投資のトレンドテーマを探している中で、自動運転のテクノロジーを扱う投資信託に興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。世界ではテスラやホンダを中心に、自動運転の実用化に向けて日々、研究開発が進んでいます。最新のテクノロジーに投資することは、資産運用の上で有効な手段です。
この記事では、自動運転のテクノロジーをテーマとして扱っているファンドを紹介します。投資のトレンドテーマを探している方はご確認ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 自動運転関連の投資信託とは?
1-1.産業革命に匹敵する革新技術
1-2.2020年にはレベル3の市販車が販売
1-3.自動運転の市場規模 - 自動運転のテクノロジーに関連して革新が起きる業界
2-1.金融業界(キャッシュレス決済)
2-2.ソフトウェア業界
2-3.小売業界
2-4.タクシーなど旅客業界 - 自動運転関連の銘柄へ投資するファンド
3-1.三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンド
3-2.三菱UFJ国際-eMAXIS Neo 自動運転 - まとめ
1.自動運転関連の投資信託とは?
新しいテクノロジーである自動運転とはどのようなものか、投資環境と合わせて見ていきましょう。
1-1.産業革命に匹敵する革新技術
自動運転がもたらすものは、変化ではなく、社会を根本から変える革新技術とされています。影響は自動車業界だけにとどまらず、移動のあり方や都市のつくり、社会インフラそのものを変え、現代の社会課題を解決し次の社会への架け橋となる可能性を秘めています。
1-2.2020年にはレベル3の市販車が販売される
自動運転の技術はAIの対応力に応じてレベル分けされています。レベルの段階は以下の通りです。
レベル | 概要 | 運転操作 |
---|---|---|
レベル0 自動運転化なし | ドライバーがすべての運転を行う | ドライバー |
レベル1 運転支援 | アクセル、ブレーキ、ハンドル操作のどれかをシステムが部分的に補助 | ドライバー |
レベル2 部分運転自動化 | アクセル、ブレーキ、ハンドル操作のどれかをシステムがすべて補助 | ドライバー |
レベル3 条件付運転自動化 | 決められた条件下ですべての運転を自動化。システムからの要請があればいつでも運転できる状態になければいけない。 | システム(ドライバーはサポート) |
レベル4 高度運転自動化 | 決められた状況下で、すべての運転を自動化 | システム(ドライバーはサポート) |
レベル5 完全自動運転 | 条件なくすべての運転が自動化 | システム |
【参照資料】経済産業省「自動走行ビジネス検討会」
レベル1や2では、自動運転機能はドライバーの運転をサポートするにとどまっていますが、レベル3からはドライバーのサポートを受けつつもシステム主導での運転が実現されます。
世界の自動運転市場では、2021年8月現在でテスラがレベル2相当、2020年にホンダが販売したレジェンドはレベル3を実現しています。ITやAIの進化とともに、いずれはレベル5までの自動運転化が達成されると言われています。
1-3.自動運転の市場規模
2020年にレベル3の市販車を販売するに至った自動運転市場ですが、米リサーチ会社REPORT OCEANの2021年4月における予想では、2030年までに4,954.9億ドルまで市場規模が拡大すると見込まれています。
自動運転市場は電気自動車市場と合わせて成長が期待される業界です。
1-4.自動運転と5Gとの関連性
ITやAIを駆使して動作する自動運転車には、5Gの技術は欠かせない要素です。5Gには以下の特徴があります。
- 高速・大容量の通信
- 超低遅延
- 多数同時接続
リアルタイムに変化する交通状況に対する状況判断には、大量のデータを遅延なく通信する必要があり、5Gの技術無くしては、自動運転の実現は難しいとされています。自動運転のレベルを上げるには、5Gのテクノロジーをインフラに浸透させなければならないのです。
2.自動運転のテクノロジーに関連して革新が起きる業界
自動運転技術にはIT通信技術などがセットとなっており、相乗効果で成長が期待されることがわかりました。自動運転に関連して成長が期待される他の業界も見ていきましょう。
2-1.金融業界(キャッシュレス決済)
各種キャッシュレス決済サービスは現在でもタクシー業界などに進出していますが、自動運転のレベルが上がるにつれ、キャッシュレス決済事業も成長すると見られています。将来は自動運転車にキャッシュレス決済機能が組み込まれ、今よりもさらに簡単なキャッシュレス決済が実現するかもしれないのです。
車の運転から解放されたドライバーに向けたエンタメ関連の課金サービスも注目されており、この分野でもキャッシュレス決済は大いに活躍することでしょう。
2-2.ソフトウェア業界
いままでの自動車は工場で、ネジや部品の組み付けによって製造されていましたが、自動運転が普及すると製造の大部分はソフトウェアに置き換わります。車両が電動、電子化され、通信設備も含め使用されるソフトウェアの数は膨大な数にのぼり、自動運転市場の基幹産業となるでしょう。自動運転の普及とともに成長が期待される業界です。
