投資信託にはどんな種類がある?投資対象と運用方法から特徴を比較

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投資信託を始めるにあたり、まず投資目的を明確にする必要があります。また、始める年齢も大切です。例えば投資目的を老後資金(65歳以降)とした場合、20代、30代の方と50代の方が始めるのではとれるリスクが全く違います。20代、30代の方は投資可能期間が30年以上ですが、50代の方の場合は15年以下となります。

20代、30代の方は株式中心の投資信託に投資することで将来的に大きな資産を築き上げることが期待できます。一方、50代以降の方の場合は元本割れのリスクを抑えた運用が一般的には適しています。

その前提条件として、運用対象や運用方法について知る必要があります。今回はこれらについて解説します。

目次

  1. 投資対象からみた投資信託の種類
    1-1.株式型
    1-2.公社債型
    1-3.バランス型
  2. 運用方法から見た投資信託の種類
    2-1.インデックス型
    2-2.アクティブ型
  3. まとめ

1.投資対象からみた投資信託の種類

投資信託は様々な金融商品で構成されていますが、株式や債券が投資の中心です。ここでは、株式型、公社債型、バランス型のそれぞれについて特徴を説明します。

1-1.株式型

株式型とは株式を中心に運用する投資信託です。株式が中心のため、大きな値上がり益が期待できる一方、購入価格を下回ってしまうこともあります。つまり、ハイリスク・ハイリターンの金融商品の一つと言えます。

株式にもいろいろな種類があります。例えば時価総額(株価×発行済株式数)により、大型株、中型株、小型株に分類されます。東京証券取引所では、東京証券取引所第一部銘柄の中から、時価総額と流動性が高い上位100銘柄を「大型株」、それに次ぐ上位400銘柄を「中型株」、それ以外の銘柄を「小型株」と定義しています。

流動性とは株式発行数や出来高を示しています。東証第一部上場銘柄数は2021年7月1日時点で2,192銘柄。この定義では、ほとんどの株式が小型株と定義されます。

大型株の株価は、発行済株数が多く取引参加者も多いため流動性が高く、株価の動きは緩やかになる傾向があります。成熟企業が多いため、企業倒産リスクは中小企業よりも低いと言えます。

中・小型株は、発行済株数が少なく流動性も低いため、株価が大きく変動しやすいと言えます。株価は大きく上昇することがあれば、大きく下落することもあります。つまり、大型銘柄を中心に投資する投資信託は、中・小型銘柄を中心に投資する投資信託と比べてリスクが低いものの、成長期待も低いと言えます。

このほか、業種により分類する方法もあります。東証株価指数の構成銘柄は工業、建設業など33の業種に振り分けられています。また、企業の成長度合いにより、バリュー株とグロース株に分類することもできます。

バリュー株の特徴としては、企業の成長度合いが緩やかなため、株価に割安感があり、配当利回りが高いという特徴があります。グロース株は、企業が成長過程にあり売上や利益が年々増加し、今後も成長期待が高い銘柄群です。成長期待が高いためPERが割高な水準にあるほか、利益の多くを設備投資に充てることから、配当金が支払われない傾向があります。

投資という観点からみると、安全面では下値不安が低いためバリュー株、上昇期待ではグロース株が組み入れられた投資信託が適しています。10年単位でみると、運用成績はグロース株指数がバリュー株指数を上回る傾向にあります。

そのほか、株式はいろいろなテーマ分類が可能です。最近ではESG(環境、社会、ガバナンス)が注目されており、「環境」「水・食料」「医療・健康」などをテーマとした投資信託が設定されています。

そのほか、海外の株式に投資する投資信託もあります。海外の株式は先進国と新興国に分けることができます。外国株は、株価リスクのほかに為替のリスクが発生します。新興国の株式は、株価の成長期待が高い反面、政治経済の不確定要素が多いため株価の下落リスクも高いといえます。また、為替リスクも高い傾向があります。

