SMBC日興証券は、国内有数の大手証券会社でありながらネットサービスにも力を入れている企業です。その知名度や親しみやすさから投資初心者だけでなく、信用取引など本格的な資産運用に取り組む専門家まで幅広い層に利用されています。
そこでこの記事では、SMBC日興証券の特徴やメリット・デメリット、評判などについて詳しく解説します。投資を検討している方、証券会社の選び方などで悩んでいる方は参考にしてみてください。
目次
- SMBC日興証券の特徴・メリット
1-1.「キンカブ」「日興フロッギー」で少額株式投資ができる
1-2.小口投資・長期の資産運用に向いている
1-3.AI株式ポートフォリオ診断やAI株価見守りサービスが利用できる
1-4.IPO(新規公開株)にも強い - SMBC日興証券のデメリット・注意点
2-1.総合コースの手数料は高め
2-2.IPOの抽選に必ず当たるわけではない
2-3.手を広げすぎないようにする - SMBC日興証券の評判・クチコミ
- SMBC日興証券の口座を開設する手順
4-1.「総合コース」か「ダイレクトコース」を決定する
4-2.申し込みに必要な書類を用意する
4-3.Webサイトまたは支店で申し込む - まとめ
1 SMBC日興証券の特徴・メリット
運営会社名 | SMBC日興証券株式会社 |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内3-3-1 |
設立年 | 2009年 |
代表取締役社長(CEO) | 吉岡 秀二 |
資本金 | 1,350億円(2024年6月30日現在) |
株主構成 | 株式会社三井住友フィナンシャルグループ 100% |
上場有無 | 非上場(親会社が東証プライム上場) |
自己資本規制比率 | 323.1%(2024年6月末時点) |
投資対象 | 国内株、ETF、新規公開株(IPO)、REIT、外国株、投資信託、債券、NISA、iDeco等 |
取引手数料(オンライントレード) | 株式約定代金 手数料(税込金額) ~10万円 137円 ~20万円 198円 ~30万円 275円 ~50万円 440円 ~100万円 880円 ~200万円 1,650円 ~300万円 2,200円 ~500万円 3,300円 ~1,000万円 4,950円 ~2,000万円 9,900円 ~3,000万円 16,500円 ~3,000万円超 27,500円 |
購入手数料(投資信託) | 各投資信託によって異なる |
三井住友フィナンシャルグループのSMBC日興証券は国内でもトップクラスの規模となる証券会社です。以前は日興コーディアル証券の社名で知られていましたが、2011年に現在の社名に変更し、グループ傘下の証券会社との統合などを重ねて現在に至っています。
取り扱う商品については株式・債券・投資信託・ファンドラップなど様々で、各商品はさらに細分化されているため、自分の投資スタイルに合った商品を選択することができます。各支店で専門のコンサルタントに相談しながら資産運用ができるのは、ネット専業の証券会社にはない強みとなっています。
それでは、SMBC日興証券のサービスや特徴について、具体的に見ていきましょう。
1-1 「日興フロッギー」で少額投資・ポイント投資ができる
投資初心者に向けたサービスが充実しているのがSMBC日興証券の大きな特徴です。一般的な株式や債券の販売をしているほか、運用の手間がかからない投資信託商品や、国内外のファンドを組み合わせて、個人の投資スタイルに投資信託を提供するファンドラップなども取り扱います。
また、投資の初心者や未経験者の方におすすめなのが、「キンカブ」「日興フロッギー」といった少額投資サービスです。キンカブは、金額や株数を指定して購入することができるサービスで、最低100円から株式を買い付けることができるため、お小遣いやちょっとした臨時収入を積み立て投資するのに向いています。
日興フロッギーは投資や銘柄に関連する記事を読みながら株を購入できるサービスです。コンテンツは初心者向けの記事や、読みやすい内容が中心ですが、記事中から株を購入できるのが最大の特徴です。記事中にそのまま銘柄を購入できるリンクが貼られているので、銘柄の購入画面にワンクリックで飛ぶことができます(※投資用口座は必要です)。
日興フロッギーからの株式購入でも保有株数に応じて配当金を貰えるほか、一定株数に達せば株主優待の対象になることも可能です。SMBC日興証券の口座を持っていれば、100円から約3,900銘柄の国内株式やREITを購入できる上、100万円まで購入手数料無料です。
dポイントで株式投資ができる「日興フロッギー」