2-3.小売業界
無人の店舗やセルフレジを設ける店舗が少しづつ増えていますが、自動運転のテクノロジーと無人店舗運営を組み合わせると、無人の移動販売が実現できます。店舗の無人運用と自動運転は親和性が高く、他にもさまざまな運用形態が誕生すると見られています。デリバリーサービスは無人運用によりさらにシェアを広げる可能性があります。
車両代の初期費用はかかりますが、人件費がかからず、ユーザーにとっても安くデリバリーサービスを利用できるので、新しい飲食店の形として成長が期待される分野です。
2-4.タクシーなど旅客業界
自動運転テクノロジーの進化とともに、タクシーなど旅客業界は大きく変化すると見られています。有人のタクシーは自動運転のタクシーに比べ割高になり、差別化を図ることができたサービスの良いタクシー会社のみ生き残ることになるでしょう。
バス業界にも同様のことが起こり、会社の統合や淘汰による業界の再編成が起きる可能性が高くなっています。
3.自動運転関連の銘柄へ投資するファンド
今後の成長が期待される自動運転業界ですが、国内では自動運転をテーマとした2つのファンドがあります。詳細を見ていきましょう。
3-1.三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンド
世界の取引所に上場している株式のうち、ドライバーに代わる自動運転システムの進化、普及により業績の拡大が期待される企業の株式へ投資します。
直接の運用はニューバーガー・バーマン・グループが行い、ファンドからファンドへ投資するファンドオブファンズ方式を採用。分配金は 年1回の決算時に分配金額を決定します。為替ヘッジありとなしのタイプが用意されています。
構成銘柄上位10
2021年7月に作成された三井住友DSアセットマネジメントのHPに掲載されている月間レポートより抜粋しています。
銘柄 | 比率(%) | 詳細 |
---|---|---|
ディア アメリカ/資本財 |
3.6 | 米国の農機メーカー大手。GPS(全地球測位システム)やAI(人工知能)、センサー等を活用した 自動運転機能を搭載したスマート農機の開発で先行。 |
トリンブル アメリカ/テクノロジー |
3.4 | 位置情報を取得する際に活用されるGPS(衛星測位システム)を提供する企業。自動車産業においては、車の位置や稼働状況をリアルタイムで把握するためにGPSが活用されており、同社製品も幅広い企業に納入実績を有している。 |
アンフェノール アメリカ/テクノロジー |
3.3 | 車載コネクターや車載アンテナ、センサー等、幅広いインターコネクト製品を扱う。自動車に電子部品を搭載する際に耐振動性、耐熱性、耐環境性を備えたコネクターは必須であり、自動車の電装化を支える黒子役の位置づけ。 |
マイクロン・テクノロジー アメリカ/半導体 |
3.3 | 米国の半導体企業。自動運転車の頭脳にあたるAI(人工知能)システムに用いられる半導体メモリのリーディング・プレイヤー。 |
モノリシック・パワー・システムズ アメリカ/半導体 |
3.2 | 電⼦機器の電圧を制御する電源IC(集積回路)を⼿掛ける米国の半導体メーカー。自動車に搭 載されるさまざまな電子部品向けに電源ICを提供。 |
オートデスク アメリカ/ソフトウェア |
3.2 | 製図・設計ソフトウェア大手の米国企業。現実世界の環境をデジタル空間に再現する「デジタルツイン」を応用した車両開発、生産ソリューションを提供。 |
アンシス アメリカ/ソフトウェア |
3.1 | ソフトウェア企業。様々な産業にシミュレーション解析ソフトを提供。自動⾞産業向けには自動運転シ ミュレーションなどのソリューションで強みを発揮。 |
ウーバー・テクノロジーズ アメリカ/運輸 |
3.1 | 米国のライドシェア大手企業。自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発に取り組む。無人運転化によりライドシェアの安全性、利便性の向上が期待される。 |
ASML オランダ/半導体 |
3.1 | 半導体に回路パターンを焼き付けるための露光装置を提供する。露光装置は半導体の微細化に不可欠であり、自動運転技術の高度化を裏方として支える存在。 |
キャタピラー アメリカ/資本財 |
3.0 | ⽶国の重機メーカー。建設現場や鉱山開発で使用される重機・トラックにおけるグローバルリーダー企業。危険地域や遠隔地などで活用が見込まれる自律稼働型の重機を提供。 |
分配金実績
2021年7月時点の情報です。
為替ヘッジあり
決算日 | 分配金 |
---|---|
2021/4/12 | 150円 |
2020/4/10 | 0円 |
2019/4/10 | 0円 |
2018/4/10 | 100円 |
為替ヘッジなし
決算日 | 分配金 |
---|---|
2021/4/12 | 150円 |
2020/4/10 | 0円 |
2019/4/10 | 0円 |
2018/4/10 | 100円 |
トータルリターンや基準価額など
2021年7月31日時点の数値です。
為替ヘッジあり
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 設定来 | |
