株式投資のテクニカル分析とは?メリット・デメリットやチャートの見方も

株式投資においては、投資判断を行うための分析手法としてファンダメンタル分析とテクニカル分析があります。今回はテクニカル分析について、特徴や実際の分析方法などを解説しています。

目次

  1. テクニカル分析とは
  2. テクニカル分析のメリット
    2-1.比較的簡単に売買ポイントを算出できる
    2-2.買い水準や売り水準を視覚的に判断しやすい
    2-3.機関投資家と情報量が同じ
  3. テクニカル分析のデメリット
    3-1.臨機応変な対応ができない
    3-2.分析者によって結果が異なる
    3-3.分析方法が複数あるため混乱することも
    3-4.常に正しいとは限らない
    3-5.時には大損することも
    3-6.常に勝てるわけではない
  4. ローソク足チャートとは
  5. テクニカル分析の使い方
    5-1.複数のテクニカル分析手法を用いる
    5-2.負けは素直に認める
  6. まとめ

1.テクニカル分析とは

テクニカル分析は、株価の動きに注目し売買する方法で、主に短期売買に用いられます。テクニカル分析には、株式などの相場動向をグラフにしたチャートが使われます。チャートの形状や組み合わせで、相場のセンチメンタルや水準を判断し、将来の動きを予想します。

テクニカル分析は単に短期売買のための手法ではなく、長期投資においても株式を購入する際の水準や売りの目安として用いられることもあります。

テクニカル分析には、チャート(価格推移をグラフ化したもの)が用いられるため、チャート分析とも呼ばれています。チャート分析の歴史は古く、手法は様々です。日本では江戸時代の本間宗久爺が酒田罫線法という分析で莫大な富を築きあげたことが知られています。この手法は現在でも用いられています。

テクニカル分析は簡単にできるため、幅広い投資家から支持されています。

2.テクニカル分析のメリット

テクニカル分析には以下のようなメリットがあります。

2-1.比較的簡単に売買ポイントを算出できる

テクニカル分析は、経験の少ない方でも比較的簡単に売買のポイントを算出できます。テクニカル分析の手法は様々ですが、計算方法が決まっていることが多いため、その式に当てはめることで簡単に売買の水準を求めることができます。複雑な財務諸表を分析する必要もありません。

2-2.売買の水準を視覚的に判断しやすい

テクニカル分析には過去の価格推移をあらわすチャートが用いられます。過去の推移から現在の水準や、大きなトレンド(上昇トレンドか下落トレンド、横ばい)などを視覚的に判断しやすいと言えます。

2-3.機関投資家と情報量が同じ

テクニカル分析を用いる場合、株価等のデータは公開されているため、情報量は機関投資家と同じです。つまり、機関投資家と同じ土俵で戦うことができるのです。

3.テクニカル分析のデメリット

対して以下のようなデメリットも存在します。

3-1.臨機応変な対応ができない

テクニカル分析のデメリットは、過去のデータを基に将来を予想するため、企業が不祥事を起こし株価が急落した場合など、過去の動きと異なる変化が起きた場合には臨機応変な対応ができないことがあります。

3-2.分析者によって結果が異なることも

エリオットウェーブ(相場にはパターンがあり、一定のサイクルを描きながら繰り返すという理論)のようなチャート分析をする場合、分析者によって結果が異なることがあります。明確な公式があるわけではなく、人それぞれで分析方法が変わるためです。そのため、他者の分析を鵜呑みにすることは危険です。

3-3.分析方法が複数あるため混乱することも

チャートの分析方法は、トレンド系とオシレーター系(揺れ幅の分析)があります。トレンド系では、酒田五法、移動平均法、一目均衡表、ボリンジャーバンド、パラボリック、ポイント・アンド・フィギア、マーケットプロファイル、GANN理論など、オシレーター系(振れ幅の分析)ではRSI、ストキャスティクス、DMI、MACDなど様々な手法があります。

それぞれ、計算方法や手法が異なります。分析手法が複数あるため、その時々により適した分析が異なってしまうことがデメリットと言えます。

3-4.常に正しいとは限らない

テクニカル分析は常に正しいとは限りません。チャートには「だまし」という現象が頻繁におきることが知られています。このだましとは、チャート分析上では売買サインが出たものの、実際には元のレンジ水準に戻り、売買サインが取り消されてしまう現象です。