1-2.公社債型

公社債型とは、投資対象に株式を一切組み入れない投資信託です。投資対象は社債や国債など債券で運用されます。債券は元本割れがしにくいものの、大きな上昇が期待できません。それは債券価格には上限があるためです。一般的な債券にはクーポン(利息)が設定され、多くの場合、償還(満期)まで固定されています。

クーポン1%、期間5年の国内債(日本国内の債券)の場合、半年に一度、0.5%のクーポンが5年間支払われます。この債券に100万円投資した場合、半年に一度、5千円(税引き前)が5年間、合計10回支払われます。クーポンの合計は5万円になります。債券の満期は額面価格100万円です。

つまり、5万円と100万円の合計105万円(額面100では105)が最大価格です。償還が近づくにつれクーポンが支払われる頻度が少なくなるため社債価格は100に収れんされていきます。そのため、公社債投資信託では資産を大きく増やすことができません。公社債投資信託は元本を保持する力に長けた投資信託と言えます。

弱点としては、インフレに弱いことが挙げられます。インフレは物価の上昇のことで、現金の価値低下を示します。一斤1,000円で売られているパンが5年後に1,200円に上昇していた場合、価格上昇率は20%です。1万円で10斤買えたパンが、5年後には8斤しか買えないことになります。

日本の物価は現在大きく上昇はしていませんが、資源の多くを世界に依存しているため、円安が進めば輸入物価の上昇に伴うインフレが起きるリスクがあります。公社債型投資は元本割れリスクが低いものの、インフレに弱いため長期間の運用には適していないと言えます。

1-3.バランス型

バランス型投資信託とは、さまざまな金融商品にバランス良く分配され運用されている投資信託のことです。運用対象は国内、国外の株式や債券のほか、不動産投資法人(リート)、コモディティ(金や石油など)が対象です。

相関係数の低い(資産どうしの連動性の低い)資産に投資することで、リスクを分散して一定の運用成績を目指します。運用対象が多いほど運用成績は安定しやすくなります。一方、運用対象が多いほどコストが高くなるため、運用成績が下がるという傾向があることには注意が必要です。

日本の年金(約190兆円)を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本運用ポートフォリオは国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4資産で、構成割合は各25%です。

2.運用方法から見た投資信託の種類

運用方法には、インデックス運用とアクティブ運用の2種類があります。

2-1.インデックス運用

インデックス運用とは、日経平均株価指数のような指数と同様の動きを目指す運用方法のことです。日経平均株価指数は225銘柄で構成されているため、組み入れられている銘柄に満遍なく投資すると、日経平均株価指数とほぼ同様の動きとなります。

指数の計算方法は公表されているため、その指数の構成銘柄に投資をすることで、誰でも簡単に運用することができます。つまり、インデックス運用には企業調査などの必要がないため、そのぶん人的コストを抑えることができるのです。その結果、信託報酬率(運用手数料)がアクティブ運用に比べ低い傾向にあります。

2-2.アクティブ運用

アクティブ運用では、運用のプロであるファンドマネージャーや企業調査のプロであるアナリストが対象銘柄を精査し絞りこみ、高い運用成績を目指します。対象銘柄が上昇すればインデックスを大きく上回るリターンが期待できます。

運用にかかる経費が必要なため、信託報酬がインデックス運用より高くなります。そのため運用成績を調べ、手数料に見合った銘柄を選ぶ必要があります。一般的に「アクティブ運用はインデックス運用に勝てない」と言われていますが、実際はファンドマネージャーの腕次第です。手数料からファンドを選ぶのではなく、運用成績と手数料のバランスを検証するようにしましょう。

まとめ

投資信託を選ぶ際には、自身の年齢や人生設計も踏まえ、運用目標に適したファンドを選ぶ必要があります。投資信託は様々な種類に分類されており、それぞれ特徴が異なります。今回挙げたポイントを把握しておき、最適なファンド選びができるようにしてください。

初心者のための投資信託ガイド

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。