---|---|---|---|---|
トータルリターン | 4.42% | 15.50% | 64.08% | 73.56% |
カテゴリ平均 | 1.99% | 10.99% | 33.09% | – |
為替ヘッジなし
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 設定来 | |
---|---|---|---|---|
トータルリターン | 4.79% | 22.60% | 69.46% | 80.93% |
カテゴリ平均 | 2.94% | 17.69% | 43.14% | – |
為替ヘッジあり
基準価額 | 17,048円 |
総資産額 | 47,959百万円 |
信託報酬 | 1.903%程度 |
為替ヘッジなし
基準価額 | 17,891円 |
総資産額 | 93,205百万円 |
信託報酬 | 1.903%程度 |
総資産推移
2021年7月6日時点の数値です。
為替ヘッジあり
期間 | 増減額(百万円) |
---|---|
1ヶ月 | 2,217 |
3ヶ月 | 5,333 |
6ヶ月 | 24,334 |
1年 | 27,078 |
設定来 | 47,012 |
為替ヘッジなし
期間 | 増減額(百万円) |
---|---|
1ヶ月 | 4,192 |
3ヶ月 | 7,616 |
6ヶ月 | 35,804 |
1年 | 35,609 |
設定来 | 90,175 |
3-2.三菱UFJ国際-eMAXIS Neo 自動運転
eMAXIS Neo 自動運転は、S&P Kensho Autonomous Vehicles Indexに連動する投資成果を目指して運用するインデックスファンドです。この指数はテクノロジー指数である「S&P Kenshoニューエコノミー指数」の一つで、自動運転関連の銘柄を選定します。
主に自動運転のソフトウェアやセンサー、部品などを供給している企業を選定しており、組入上位銘柄はアメリカや中国の企業が目立っています。分配金は 年1回の決算時に分配金額を決定します。原則として為替ヘッジは行いません。
構成銘柄上位10
2021年7月に作成された三菱UFJ国際投信のHPに掲載されている月次レポートより抜粋しています。
銘柄 | 比率(%) |
---|---|
XPENG 中国(ケイマン諸島)/自動車 |
5.8 |
ヴィオニア アメリカ/自動車 |
5.4 |
フォード アメリカ/自動車 |
5.0 |
アプティブ アイルランド/自動車 |
4.8 |
ニーオ 中国(ケイマン諸島)/自動車 |
4.7 |
リ・オート 中国(ケイマン諸島)/半導体 |
4.5 |
アレグロ・マイクロシステムズ アメリカ/反動体 |
4.4 |
アンバアレア アメリカ(ケイマン諸島)/半導体 |
4.3 |
テスラ アメリカ/自動車 |
4.1 |
ゼネラルモーターズ アメリカ/自動車 |
3.9 |
分配金実績
2021年7月時点の情報です。
決算日 | 分配金 |
---|---|
2020/8/17 | 0円 |
2019/8/19 | 0円 |
トータルリターンや基準価額など
2021年7月6日時点の数値です。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 設定来 | |
---|---|---|---|---|
トータルリターン | 8.32% | 23.77% | 167.29% | 245.85% |
カテゴリ平均 | 2.54% | 17.69% | 43.14% | – |
基準価額 | 34,105円 |
総資産額 | 25,401百万円 |
信託報酬 | 0.792%以内 |
総資産推移
2021年7月6日時点の数値です。
期間 | 増減額(百万円) |
---|---|
1ヶ月 | -496 |
3ヶ月 | -2,850 |
6ヶ月 | 15,290 |
1年 | 24,564 |
設定来 | 25,101 |
まとめ
自動運転関連のファンドは、自動運転のレベルが上がるにつれ注目を浴びてきています。今後は、ソフトウェアやセンサー関連企業だけにとどまらず、広い分野に影響を及ぼし、社会変革をもたらすこととなるでしょう。
自動運転をテーマとした投資信託へ投資することで、関連企業へ幅広く投資できるうえ、企業選定もプロの目で実施してもらえます。最新テクノロジーへの投資は投資信託を活用するのも有効な手段です。実際に投資を検討する際は、ファンドごとのパフォーマンスやリスクなどをよく把握した上で、他の投資対象と比較しながら進めてみてください。
sayran
最新記事 by sayran (全て見る)
- AI関連の投資信託、成績や信託報酬など徹底比較【2024年6月】 - 2024年6月22日
- 投資信託の純資産総額、目安は?銘柄選びのポイントも - 2024年6月22日
- インドに投資できる投資信託・ETFは?主なファンド5本を比較 - 2024年5月28日
- 投資信託を毎日積立できる証券会社は?毎日積立のメリット・デメリットも - 2024年4月17日
- 三井住友DSアセットマネジメントのインパクトレポートの内容は? - 2023年7月17日