日興フロッギーはスマートフォンからでも簡単に利用でき、2,000本以上の記事を無料で読めます。NTTドコモが提供するdポイントによる投資も100ポイントから可能なほか、dポイントを貰えるアイコンが付いた記事なら読むだけで3ポイント貰えます(ダイレクトコース限定)。このように、日興フロッギーでは投資を楽しく学びながら気軽に実践できます。
日興フロッギーの取引手数料
概算注文金額 | 買い手数料 | 売り手数料 |
---|---|---|
100万円以下 | 0% | 1% |
100万円超 | 1.0% | 1% |
1-2 小口投資・長期の資産運用に向いている
国内5大証券の一つであるSMBC日興証券では、小口の投資を行う個人投資家にも使いやすい豊富なサービスが提供されています。
例えばネット証券会社と同様に、オンライントレード専門の「ダイレクトコース」であれば、必要な手数料は取引に必要なものだけで済みます。取引手数料はネット専業の証券会社と比べるとやや割高ですが、他の大手店頭証券会社のオンライントレードコースよりもずっと安いのが特徴です。
運用資金が少ない場合、運用益に対する手数料の割合がどうしても大きくなるため、取引手数料の安さは小口投資家にとって大きなメリットになります。
また、SMBC日興証券の財務体質や企業の信頼性という点では、長期を見据えた資産運用を任せることができるため、iDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISAを検討している方にも向いています。
iDeCoとは、個人の老後資金を積み立てるための制度です。原則60歳にまるまで年金保険料を支払い、その保険料を元に運用される資産によって将来の年金受給額を確定させます。なお、iDeCoでは、積立額(掛金)の全額が所得控除の対象になるため、課税所得を減らして支払う税金を抑えることができます。また、iDeCoの運用益は全て非課税になるのもメリットです。
特にSMBC日興証券のiDeCoは、業界最低水準の信託報酬のインデックスファンドを取り揃えているため、より低コストで老後資金をじっくり作ることに向いています。
新NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益に対して20.315%の所得税が非課税になる税度です。2024年1月から始まった新NISAでは、年間投資枠が360万円、非課税保有限度額は1800万円に拡大され、非課税保有期間は無期限となったことで、以前よりも利用するメリットの大きい制度と生まれ変わっています。
1-3 AI株式ポートフォリオ診断やAI株価見守りサービスが利用できる
ダイレクトコース限定となりますが、SMBC日興証券ではAIを活用した「株式ポートフォリオ診断」や「株価見守りサービス」も利用できます。
AI株式ポートフォリオ診断は、ディープラーニングなど機械学習によるAI関連の開発に強みを持つHEROZ株式会社(4382)とSMBC日興証券が共同で開発したポートフォリオの提案サービスです。AIが投資資金やリスク許容度・保有株式などを踏まえ、より効率的な運用が期待できるポートフォリオを提案してくれます。新規ポートフォリオの提案だけでなく、保有中のポートフォリオについても診断をしてくれるため、リバランス提案を受けることも可能です。
AI株価見守りサービスは、国内の保有株式の株価をリアルタイムで見守り、投資戦略に基づいた売却タイミングをお知らせしてくれるサービスです。SMBC日興証券の投資戦略のひとつであるロスカット&プロフィットホールド戦略(LC-PH戦略)と、HEROZ株式会社と共同開発したAIによる高精度な株価トレンド予測を組み合わせることで、高度な投資戦略に基づいた株式投資を行うことができます。
「投資したい銘柄はあるけれど、効率よく分散投資する方法がわからない」という方や、「リバランスについて考える時間が取りづらい」「個別銘柄の売却ポイントの管理や、日々の株価確認の手間が面倒」という方は、上記サービスの利用を検討されてみると良いでしょう。
1-4 IPO(新規公開株)にも強い
IPO(新規株式公開)とは、未上場の企業が上場し、株式が自由に譲渡できるようにすることです。IPOが行われた場合、その株式の時価が大きく変動することが多いため、投資家たちの間でも有力な企業のIPOは注目されています。IPOでは企業が株式の発行数に応じて、証券会社に株の新規発行や株主の募集を依頼するため、他の手段で株式を入手することは難しいのが特徴です。
SMBC日興証券はIPOに強い証券会社として知られています。2023年の引受実績は59件と国内IPO銘柄(96件)の6割以上を取り扱うほか、主幹事(株の発行・募集・販売の中心を委託される金融機関)としての実績も多数あります。
