中小型株に投資するメリット・デメリットは?投資のプロ厳選ファンドも5つ紹介

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2024年、日本の株式市場では日経平均株価が過去最高値を更新し、大型株に注目が集まっています。しかし、実は中小型株にも魅力的な投資機会が潜んでいるのをご存知でしょうか。

本稿では投資のプロである筆者が、中小型株ファンドのメリット・デメリットや、中小型株ファンドを5つ厳選して解説します。

※2024年5月16日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 中小型株ファンドは高成長企業への投資チャンス
    1-1.高い成長ポテンシャル
    1-2.割安な株価
    1-3.高いリターンの可能性
    1-4.分散投資の効果
  2. 中小型株ファンドのメリット
    2-1.分散投資によるリスク軽減
    2-2.プロの目利きによる銘柄選定
    2-3.少額から投資可能
    2-4.アクティブファンドは買うべきではない?
  3. 投資のプロが厳選する中小型株ファンド5選
    3-1.日本次世代経営者ファンド(愛称:情熱列島)
    3-2.日本新興成長企業株ファンド(新進気鋭)
    3-3.新光日本小型株ファンド(風物語)
    3-4.ドイチェ・ジャパン・グロース・オープン(愛称:咸臨丸)
    3-5.SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト(年2回決算型)
  4. 投資信託におすすめのネット証券
    4-1.SBI証券
    4-2.楽天証券
  5. まとめ

1.中小型株ファンドは高成長企業への投資チャンス

中小型株は、大型株と比べると、以下のような魅力的な特徴を持っています。

1-1.高い成長ポテンシャル

中小型企業は革新的な技術やビジネスモデルを導入し、市場シェアを拡大する余地が大きいです。そのため、大企業に比べて機動力があり、急速に成長する可能性を秘めています。機動力とは、状況の変化に素早く適応し、効果的に行動する能力のことを指します。

大規模な資本を持つ大企業も確かに機動力を持っていますが、新市場への進出や新たなビジネスモデルの導入には、それなりの時間とコストがかかります。一方、中小企業はそのような固定化された枠組みにとらわれず、素早く市場の変動に対応することが可能です。そのため、大きな成長の機会を秘めています。ただし、その反面、リスクも大きくなることに注意が必要です。

1-2.割安な株価

中小型株はアナリストのカバー率が低いため、適正な評価を受けていない場合があります。「アナリストのカバー率が低い」とは、アナリストがその企業の分析を行っている割合が低いことを意味します。この傾向は中小型企業に多く見られます。その結果、一部の優良な中小企業が市場で十分な評価を得られていない状況になることがあるのです。

これは投資家にとって、その企業の株を割安な価格で購入できるチャンスをもたらすといえるでしょう。

1-3.高いリターンの可能性

中小型株は株価の変動が大きいため、投資リスクは高くなります。しかし、そのぶん、高いリターンを得られる可能性もあります。リスクとリターンは原則として比例します。

ただし、すべてのリスクを冒してまで高いリターンを追求するのではなく、自身のリスク許容度を踏まえたうえで、資金の配分や投資判断をすることが重要です。企業の財務健全性や成長性、市場環境の動向等を参考にするとよいでしょう。

1-4.分散投資の効果

中小型株は大型株と異なる値動きをすることが多いため、ポートフォリオに中小型株を組み入れることで分散投資の効果が期待できます。

2.中小型株ファンドのメリット

ただ、中小型株への投資は、企業分析や銘柄選定に手間がかかり、リスクも高くなります。そこで中小型株を対象にした投資信託の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

中小型株ファンドに投資するメリットは、主に以下の3点です。

2-1.分散投資によるリスク軽減

中小型株への直接投資は、個別銘柄のリスクが高くなる傾向があります。しかし、中小型株ファンドを利用すれば、運用者が複数の銘柄に分散投資を行うため、個別銘柄のリスクを軽減できます。つまり、ファンドを通じて投資することで、リスクを分散させつつ、中小型株の成長性を取り込むことが可能です。

2-2.プロの目利きによる銘柄選定

個人投資家が中小型株に直接投資する際、企業の成長性や財務の健全性を分析し、優良銘柄を見極めることは困難です。その点、中小型株ファンドを利用する場合は、プロのファンドマネージャーが分析と銘柄選定の責任を負ってくれます。

ファンドマネージャーは専門知識と豊富な経験を基に、投資家のために有望な銘柄を選び出します。これにより、個人投資家は、自ら難しい銘柄選定をすることなく、プロフェッショナルのサポートを受けることが可能です。

2-3.少額から投資可能

中小型株への直接投資においては、効果的な分散投資を実現するためには、かなりの額の資金が必要です。しかし、投資信託を活用することで、少ない資金からでも投資を開始できるようになります。

投資信託により、中小型株投資の門戸が広がり、より多くの人々が中小型株の持つ成長性を享受する機会を得られます。さらに、投資額を少額に抑えることで、投資に伴うリスクも限定的にすることが可能です。これは、中小型株への投資を考える際の大きなメリットと言えるでしょう。

2-4.アクティブファンドは買うべきではない?

