フィリップス「ノンフライヤー」のヒット要因は?油なしで調理できる器具の人気の理由を解説

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フィリップス社の「ノンフライヤー」は、油なしで揚げ物を作れる調理家電です。2013年に日本でも発売されたところ、大ヒットを記録しました。カロリーが気になる方やヘルシー志向の方から大きな支持を集めましたが、他にもヒットした要因があります。

今回はノンフライヤーのヒット要因について分かりやすく解説します。同社の事例から、ヒット商品を生み出すヒントについて学んでみましょう。

※2023年12月18日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. ノンフライヤーは油を使わずに揚げ物料理ができる
    1-1.ノンフライヤーでカロリーダウン
    1-2.調理は3ステップで簡単
  2. ノンフライヤーがヒットした要因
    2-1.機能訴求を1点に絞った
    2-2.油の後処理の手間も省ける
    2-3.ヘルシーさだけでなく美味しさも支持された
    2-4.使いやすさや仕上がりの良さにもこだわった
  3. 現在は販売を終了している
    3-1.中国ファンドが家電部門を買収
    3-2.フィリップス本体は医療機器などに集中する方針
  4. まとめ

1.ノンフライヤーは油を使わずに揚げ物料理ができる

フィリップスはヘルスケア関連などに強みを持つ、オランダの電気機器関連メーカーです。日本ではフィリップス・ジャパンとして、東京都港区に本社を構えています。

フィリップスのノンフライヤーは油なしで揚げ物が作れる機器で、2013年に日本でも発売されて大ヒットとなりました。

1-1.ノンフライヤーでカロリーダウン

ノンフライヤーの最大の特徴は、とんかつやコロッケなどの揚げ物料理を油不要で作れることです。油を使わないことで、下記のように大幅にカロリーダウンができます。

ノンフライヤーでの調理 通常の油での調理
から揚げ 490kcal 582kcal
とんかつ 366kcal 542kcal
コロッケ 355kcal 355kcal
エビフライ 103kcal 103kcal

※表は筆者作成

たとえばとんかつは通常約500kcalで、ご飯やみそ汁などを付けると700kcal程度です。ノンフライヤーなら、単品のとんかつで360kcal程度のため、通常のとんかつと同じカロリーでご飯などを付けた定食にできます。

同じカロリーでも、炭水化物や食物繊維などが加わるため、栄養面でバランスの良い食事がとれます。

1-2.調理は3ステップで簡単

ノンフライヤーは、調理方法が簡単なのもメリットです。予熱をした容器に食材を入れる、温度を設定する、調理時間を設定する、の3つのステップが終われば、後は待つだけです。

予熱をしなくても料理はできますが、予熱によって加熱のムラを防止し、美味しそうな焼き色を付けられます。なお続けて料理をする場合、2回目以降の予熱は不要です。

2.ノンフライヤーがヒットした要因

ノンフライヤーは2013年にブームとなり、他社も油を使わない調理器具を発売したことで、市場がさらに拡大しました。ここまでのヒットとなった要因について解説します。

2-1.機能訴求を1点に絞った

多機能な家電も魅力的ではありますが、多すぎるとかえってどのような製品なのか分かりづらくなってしまうこともあります。ノンフライヤーは、油を使わないで揚げ物ができる点をピンポイントでアピールし、消費者に大きなインパクトを与えることに成功しました。

海外ではケーキやグラタンなども焼けることが人気のポイントでしたが、日本では機能訴求を1つに絞ったことが功を奏したといえます。

2-2.油の後処理の手間も省ける

通常の揚げ物は、調理の後処理にも手間がかかります。油は排水溝に流せないため、新聞紙やキッチンペーパーに吸わせる、凝固剤で固めるなどの作業をして、可燃ごみとして処理しなくてはなりません。

