サプライチェーン大手Blue Yonder、AI機能強化で四半期31社の新規顧客獲得

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サプライチェーン管理ソフトウェア大手の米Blue Yonderは、2025年第2四半期の業績を発表し、世界で31社の新規顧客を獲得したことを明らかにした。AI(人工知能)を活用した輸送管理機能の強化や、CO2排出量追跡機能を持つ企業の買収により、サービス範囲を拡大している。同社によると、2025年上半期には1営業日あたり平均5件の顧客システム稼働を達成した。オーストラリアのIT業界向けに影響力を持つ独立系テックメディア「iTWire」が、8月13日付で報じた。

第2四半期の主な成果として、同社は2件の戦略的買収を実施した。Inmar Post-Purchase Solutions(IPPS)の買収により、FedExと連携した返品管理サービス「FedEx Easy Returns」を通じて、ラベル不要の低コスト返品ソリューションを提供できるようになった。また、Pledge Earth Technologies社の買収により、サプライチェーン全体のCO2排出量をグローバル基準で測定・報告する機能を自社プラットフォームに統合した。これにより、物流企業や荷主が自社および取引先の排出量を一元的に管理できるようになる。

AI機能の強化も急ピッチで進んでいる。同社は予測AI、生成AI、エージェント型AIを組み合わせた輸送管理ソリューションを大幅にアップグレードした。これにより、ネットワーク全体の輸送データ管理、排出量追跡による持続可能性の最適化、予測AIを活用した事前計画立案、AIエージェントによる日次オペレーション分析などが可能になった。Duncan Angove CEOは「インフレ圧力から関税問題、地政学的変化まで、企業は前例のない課題に直面している。AIと先進技術の活用が、これらの複雑な問題を乗り越える鍵となる」と述べている。

地域別では、米州でコカ・コーラFEMSAやCompañías Cervecerías Unidasとの大型契約を獲得した一方、アジア太平洋・欧州中東アフリカ地域でも英国の大手スーパーMorrisonsやSainsbury’s、Royal Mail、南アフリカのShoprite Groupなどとの新規・拡大契約を締結した。オーストラリア・ニュージーランド市場については、同社が実施した食料品インフレに関する消費者調査で、回答者の85%が価格上昇を懸念し、49%が世界的な関税を主要因として挙げていることが明らかになった。

セキュリティ面では、Dr. Erika Voss氏を最高セキュリティ責任者(CSO)に任命し、アプリケーションセキュリティ、サードパーティリスク管理、侵入検知システムなど、全社的なセキュリティ対策の強化を進めている。また、同社は2025年第3四半期の業界見通しとして、小売業のインフレ圧力、食料品・消費財のインフレ、関税と製造業への影響、物流業界の変革という4つの主要課題を指摘。AIを活用した需要予測により、予測誤差を20~50%削減し、在庫レベルを20~30%削減できるとしている。

同社の革新的な取り組みは業界でも評価され、HakkodaのData Innovation Awardsで「AI Visionary」賞を、SnowflakeのPartner of the Year Awardsで「2025 Retail & Consumer Goods Data Cloud Product Partner of the Year」を受賞した。サプライチェーンのデジタル変革が加速する中、AIと持続可能性を軸とした同社の成長戦略が、グローバル市場での競争力強化につながっている。

【参照記事】Blue Yonder Accelerates Global Growth in Q2 2025, Boosts AI Supply Chain Capabilities and Expands Sustainability Focus

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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