FXのオプション取引について調べていると、ノックアウトオプションという取引方法を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ノックアウトオプションを、日本で取り扱いしている会社は限られています。
今回は、IG証券のノックアウトオプションの特徴と、メリットとデメリットを解説します。
※この記事は2021年8月17日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- IG証券の概要は?
- IG証券、ノックアウトオプションの特徴は?
- IG証券のノックアウトオプションのメリットは?
3-1.最大損失額が最初に分かる
3-2.資金効率が高い
3-3.「ノースリッページ注文」が利用可能
3-3.利益確定と損切りが自由に可能 - IG証券のノックアウトオプションのデメリットは?
4-1.エントリー時に指値でエントリーができない
4-2.一度エントリーすると、ノックアウト価格は変更できない
4-3.6ヶ月間取引がない場合は月500円の口座管理手数料が発生 - IG証券のノックアウトオプションの評判は?
- まとめ
1.IG証券の概要は?
IG証券は、イギリスのロンドンに本拠地を構え、1974年創立の歴史がある金融系のリーディングカンパニー「IGグループ」傘下の証券会社です。IG証券の取引プラットフォームは世界中で利用されており、23万人以上のユーザーが利用しています。(2021年6月時点)
また、17,000銘柄以上の金融商品が取引可能で高機能取引ツールや学習コンテンツも提供しています。キャッシュバックキャンペーンを行うなど、トレーダーにとってメリットがあります。
電話サポートの利用時間は月~金曜日:8:00~21:00、祝日:8:00~20:00であり、初心者の方にとってのサポート体制も手厚くなっています。
2.IG証券、ノックアウトオプションの特徴は?
IG証券は一般個人顧客向けに店頭取引において、日本で初めてノックアウト・オプションを提供した証券会社です。IG証券のノックアウト・オプションはFXの他に世界中の株価指数、金原油などのコモディティも取引でき、取扱い銘柄が充実しています。ノックアウトオプションは、エントリーする際に最大損失額が決定されるという特徴を持ちます。
ノックアウトオプションの取引手順は以下の通りです。
- ブル(上昇)かベア(下落)かを選択する
- 取引ロット数を決める
- 価格が自分の予想した方向と反対に進んだ時の損切りラインである「ノックアウト価格」を決める
- 自分で利確・損切りをする、もしくは価格が「ノックアウト価格」まで達したら取引終了
ノックアウトオプションでは、指値・逆指値を決めることも可能です。指値・逆指値を設定しない場合、ノックアウト価格に到達しなければ決済は行われないので、ポジションを保有し続ける事になります。
エントリーする際に最大損失額が決定されます。損切りのタイミングを決めかねてしまうという方にとっては、取引開始の時点で最大損失金額のイメージをすることができるという利点があります。
3.IG証券のノックアウトオプションのメリットは?
IG証券のノックアウトオプションのメリットは以下の通りです。
- 損失額が限定される
- 「ノースリッページ注文」が利用可能
- 利確と損切りが自由に可能
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.最大損失額が最初に分かる
ノックアウトオプションの最大の特徴は、エントリー時に最大損失額が決まるという点です。設定したノックアウト価格と、取引通貨量(ロット数)によって最大損失額が決定されます。
例えば、現在価格が1ドル100円の時、ノックアウト価格99円/10,000通貨でエントリーすると最大損失額は10,000円となります。事前に最大損失額が決まっているので、損切りタイミングが遅れたという場合でも、予想してたよりも大きな損失を出すことがありません。
ノックアウトオプションを使うと、取引開始の時点で最大損失額が分かるため、「損失の金額が大きくなってしまわないか不安」という方にとってメリットがあります。
3-2.資金効率が高い
ノックアウトオプションを取引するうえで必要な資金は、ノックアウト価格の設定によって決まる「最大損失金額=オプション料」のみとなります。
例えばFXの場合、ドル円を1ロット取引するうえで必要な資金(証拠金)はその時々の為替レートにより異なりますが、2021年7月29日22:00頃だと44,000円くらいです。
一方ノックアウトオプションの場合、ノックアウト価格を50pipsに設定した場合、5,000円程度のオプション料となります。
このようにノックアウト価格の設定次第ではありますが、ノックアウトオプションの場合、資金効率が高い取引も可能です。
ノックアウトオプションはノックアウト価格に価格(原資産価格)が到達しない限り、ポジションは最長約1年間保有できるのでデイトレーダー、スイングトレーダー向けの金融商品であるともいえるかもしれません。
(※)ただし外賀建て銘柄の場合、清算時の為替レートによっては損失がオプション料を上回ることがあります。
3-3.「ノースリッページ注文」が利用可能
スリッページとは、あらかじめ設定した価格と実際に約定した価格の間に差が生じる現象のことを指します。スリッページは、重要な経済指標が発表された直後など、相場が急変する時に起こります。
IG証券の「ノースリッページ注文」を使うことで、価格が急に変動したとしても指定のレートで決済をすることができます。スリッページが立て続けに起こるとストレスを防ぐことができます。
3-4.利益確定と損切りが自由に可能
ノックアウトオプションでは、指値・逆指値を設定しなければ、手動で決済することになります。つまり、ノックアウト価格に到達しない限り決済は行われないため、ポジションを保有し続ける事になります。
決済しない場合は最大損失額が決まっているため、リスクが一定値以上増加しませんが、決済のタイミングを見計らうことができるというメリットがあります。ノックアウトオプションの特徴をうまく利用すれば、長期的な戦略で活用することも可能です。
4.IG証券のノックアウトオプションのデメリットは?
