目次
Deentraとは?
Deentraとはブロックチェーンによるトークンインセンティブを通じて、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を促すプラットフォームです。具体的には再生可能エネルギーへ投資したい投資家と太陽光パネルなどを所有地に設置したい企業や家庭などのマッチングプラットフォームとして機能しています。
世界では化石燃料への依存が問題視されており、再生可能エネルギーへの転換が急速に進んでいます。世界各地で発生している異常気象は温室効果ガスの過度な排出が原因だと一般的には考えられており、化石燃料による温室効果ガスの排出は持続可能な社会を実現する上で第一に解決すべき問題となっています。これに加えて、化石燃料は有限であることから資源の枯渇も懸念されています。化石燃料に頼りきった経済システムのままで進んでいくと、資源がいつか枯渇してしまいます。よって、限りある資源の中で経済発展をしていくためには化石燃料への依存は大きなリスクが伴います。また、化石燃料の価格は市場の需給バランスによって大きく変動し、産油国の政治的な動向によっても左右されるため、エネルギー供給の不安定性も問題とされています。
このような背景から、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は、温室効果ガスの排出削減だけでなく、エネルギーの安定供給や経済の安定を維持するためにも重要となっています。
再生可能エネルギーには太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどがあり、これらのエネルギー源は、使用しても枯渇することがなく、温室効果ガスの排出量も大幅に削減できるため、地球温暖化の進行を抑制するための解決策として非常に期待されています。しかし、現状は厳しく、ロイターの記事によると世界のエネルギー供給に占める化石燃料の割合が約80%と報告されています。
世界的に再生可能エネルギーへの移行が進んではいるものの、未だに多くの化石燃料に依存してしまっているのが現状です。
このような背景の中、Deentraはブロックチェーンによるトークンインセンティブを活用して、再生可能エネルギーの導入を行いたい企業や個人とそれに投資したい投資家のマッチングプラットフォームを提供することで、再生可能エネルギーの普及拡大を目指しています。
Deentraの仕組みは?
続いて、Deentraの仕組みを見ていきます。
プラットフォームの構造
Deentraプラットフォームの主な役割は再生可能エネルギーへ資金を提供したい「投資家」と再生可能エネルギーを導入したい「企業や家庭」、太陽光発電所などの物理的な建設に関わる「業者」をマッチングさせることです。投資家は発電所の建設に資金を提供し、そこから生み出されるエネルギー量に比例してガバナンストークンを報酬として貰うことができます。太陽光などの再生可能エネルギーを導入したい企業や個人は投資家による資金提供によって、建設コストを抑えることができるため、参入が容易になります。
具体的なトケノミクスはまだ設計されていないようですが、投資家への報酬以外にもインフレ対策としてプラットフォーム内での手数料などにも使われることが予想されます。
NFTと管理ダッシュボード
続いてDeentraで販売されているNFTと管理ダッシュボードの機能を見ていきます。
まず初めに、太陽光発電などの再生可能エネルギーへ資金提供を行なった投資家は証明としてNFTを貰うことができます。
次に太陽光パネルを設置する業者をプラットフォーム上から選択します。投資家が行うのはここまでで、設置までの業者とのやり取りはDeentraが行います。
設置が完了したら、Deentraのダッシュボードからリアルタイムでエネルギーの生成量を確認することができます。
Deentraでは生成したエネルギー量をNFTアートとして表現することができ、恐竜が手にしているボードにエネルギーの生成量が刻まれます。この機能を活用することで、ユーザーはSNSなどで自分が再生可能エネルギーによって生み出したエネルギー量を証明し、アピールすることができます。
Deentraの展望は?
最後は筆者による考察です。
再生可能エネルギーによって生成されたエネルギー量に対して報酬を与える仕組みは他のReFiプロジェクトでも取り組んでいます。しかし、Deentraはトークインセンティブを活用するだけでなく、コミュニティ形成に力を入れている印象でした。
「化石燃料への依存から脱却し、再生可能エネルギーへの転換を早める」といったDenntraのビジョンに共感する人を集めて、エンゲージメントを高めるような取り組みも行っています。再生可能エネルギーの導入に投資して報酬を得るだけでなく、NFTアートによるコミュニティ価値の形成を行うことでロイヤリティを高めています。このようにエンタメ性を構築することで、人々からの注目をより集めやすくなりますし、結果として再生可能エネルギーへの転換を早めることに繋がります。
トケノミクスに関してはまだ設計されていないようですが、コミュニティの価値を高めてファンをつくることができれば、生成したエネルギーの価値に加えてコミュニティ価値が価格に反映されるようになります。このアプローチにより、他の再生可能エネルギーのトークン化を行うReFiプロジェクトとの差別化が可能となります。コミュニティ中心のプロジェクトは独自性を持つことができ、それが競争力にも繋がります。Dentraの今後のコミュニティ形成とトケノミクスの設計に引き続き注目していきたいと思います。
mitsui
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