SMBC日興証券はもともと大口顧客向けの対面取引が事業の中心でしたが、最近は個人投資家に向けた商品・サービスの開発などのネット事業にも力を入れています。そのため、取り扱うIPOの数と株数、実績を理由にSMBC日興証券の口座を開設する方が順調に増加しています。
2 SMBC日興証券のデメリット・注意点
証券会社を選ぶ際は、負担となる各種手数料や利用する際の注意点についても確認しておくことが大切です。
2-1 総合コースの手数料は高め
SMBC日興証券では、支店のコンサルタントと対面で相談しながら資産運用を考えることができる「総合コース」と、オンライントレードのみの「ダイレクトコース」の2つの取引コースが用意されています。取引コースによって、受けられるサービスや各種の手数料体系が変わってきます。
総合コースの手数料は、株式のオンライントレードで見た場合、ダイレクトコースの手数料の10~15倍ほど高くなります。また、支店に電話で発注する場合はさらにオンライントレードの1.5~3倍ほどと、手数料は高くなります。
支店(電話含む) | オンライントレード | |
---|---|---|
100万円まで | 5,500円 | 1,925円 |
100万円超~200万円以下 | 0.990%+2,750円 | 0.6930%+1,925円 |
1000万円超~2000万円以下 | 0.605%+19,800円 | 0.4235%+13,860円 |
「プロに相談できる」「誤発注を防ぐことができる」などのメリットは大きいですが、スピード感や手数料の安さを求める場合にはよく検討する必要があるでしょう。
2-2 IPOの抽選に必ず当たるわけではない
SMBC日興証券はIPOに強い証券会社ではありますが、必ず当選するわけではありません。人気があるぶん、多くの応募者がSMBC日興証券を通して抽選に参加するため、期待したIPO株がなかなか購入できないという場合もあります。
SMBC日興証券では委任されているIPO株のうち、一般に公開・募集されている株式数の割合が小さく、多くは支店で直接取引を行っている投資家に対して営業・提案がされています。SBI証券などのネット専業の証券会社と比較すると、同じ数量が割り当てられている場合、当選確率が低く購入できる数量も少ないという場合もあります。
また、IPO株が当選した場合にキャンセルをすると、ペナルティとして約1カ月間は新規IPOへの応募ができなくなります。「とにかく申し込んでおいて当選してから選別する」などの利用方法はできないようになっているので、注意しておきましょう。
なお、SMBC日興証券では、取扱数量の最大15%を目途として機械抽選によって一般投資家に配分しています。また、ダイレクトコースの場合、「IPO優遇特典」というステージ別の優遇特典サービスが設定されており、口座開設から3カ月以上もしくは預かり資産額250万円以上、もしくは信用取引建玉金額250万円以上の場合、ブロンズステージになります。資産を預ければ預けるほどステージが上がり、当選確率もアップしますので、IPOを狙いたい方は検討されてみると良いでしょう。
抽選票数 | ステージ判定条件 | |
---|---|---|
ブロンズ | 1票 | 新規口座開設3か月 or 預かり資産残高250万円以上 or 信用取引建玉金額250万円以上 |
シルバー | 5票 | 預かり資産残高1,000万円以上 or 信用取引建玉金額1,000万円以上 |
ゴールド | 15票 | 預かり資産残高3,000万円以上 or 信用取引建玉金額3,000万円以上 |
プラチナ | 25票 | 預かり資産残高5,000万円以上 or 信用取引建玉金額5,000万円以上 |
2-3 手を広げすぎないようにする
SMBC日興証券は投資商品を豊富に取り扱っていますが、手を広げすぎると管理ができなくなる可能性もあるので注意しましょう。
投資や資産運用では、まず投資方針を明確にしてから各商品の特徴やメリット・デメリットなどの情報収集を行うのが基本です。商品によって手数料の体系や取引可能な時間帯などさまざまなルールが変わってくるので、投資対象が増えるほど管理の手間も増えます。
管理効率が悪くなってきたと感じる場合は、ポートフォリオ(資産配分)を見直すか、総合コースへの加入等を検討すると良いでしょう。
3 SMBC日興証券の評判・口コミ
SMBC日興証券の総口座数は2023年12月末時点で396万6,000口座と堅調に伸びています。業績についても、預かり資産の拡大や好調な相場環境を背景として2023年度第3四半期累計は純営業収益2,267億円(前年同期比38%増)となっています。