また、1回使っただけの油を廃棄するのはもったいないと抵抗を感じる方もいるでしょう。油を再利用するには揚げカスなどを取り除き、酸化をできるだけ防ぐためオイルポットなどで保管する必要があります。

ノンフライヤーならそもそも油を使わないため、調理後の油の処理について頭を悩ませる必要はありません。ノンフライヤーによって揚げ物料理が身近になった方も多いでしょう。

2-3.ヘルシーさだけでなく美味しさも支持された

フィリップス社の試食調査では、「油で揚げたから揚げと同じくらいかそれ以上に美味しい」と回答した人が94.2%を占めました。ヘルシーな食べ物は美味しさが後回しになる傾向があるものの、ノンフライヤーは美味しさの面でも支持されました。

参照:オリコンニュース「“揚げ物界”に激震! 今年話題の「ノンフライ調理器」、ヒットの理由とは

購入者からは「ヘルシーなのに美味しい」「揚げ物以外もいろいろ作れる」といった声が寄せられました。

2-4.使いやすさや仕上がりの良さにもこだわった

バスケットに食材を入れて、温度と調理時間をダイヤルで設定するだけと、簡単・スピーディーに調理できます。料理の初心者の方、短時間で調理を済ませたい方でも簡単に使えます。

仕上がりの良さも人気の理由で、バスケットのどの位置に食材を置いてもムラなく仕上がります。ノンフライヤーは丸型の設計で、熱風を均一にコントロールできる技術によりムラをなくすことが可能です。

2-5.長期的に見れば節約にもなる

自炊する場合、油は頻繁に使う食材です。揚げ物は1回でかなり多くの油を消費します。また揚げ物だけでなく、焼きそばなどの炒め物、カレーなどの煮物にも使われます。

家族の多い家庭では油の消費量も多く、年単位ではかなりの出費になることもあるでしょう。ノンフライヤーなら油なしで料理できるため、たまには油を使うとしても、油の購入費は大幅に減ります。

3.現在は販売を終了している

大ヒットを記録したノンフライヤーですが、日本では現在販売を終了しています。その要因として、家電部門が他社に売却されたことが挙げられます。

3-1.中国ファンドが家電部門を買収

フィリップス社は総合電機メーカーでしたが、近年は市場構造の変化への対応が難しく、苦戦が続いていました。2021年には同社の家電部門を、中国の投資ファンド大手の高瓴資本(ヒルハウス・キャピタル)に売却すると発表しました。

売却後も引き続きフィリップス・ブランドを使用することに合意したうえで、ブランドの利用期間は15年、使用量は約7億ユーロに設定されました。

参照:東洋経済オンライン「中国ファンドが「フィリップス」家電事業を買収

3-2.フィリップス本体は医療機器などに集中する方針

フィリップス社は現在、医療・健康分野のテクノロジー企業と位置付けています。医療機器、パーソナルヘルス、コネクテッドケア(医療制度関連の情報共有を推進する技術)が事業の3本柱となっています。調理家電や美容家電などからは手を引き、医療関連に注力していく方針です。

3-3.他社のノンフライヤー製品の販売は継続している

フィリップスのノンフライヤーは日本から撤退しましたが、他社のノンフライヤー製品は現在も販売されています。YAMAZEN、アイリスオーヤマ、VeSyncなどのメーカーが手掛けています。

油を使わずに簡単に揚げ物料理を作りたいというニーズは、依然としてあることが分かります。

4.まとめ

フィリップスのノンフライヤーがブームとなり、人気を集めた理由について解説してきました。当時広がりつつあったヘルシー志向にマッチしただけでなく、美味しさや器具の使いやすさが支持されたこともヒットの理由です。

ノンフライヤーは揚げ物だけでなくグリルなど他にもさまざまな料理ができるのも特徴ですが、日本で展開する際には、油なしで揚げ物ができることに訴求ポイントを絞りました。訴求点を1つに絞ることで、製品の立ち位置や特徴を明確にすることに成功した事例といえます。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。