シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は12月21日、「金利のピーク?投資家の選択肢」と題した日本語版レポートを公開した。世界各国でインフレ率が低下し、米連邦準備制度理事会(FRB)が来年の利下げを示唆する中、金利はピークに達したとの見方が強まっている。このような環境下での各資産の投資機会について、シュローダー社のスペシャリスト3人の見解をディスカッション形式で紹介している。
ディスカッションは、チーフ・エコノミストのキース・ウェイド氏、マルチアセット・インカム&グロース戦略ヘッドのレミ・オルピタン氏、グローバル上場リアルアセット共同ヘッドのトム・ウォーカー氏の3人が①金利はピークに達したか?②金利のピークは投資家にとってプラスなのか?③金利のピークが不動産市場にもたらす影響は?④各国金融政策の相違がもたらす影響は?⑤中国は?の5つのテーマで見解を述べている。
このうち、金利はピークに達したかという問いに、ウェイド氏は「達したと考えている」と述べ、主な理由としてインフレの改善を挙げる。インフレ率は世界中で大きく低下しており、1年前は9%程度だった米国のインフレ率は現在3%程度。欧州では10%程度から3%以下に低下している。英国でも4.5%程度まで低下した。このことから「中央銀行はその役目を果たしたとの見方が強く、市場は来年の利下げを期待している」とウェイド氏。
ただし「金利はピークに達したが、すぐに低下するとは考えていない」と見る。米国は、最初の利下げは来年2024年9月と予想する一方で、「欧州ではより早期に利下げが行われる可能性がある」という。欧州中央銀行(ECB)とBoEはインフレ率の低下だけでなく、景気後退のリスクを伴う経済活動の低迷にも注視しているため、ECBは、早ければ3月に、BoEはおそらく5月に利下げを実施する可能性があるとする。「金利はピークに達したが、金利の低下のスピードには差異が生じていく」という見方だ。
また、各国金融政策の相違がもたらす影響、特に日本について、ウェイド氏は「金利がピークに達したというよりも、むしろ上昇に向かう。日本銀行は今般、利上げに踏み切るための地ならしをしていると言われているが、我々は来年の春までは利上げを実施しない」と予想。さらに、日銀はインフレについて上昇基調が維持されることを望んでおり、これは英国と米国とは全て日本では裏返しとなり、日本では金利上昇が見込まれる」という意見を展開している。
各資産の投資機会について、オルピタン氏は「金利がピークに達し、経済成長率が安定化した場合、米国以外の市場や、バリュー株や小型株に目を向ける良い機会」と見る。ウォーカー氏は「高齢化、デジタル化、賃貸世代、eコマースなど、構造的な変化が複合的に存在し続けている。不動産のファンダメンタルズに再注目した時、不動産市場は強いポジションにいる。低供給、強い需要、収入拡大につながる価格決定力などが一部の家主には期待できる」と述べている。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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