英中銀は昨日、進行している英国債の金利急騰に対して、市場を沈静化するための緊急対応を行った。内容としては10月14日まで長期債の購入を実施するとしている。
国債を緊急的に買い支える理由としては、英政府の長期債務に影響を与えていることによる。市場の機能不全が継続もしくは悪化すると、国の金融の安定性に大きく悪い影響を与えるとした。
具体的な購入金額については定めておらず、市場が安定するという理解ができるまで必要な規模で実施するとのこと。
また、英中銀は先日、保有している英国債を売却すると発表していた。1年間で800億ポンドもの売却は10月から開始することになっていたが、一旦10月末まで延期する。
今回の緊急対応措置を受けて、英国債金利が急低下している。また、米国債金利も急低下し、米国株および欧州株は大幅反発する動きとなった。
英国債の30年金利は1%の急低下、10年金利は0.5%の低下となっており、一旦市場はいい方向に反応した様子。
ポンドドルも1.05台から1.09台まで急騰しており、現在は1.08台での推移。
米国債金利も同じタイミングで低下しており、米国債金利に英国債の金利が波及したことが伺える。
青:米国債10年金利 オレンジ:英国債10年金利
一旦は市場が落ち着くまで国債買い入れを続けるとの方針を表明しているが、次に考えるべきことは英のトラス首相が大型減税策を撤回するか、何かしら方針を変更するのか等がポイントとなりそう。
大型減税策に特に変更がない限りはイギリスの混乱というのは収束に向かいにくいため、現在は時間稼ぎができた状況だと考える。
英財務省が、金融機関幹部にポンドを売らないで欲しいと依頼したとも報じられており、ここからのポンドの下落は許容できないラインだと見られる。
ドル円は、一旦145円台で介入警戒感もあることから上方向には攻めきれず、米国債金利の低下もあり、一旦は上昇しにくい地合いになる可能性がある。145円台後半が防衛ラインとして見られていることからこの水準からは注意しておきたい。
中島 翔
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