欧州投銀とイベルドローラ、バルト海洋上風力に5億ユーロ融資

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欧州投資銀行(EIB)は11月3日、スペインのエネルギー大手イベルドローラに対し、ドイツ・バルト海で建設中の洋上風力発電所「Windanker」向けに5億ユーロのグリーンローンを提供すると発表した。この融資はスペイン輸出信用機関Cesceの保証を活用したもので、EUの気候変動対策と化石燃料依存脱却を目指すREPowerEU計画の推進に貢献する。

Windanker発電所は出力315MWで、イベルドローラの試算によると年間約60万人分の再生可能電力を供給する。21基のシーメンス・ガメサ製SG 14-236 DD型タービン(最大出力15MW)を採用し、ローター直径236メートルの直接駆動技術により、従来モデルと比較して年間発電量を30%以上増加させる。プロジェクトは11月に最初のモノパイル基礎の設置が開始され、2026年第4四半期の全面稼働を予定している。この案件はイベルドローラがバルト海で手がける3番目の大型洋上風力事業となる。

EUは2030年までに電力の80%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げており、ドイツも同様の国家エネルギー・気候計画を推進している。洋上風力は欧州の脱炭素化戦略の中核を担い、2023年時点でEU全体の洋上風力発電容量は約18GWに達している。Windankerプロジェクトは年間約67.2万トンのCO2排出削減効果が見込まれ、ドイツ北東部メクレンブルク=フォアポンメルン州(EU移行地域)に建設期間中約2,200人年の雇用と、稼働後160人の恒久的な技術職を創出する見通しだ。生成される電力の大部分は、ドイツ市場における長期電力購入契約(PPA)を通じて取引される予定である。

今回の融資はEIBとCesceが開発した新たな保証スキームの初適用事例で、スペイン企業が国外で進めるグリーンプロジェクトを支援する枠組みとなる。EIBグループは2027年までに2,500億ユーロの投資動員を目指すイノベーション促進プログラム「TechEU」を展開しており、Windankerもそのクリーンテック分野の一環として位置づけられている。欧州のエネルギー安全保障と産業競争力強化に向けた官民連携の新たなモデルとして、今後の展開が注目される。

【参照記事】EIB and Iberdrola sign a €500 million green loan for the Windanker offshore wind farm in German Baltic Sea

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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