昨日、トラス政権は打ち出していた減税策を撤回し、マーケットは好感する地合いとなった。
新しく財務相に就任したハント氏は、所得税の基本税率の引き下げやアルコール税の増税凍結などほとんどの減税策を撤回しており、足元で続いていたイギリスの混乱が終了する気配となっている。
イギリスで光熱費が8割値上げすることを受けた支援策を2年間としていたが、短縮され来年4月までとなる。
一方、50年間で最大規模の減税政策を打ち出したトラス首相に対しては厳しい反応となっており、辞任を求める声もあるが、昨日はイギリス国債の金利が低下し、イギリスポンドは上昇する動きとなった。
元々イギリス国債の金利が急騰していたが、減税策で不足する財源を国債発行で調達すると打ち出していたからで、減税策を撤回したことで財源確保の必要性がなく、国債金利が低下するという動きとなっている。
金利低下がポンド安に繋がらない理由としては、信用不安からポンドが売られていたということが背景にある。また、悪い金利上昇のため、ポンドの強弱と動きが乖離したということは理解しておきたいポイントだろう。トラス政権は短い期間となる可能性も出てきており、歴史的にも政権の動きに注目。
イギリスの影響を受けて、米国市場でも再度株価は回復する動きとなっており、株価の乱高下が続いている。
ポンドは円売りも重なり、対円では169円台後半まで上昇しているが、対ドルでは1.14ドル台後半まで上昇したものの、その後ポンド高は続かなかった。
昨日は米国債金利が上昇しているにも関わらず、米ドルが対主要通貨に対して売られていることが気になる動きとなっており、この動きが続く場合はドル安方向の圧力が続く可能性がある。(下記参照)
1枚目が15分足、2枚目が日足だが、昨日は金利と米ドルの動きが完全に逆になっていることがわかるだろう。
今週のアメリカは決算シーズンとなっており、金融関連から予想外にいい数字が出てきていることもあり株価は上昇している。しかし、11月の中間選挙も控えているため、短期的な株式市場のラリーが起こる可能性は頭に入れておきたい。
短期的なラリーとなった場合は、ドルは一旦下落する動きになりやすくなるため、引き続きFRBの利上げ動向の変化に注目しながらの米ドルのトレードは行う必要性があることは変わりない。
中島 翔
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