日銀政策決定会合とFOMCでドル円はどうなる?利下げ見通しや為替介入も解説【2024年3月】

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2024年3月現在、日銀政策決定会合とアメリカのFOMCが行われ、市場の注目が集まりました。

本稿では、プロトレーダーの筆者が、日銀政策会合とFOMCの内容や、ドル円を中心とした今後の相場のポイントを解説します。是非参考にしてみてください。

※本記事は2024年3月25日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. サプライズなしのマイナス金利解除
  2. FOMCでは利下げ回数に変化なし
  3. ドル円は一時150円付近まで急落
  4. 円売り主導でドル円は上昇
  5. まとめ

1.サプライズなしのマイナス金利解除

日銀政策決定会合の結果を確認しましょう。

まず焦点となっていた、マイナス金利が解除されました。しかし事前にリーク記事が沢山出ていたため、市場参加者にサプライズ感はなく、予想通りと受け止められました。

その他、ETF購入の完全停止が決定されました。

また、金融緩和をより効果的に持続させるために継続していたYCC(イールドカーブコントロール)を撤廃し、金利は市場に任せることとしました。従来、日銀がどの位置で上限金利を設定するのかが焦点となっていましたが、今後は相場動向が注目されるようになるでしょう。また、金利が急騰するリスクに注意してください。

2.FOMCでは利下げ回数に変化なし

20日発表されたFOMCは、無風となりました。

まず政策金利は据え置きとなり、年内の利下げ回数も予測が3回と前回から変化がありませんでした。パウエル議長の会見では、「年内のいずれかの時点で利下げに踏み切る可能性高い」とし、6月の利下げに確証を与えませんでした。

参照:ロイター「パウエル米FRB議長の会見要旨

唯一の変化は、2025年における利下げ見通しの回数の減少です。ただし、2025年の利下げ見通しは、今後の経済指標や米国経済の動向で変化するため、市場の焦点はインフレ再燃であることも考えると、影響はないと言えるでしょう。

今回のFOMCのポイントは、FOMC前後の市場の反応です。FOMC前のアメリカの経済指標は、堅調な経済を示す強い数字が並びました。そのためインフレ再燃の懸念が広がり、FRBが若干タカ派になり利下げ姿勢を後退させる可能性が意識されると、米国債金利の上昇・ドル高に繋がりました。

FOMCにて年内の利下げ回数に変化はなく、パウエル議長の発言でも特段変更がないことが確認されると、FOMC前のポジションが解消され、米国債金利は低下し、ドル売で反応しました。

3.円売り主導でドル円は上昇

日銀政策会合とFOMC後のFX相場
※図はTradingView[PR]より筆者作成

日銀政策決定会合とFOMC後の市場の値動きについて解説します。上記のチャートでは、ドル円をローソク足、米国債2年金利をオレンジ、S&P500指数を水色で表示しています。

まず2024年3月19日のお昼に発表された日銀政策決定会合では、予想通りマイナス金利の解除と、緩和的なスタンスの継続を確認できたことから、安心して円売りが再スタートしました。日銀政策会合前、ドル円は149円台でしたが、その後上昇し、一時151円台後半となりました。日銀政策決定会合後に米国債金利は低下したものの、ドル売りよりも円売りの方が強かったことから、ドル円が上昇しています。

そしてFOMCを無風で通過すると、FOMC前に進んでいたドルロングの巻き戻しが発生し、ドル売り主導でドル円は一時150円付近まで急落しました。しかしその後、押し目買いが入っています。

米国債金利は急低下し、その後も低下方向で推移しています。S&P500指数は安心感から再度買われており、株式市場は全体的に堅調な地合いとなっています。

4.ドル円は153円を超えると為替介入か

ドル円は日銀政策決定会合のマイナス金利解除の影響で、円高に一時的に振れるのではないかと思われましたが、ほぼ影響はなく、円買い材料がなくなりました。為替介入の警戒感はここから広がる可能性はあるものの、2024年3月現在の水準での介入は考えられないため、警戒するのは153円を超えてきてからでしょう。今後もドル円は底堅い動きが予想され、一時的に下落して押し目が作られるタイミングでは、買われる地合いが続きそうです。

政府高官からも為替に関するコメントが出ているものの、介入警戒感を強めるほどの内容ではありません。ドル円は怖くて売れないというのが、多くの投資家の本音ではないでしょうか。

ドル円は、一旦は152円を超えて推移する可能性があり、淡々とじり高になりやすいでしょう。あまりにも加速度的に上昇が止まらず、154円台になる場合は、介入を警戒する必要があります。上昇の幅だけではなく、上昇のスピードにも着目してみてください。

細かくロング(買い)でエントリーし、利益を積み上げるFX戦略は選択肢の一つでしょう。

5.まとめ

本稿では、日銀政策決定会合とFOMCの内容、ドル円を中心とした相場のポイントを解説しました。

予想通りの展開になったとしても、エントリー価格が悪ければ、損失が出やすくなります。相場を当てることよりも、リスク管理を行いながら、エントリーポイントを見極めることを意識して、トレードを行ってみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12