ブルーオーチャード、マイクロファイナンス市場見通し。2029年に3838億ドルに達すると予測

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は8月2日、シュローダー・グループでマイクロファイナンス投資の民間運用会社であるブルーオーチャードによる2024年7月の全体的な見通しの日本語版を公開した。世界的なマイクロファイナンス市場は成長中で、2024年は2321億ドル、2029年には3838億ドルに達する予測で、年率10.58%の成長が見込まれている。

2021年までに世界的に銀行口座を持つ人の割合は増加しているが、世界で約14億人の成人が銀行サービスにアクセスできず、特に女性や貧困層など、金融サービスが依然利用しにくい状況が続く。

ブルーオーチャードは、マイクロファイナンスの役割は、特にサービスが不足しているコミュニティにおいて、金融アクセス、平等、経済的進歩を促進することにあると提唱。今後は、マイクロファイナンス市場の拡大が予想されており、口座所有における男女格差の縮小がフィナンシャル・インクルージョンの強化に向けた大幅な進展を示唆していると考えている。特に、技術の進歩とデジタル化の進展はマイクロファイナンス市場に大きな影響を与え、エマージング市場におけるフィナンシャル・インクルージョンを加速させると見込む。

地域別見通しでは、南アジア・東南アジアは経済成長、民間消費の拡大、政府によるインフラ投資がマイクロファイナンス市場をけん引する。インドではマイクロファイナンスローンの大幅な増加を見込む。

ラテンアメリカは、民間セクターの信用供与の増加、技術の活用によるフィナンシャル・インクルージョンの促進、サプライチェーンの「ニアショアリング」による輸出増加などが期待される。

アフリカは人口増加によって経済成長、中小企業の重要性が増す中、フィンテック企業の出現が金融業界の成長をけん引すると予想。

コーカサス・中央アジアでは、ロシア・ウクライナ紛争の影響は限定的で、ジョージアやアルメニアなど、一部の国は高い経済成長を記録している。一方、中国の一帯一路構想が地域に新たな投資をもたらす可能性を指摘している。

各地域は独自の課題と機会を抱えているが、同社は全体としてマイクロファイナンス市場は明るい展望を示していると見る。特にエマージング市場において、金融包摂を促進し、経済発展に貢献すると予測する。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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