IG証券のノックアウトオプションのデメリットは以下の通りです。
- エントリー時に指値でエントリーができない
- エントリーするとノックアウト価格は変更できない
- 6ヶ月間取引がないと月500円の口座管理手数料が発生
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.エントリー時に指値でエントリーができない
指値注文とは、レートがある価格に到達したら自動的に注文が成立するという注文方法です。IG証券のノックアウトオプションでは、指値決済はできますが指値注文はできない仕組みになっています。
指値注文ができないとリアルタイムでしかエントリーできません。株式投資やFXで、普段から指値注文を使っている人からすると不便に感じてしまうでしょう。
ノックアウトオプションを使わない通常の注文であれば指値注文できるので、状況によって使い分けてトレードすると良いでしょう。
4-2.一度エントリーすると、ノックアウト価格は変更できない
ノックアウトオプションではエントリーするときにノックアウト価格を決め、エントリー後はノックアウト価格は変更できない仕様になっています。手動で損切りしたり、逆指値を使うことで実質的な損切りラインを変えることはできますが、ノックアウト価格を超える範囲では逆指値を設定できません。
よく考えずにノックアウト価格は設定してしまうと後悔することになりかねませんので、エントリー時には注意が必要です。なかなか損切りができず、含み損がふくらんでしまうことがないので、なかなか損切りができない投資家の方にとっては資金管理、損失管理の観点からメリットにもなります。
4-3.6ヶ月間取引がない場合は月500円の口座管理手数料が発生
IG証券では、しばらく取引のない口座に対しては口座管理手数料が発生します。口座管理手数料が取られる条件は以下の通りです。
- 6ヶ月以上ポジション保有がない
- 6ヶ月以上取引がない
- 口座に証拠金がある
上記の条件を全て満たした場合口座管理手数料がかかってしまいます。
証拠金残高が550円に満たない場合は全額が引き落とされますが、不足分について後日徴収されることはありません。引き落としは、翌月上旬で、口座管理手数料発生条件を満たしている場合は、以降毎月発生するので取引しない期間が長く続く時には確認しておきましょう。
5.IG証券のノックアウトオプションの評判は?
IG証券、ノックアウトオプションの評判を紹介します。
- IG証券のチャートが見やすかった
- FXよりもノックアウトオプションの方が、最大の損失金額が分かるので使いやすい
- ノックアウトオプションのレートの見方に慣れるまで難しかった
- IG証券のチャートのアラート機能の使い方が分かるまでに時間がかかった
- 逆指値で滑ることが多く感じた
IG証券ノックアウトオプション特有のチャートやツールに慣れるまで時間を要したという評判が多く見られました。
6.まとめ
今回は、IG証券のノックアウトオプションの特徴と、メリットとデメリットを解説しました。IG証券では、ノックアウトオプションを日本で初めて提供したこともあり、ユーザーにとって取引しやすい体制が整っています。
FXで損切りのタイミングに悩んでしまう方や、新しくオプション取引をやってみたいという方にとって、IG証券のノックアウトオプションはメリットがあります。ノックアウトオプションには難しい設定が必要ありません。
IG証券のノックアウトオプションについて気になっている方は、利用の検討を進めてみてはいかがでしょうか。
中島 翔
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