新しい少額投資非課税制度(NISA)の導入により、非課税メリットを最大化するには、低コストが重要であることから、「コストの高いアクティブファンドよりもインデックスファンドを選ぶべき」という意見が多くなっています。

しかし、中小型株を対象としたファンドは、長期的に見るとTOPIX(東証株価指数)を上回るリターンを出しているファンドも少なくありません。ただし、中小型株に投資する際の注意点として、長期的には大型株に比べてパフォーマンスが良い傾向にあるものの、価格の変動幅が大きくなります。そのため、ポートフォリオの中で中小型株ファンドを保有する場合、全体の約10%~20%程度に抑えるようにしましょう。

3.投資のプロが厳選する中小型株ファンド5選

高い運用実績を誇る中小型株ファンドを5本紹介します。

※数値は全て2024年4月末時点。

3-1.日本次世代経営者ファンド(愛称:情熱列島)

  • 基準価額  14,721円
  • 信託報酬  1.089%(年率・税込)
  • 純資産残高 9.4億円
  • 1年騰落率  +44.8%

野村アセットマネジメンが提供する「日本次世代経営者ファンド(愛称:情熱列島)」は、次世代を担う日本の経営者たちに焦点を当て、中長期的な企業価値の向上が見込まれる企業への投資を行う成長志向型のファンドです。

組み入れ上位企業には、人工衛星の開発を進める企業や、独自技術を持つ半導体関連企業などが含まれており、日本の次世代を支える重要な役割を担っている企業が多くなります。

参照:野村アセットマネジメント「マンスリーレポート

3-2.日本新興成長企業株ファンド(新進気鋭)

  • 基準価額  12,028円
  • 信託報酬  1.815%(年率・税込)
  • 純資産残高 21.3億円
  • 1年騰落率   +26.5%

日本新興成長企業株ファンド(新進気鋭)は、野村アセットマネジメントが運用する投資信託で、主に上場10年未満の新興企業に投資します。中期的な売上成長が見込まれる銘柄を選び、企業の成長性や収益性を考慮しています。設定日は2018年11月16日で、比較的新しいファンドです。

参照:野村アセットマネジメント「マンスリーレポート

3-3.新光日本小型株ファンド(風物語)

  • 基準価額    22,088円
  • 信託報酬    1.76%(年率・税込)
  • 純資産残高 168.73億円
  • 1年騰落率   +9.3%

新光日本小型株ファンド(風物語)は、2013年8月2日に設定されたファンドです。新光小型株マザーファンドを介して日本の小型株に投資し、実質株式組入比率は80%以上、定量基準と経営姿勢を基に投資銘柄を選定し、4つの投資テーマを中心に成長期待の高い銘柄に積極的に投資することが主な特徴です。

参照:アセットマネジメントOne「マンスリーレポート

3-4.ドイチェ・ジャパン・グロース・オープン(愛称:咸臨丸)

  • 基準価額    23,099円
  • 信託報酬    1.98%(年率・税込)
  • 純資産残高 15.4億円
  • 1年騰落率   +30.04%

ドイチェ・ジャパン・グロース・オープン(愛称:咸臨丸)は、ドイチェ・アセット・マネジメントが運用する国内株式型の投資信託で、主に日本の証券取引所に上場する中型および小型株に投資します。特に、創業期を経たばかりの企業や、次なる成長段階への飛躍を目指す企業を投資対象としており、高い成長が期待される企業を発掘し、投資信託資産の成長を目指します。

参照:DWS「ドイチェ・ジャパン・グロース・オープン

3-5.SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト(年2回決算型)

  • 基準価額       22,287円
  • 信託報酬    1.639%
  • 純資産残高 63.25億円
  • 1年騰落率   +5.06%

SBI中小型成長株ファンド ジェイネクスト(年2回決算型)、愛称「jnextⅡ」として知られるこの投資信託は、国内中小型株式への投資を行い、特に「中小型成長株・マザーファンド」を通じて、革新的で将来的に高成長が見込まれる企業に対する選択的な投資を行っています。

同ファンドは「企業家精神を支援する」をコンセプトに掲げ、徹底したボトムアップの調査を基に、中長期的な成長が期待される企業を厳選しています。

参照:SBIアセットマネジメント「マンスリーレポート

4.投資信託におすすめのネット証券

投資信託を始めるなら、SBI証券と楽天証券が人気のネット証券会社です。両者ともに豊富な投資信託の品揃えと、投資初心者から上級者まで満足できるサービスを提供しています。

4-1.SBI証券

SBI証券は、約3,000本の豊富な投資信託ラインナップを誇ります。また、取引手数料が割安なため、コストを抑えて投資できます。

さらに、投資信託の自動積立サービスが充実しており、投資情報やツールも豊富に揃っています。NISA口座の開設・維持管理も無料です。

4-2.楽天証券

楽天証券の魅力は、楽天ポイントが投資信託の購入に利用できることです。ポイント還元率も高く、100円からの少額投資もできます。スマホアプリの使い勝手が良く、他の楽天サービスとの連携も便利です。

5.まとめ

中小型株への投資は、大型株とは異なる独自のアプローチが必要ですが、高い成長性を秘めた魅力的な投資対象と言えるでしょう。投資家は自身のリスク許容度や投資目的を慎重に見極めた上で、優良な中小型株ファンドを選ぶことが大切です。これにより、ポートフォリオの分散投資を図り、収益機会を拡大できます。

ただし、中小型株ファンドへの投資にはリスクが伴うことを忘れてはなりません。その一方で、リスクに見合った高いリターンを期待できる可能性もあります。したがって、長期的な視点を持ちながら、ポートフォリオ内での中小型株ファンドの割合を適切にコントロールしましょう。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011