チャートポイントは分かりやすいため、機関投資家やヘッジファンドのような機敏な動きをする投資家がチャートポイントを逆手にとることもあります。

3-5.ファンダメンタルズを無視するため、時には大損することも

テクニカル分析は、価格を重点に置くため、PER(一株あたり純利益に対する株価の倍率)などのファンダメンタル情報が無視されます。そのため、株価が下落に転じるとPERの適正水準まで株価が下落するリスクが高く、その結果損失が膨らむ可能性があります。

3-6.常に勝てるわけではない

チャート分析をメインとする市場参加者は短期売買が中心です。短期売買はゼロサムゲーム(参加者の全員の損益の総額がゼロ)の色彩が濃い取引です。そのため、常に勝てるわけではありません。

4.ローソク足チャートとは

日本においてチャートはローソク足、米国ではバーチャートがよく使われます。今回は、ローソク足の付け方と簡単な相場の読み方を解説します。

ローソク足では、始値(寄付き)、高値、安値、終値が1本のローソクのように描かれます。以下では、銘柄Xの5月10日から5月14日の4本値(寄付き、高値、安値、終値)のデータをローソク足にしました。5月10日は始値が1,000円、高値が1,350円、安値が900円、終値が1,230円です。

銘柄X 始値 高値 安値 終値
5月10日 ¥1,000 ¥1,350 ¥900 ¥1,230
5月11日 ¥1,230 ¥1,500 ¥1,230 ¥1,230
5月12日 ¥1,230 ¥1,230 ¥1,000 ¥1,230
5月13日 ¥1,250 ¥1,400 ¥1,100 ¥1,250
5月14日 ¥1,100 ¥1,100 ¥850 ¥850

描きかたは簡単です。現在は、エクセル上やネット上でチャートソフトが使えますが、昔はチャートを書くために方眼紙を用いていました。今回は、手書きでチャートを書く方法をお伝えいたします。

まず、チャートを描くためには方眼紙が必要です。仮に1日当たり3ミリとしましょう。縦軸が株価、横軸が年月です。まず、始値1,000円と終値1,230円に横線を引き四角く囲みます。すると長方形(実体)が描けます。次に高値から実体に向かい線を描き、安値からも同様に線を描きます。すると、図のようなローソク足が描けます。

5月10日は始値より終値が高いため、色付けはしません(陽線と呼びます)。次に5月14日のローソク足を見てください。始値より終値が安い場合には、図のように黒く塗り潰します(陰線と呼びます)。

ローソク足の分析はローソク足の形と前後の組み合わせを見ることで、相場の動きを予想します。ローソク足や組み合わせには特有の呼び方があります。

5月11日は始値、安値、終値が同値で、この形を「トウバ」と呼び、相場の終了を意味すると言われています。5月12日は下髭(したひげ)の長いローソク足が確認できます。この形は「トンボ」と呼ばれ、相場の転換期に現れるとされています。14日のローソク足は「陰の丸坊主」と呼ばれ、相場の高水準でこの形が現れると相場の方向転換に繋がりやすいとされています。

ローソク足の一つ一つには投資家の行動が詰まっているため、ローソク足の形や前後のローソク足の組み合わせで参加者の心理を推測し、相場展開を予想できます。

5.テクニカル分析の使い方

テクニカル分析を実際に投資で使う際のポイントは以下の通りです。

5-1.複数のテクニカル分析手法を用いる

テクニカル分析には複数の手法があります。それぞれ算出方法が違うため、チャートにより売買のサイン(タイミング)が異なることがあります。そのため、手法別にチャートポイントや相場の転換点を一つの表にまとめ、相場の判断材料にすると良いでしょう。

5-2.負けは素直に認める

テクニカル分析は完全なものではありません。損失が出てしまった場合は素直に負けを認め、損失の拡大を防ぐようにしましょう。素早い損切りと、負けの原因を振り返ってPDCAを回すことが重要です。

まとめ

テクニカル分析には様々な手法がありますが、どの手法が正しいか・正しくないかはだれにも分かりません。そのため、各分析手法についてバックテスト(過去のデータを用いてシミュレーション)をし、データの周期などを変化させることで、銘柄ごとに勝率を引き上げることができます。取引を繰り返し、少しずつ精度を上げられるよう努めてみてください。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。