベルで広がると期待しています。

3-4.有機認証やハラール認証の取得

日本で有機認証制度が確立される前から、ひかり味噌はオーガニック・有機味噌の開発に取り組んできました。海外の方も安心して利用できるよう、アメリカやEUの有機認証も取得しています。

また味噌を世界に広めるうえでは、イスラム教のエリアも重要です。同社によると2050年までにイスラム教人口は28億人に達し、世界人口の30%近くになるとのことです。同社はイスラム教の定めに従ったハラール製品専用の生産ラインを整えました。

さらに、マレーシア政府の承認を受けている日本のハラール認証機関から認証を受けました。この認証は世界的にも有名なことから、マレーシア以外のイスラム教エリアでも有効とされています。

参照:ひかり味噌「海外事業

4.ひかり味噌の新たな経営戦略

海外事業で成長を続けているひかり味噌ですが、国内の味噌市場は縮小傾向です。人口減少や少子高齢化により、国内の消費量は今後もダメージを受ける可能性があります。外食や中食でも、洋食・中華のメニューは定着しており、和食を伸ばすのは簡単ではありません。

同社は商品のさらなる多角化も検討しており、味噌と親和性のある食品を手掛けていく方針です。たとえば肉の代替食として注目されている空まめを使った商品の輸入販売を開始しました。

有機味噌から加工食品、さらなる食材へと可能性を広げながら、食品メーカーとしての成長を目指しています。

5.まとめ

ひかり味噌の成長の要因、今後の課題や戦略について解説しました。味噌業界で後発でありながら、PB製品の開発、多種多様な商品ラインナップ、消費者ニーズへの対応などにより成長を続けてきたメーカーです。

海外事業にも積極的に取り組んでおり、味噌の魅力を世界に広めることに注力しています。国内の味噌市場は縮小が予想される中で今後も成長するには、いかに海外事業を伸ばせるか、味噌と親和性の高い領域へ進出ができるかが鍵になるでしょう。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。