SMBC日興証券は、大手の証券会社の中でも手数料が安いのがメリットなほか、日興フロッギーが使いやすくて便利と評判です。SMBC日興証券はどのような評判を得ているのか、利用者の声をいくつかご紹介します。
- 「大手の証券会社の中でも手数料が安い」
- 「日興フロッギーが使いやすくて便利」
- 「日興フロッギーでの株式投資にdポイントが使えるので始めやすい」
- 「IPOの抽選になかなか当たらない」
SMBC日興証券の手数料水準を評価する声は少なくありません。手数料の安さだけで選べばネット証券に分がありますが、「大手であること」「プロのアドバイスが受けられること」などの面を考えれば、むしろ安いと感じる投資家の方も数多くいます。
また、SMBC日興証券の特徴的なサービスとして人気の高い日興フロッギーは、特に投資歴の浅いユーザーから評価されています。投資の勉強になるコンテンツが豊富で、グラフや図表もあるので読みやすいのも特徴です。最大の特徴となっている銘柄購入画面へのリンクも、ただのリンクではなく記事上に銘柄の時価がチャートで出ているので直感的な投資判断もできます。
dポイントでの株式投資サービスも人気です。現物株式の取引で貯まるほか、1ポイント=1円として「日興フロッギー+ docomo」経由でのキンカブ取引(100円から金額指定で売買できるサービス)に利用できます。
なお、すでにご説明した通り、SMBC日興証券で取り扱うIPO株の種類や割り当て株数は多いのですが、抽選による募集に回されている数量はその一部です。そのため、100%が抽選に回る証券会社と比較すると、当選率で見劣りする場合もあります。
当選時の資金に余裕がある場合は、他の証券会社にも口座を作っておいてIPOに複数応募する方法もありますが、口座・資金の管理がおろそかにならないよう注意が必要です。
4 SMBC日興証券の口座を開設する手順
SMBC日興証券の口座開設の手順について簡単にご紹介します。
4-1 「総合コース」か「ダイレクトコース」を決定する
SMBC日興証券では、取引コースを「総合コース」「ダイレクトコース」のいずれかに設定する必要があります。あとからでも変更は可能ですが、取引に関係する手数料やサービス内容が変わってくるので、事前に決めておくと良いでしょう。
基本的には手数料の安いダイレクトコースがおすすめですが、投資する資金額が大きく、期待する運用益に対してそれほど手数料負担が気にならない場合や、知識が浅い・高齢で情報収集やトレード画面の操作に自信がないという場合は、総合コースがおすすめです。また、同時にNISAも申し込み可能です。
4-2 申し込みに必要な書類を用意する
次に、口座開設に必要となる書類を準備します。必要書類は「マイナンバーカード」、もしくは「マイナンバーの通知カード+運転免許証またはパスポート」が一番簡単です。「スマホでかんたん顔認証」も利用可能です。
郵送にする場合は、上記書類のコピー、または「通知カードのコピー+本人確認書類(写真あり)1点」あるいは「通知カードのコピー+本人確認書類(写真なし)2点」を提出します。本人確認書類は、パスポートや運転免許証の他、福祉手帳や健康保険証、住民票の写し、印鑑証明書などが利用可能です。
4-3 Webサイトまたは支店で申し込む
SMBC日興証券の口座開設は、Webサイトから申し込む方法と、支店の窓口で申し込む方法があります。
いずれの場合も個人情報の入力と上記の本人確認書類の提出が必要です。必要な情報を提供した後、支店での申し込みの場合は約2週間(最短9日)ほどかかりますが、より早く開始したい場合はWebサイトでの申し込みが有効です。
5 まとめ
SMBC日興証券は3大証券会社の一つですが、手数料水準や先進的なサービス、IPOなどに特徴がある企業です。投資初心者から大口投資家まで対応しており、経営基盤にも強みがあるので、長くお付き合いしたい方に向いた証券会社と言えるでしょう。
キンカブやdポイントで株式が購入できる日興フロッギーなど、初心者でも使いやすいサービスも充実しているので、これから投資を始めていきたいと考えている方にも使いやすいでしょう。興味のある方は検討してみてください。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
- IPO投資に強い証券会社、少額からIPOに参加できるサービス
- 貯まったポイントを使って株式投資ができるサービス
- 大手証券会社が提供している株式投資サービス
- 少額で株式投資ができるサービス
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