増配が続く企業の特徴と探し方は?日米の主な銘柄紹介も

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増配が続く企業の株式を「連続増配株」といいます。連続増配株は、企業が株主への利益還元を目的に、過去数年間にわたり増配を続けています。

配当は、企業が稼いだ利益を株主に分配する仕組みです。長期にわたって増配を続けている企業は、業績がよく、利益を蓄積していることを意味します。

また、配当金が増えると株主の資産が増え、株価がさらに上昇する傾向があります。連続増配株は投資家にとってメリットのある投資先といるでしょう。

本記事では、増配が続く企業の選び方と、日米の銘柄を紹介します。

※2023年7月14日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 増配が続く企業の選び方
    1-1.高い配当利回り
    1-2.配当性向が高い
  2. 日本の連続増配企業
    2-1.花王(4452)
    2-2.三菱HCキャピタル(8593)
    2-3.KDDI(9433)
  3. 米国の連続増配企業
    3-1.P&G(PG)
    3-2.コカ・コーラ(KO)
    3-3.ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
  4. まとめ

1.増配が続く企業の選び方

連続増配株を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

1-1.高い配当利回り

配当利回りは、投資家が投資額に対して受け取ることができる配当金の割合を示す指標で、計算式は以下の通りです。

  • 配当利回り=配当金÷株価

例えば、株価が1,000円、配当金が年10円の場合、配当利回りは1%(10円÷1,000円)です。配当利回りは、投資家が投資額に対してどれだけの利益を得られるかを判断する指標として使われます。配当利回りが高い銘柄は、配当金が多く支払われるため、投資家にとってメリットのある銘柄です。

1-2.配当性向が高い

配当性向は、企業の税引き後の利益である当期純利益のうち、どれだけ配当金に回しているかを示す指標で、計算式は以下の通りです。

  • 配当性向=1株当たり配当金/1株当たり当期純利益

例えば、1株当たりの配当額が10円、1株当たりの当期純利益が100円の場合、配当性向は10%(10円÷100円)です。配当性向が高い会社は、配当金を多く出す会社ということで、投資家にとってメリットがあります。

しかし、配当性向が高いからといって、必ずしも優良な企業であるとは限りません。投資判断の際には、企業の成長性や財務状況など、他の指標も考慮する必要があります。

  • 長期の配当実績
  • 安定した業績
  • 経営陣の信頼性

これらを考慮し、継続的に配当が増加する銘柄を選択することで、より高いリターンを得ることが可能となります。

2.日本の連続増配企業

日本の連続増配企業を紹介します。

2-1.花王(4452)

花王は、ステークホルダーへの利益還元を極めて重要だと考え、株主への安定的かつ継続的な配当を重視しています。2022年度は1株当たり148円の配当金を支払い、33期連続で増配を達成しています。

配当利回りは、3%程度と高水準です。ただ、金融機関や海外の機関投資家が花王の保有株式の約70%を占めており、すべての株主に対する公平性の観点から、花王の商品などを届ける株主優待制度は、現時点では設けていません。

2-2.三菱HCキャピタル(8593)

2024年3月期の1株当たり配当予想37円が予想通り実施された場合、三菱HCキャピタルは25期連続の増配となります。2023年3月期に達成した24期連続増配記録は、上場企業の中で第3位でした。

また、三菱HCキャピタルは連続増配期間の長さに加えて、配当額の伸びにも注目です。連続増配が始まる直前の1999年3月期から2024年3月期までの25年間で、三菱HCキャピタルの年間配当金は1株当たり0.8円から37円へと46倍にもなっているからです。配当利回りは4%を超えており、高配当です。

2-3.KDDI(9433)

KDDIは、2002年度以降、20期連続の増配を実施しています。21期連続の増配となる2022年度は、1株当たり年間配当金を前年度比8.0%増の135円とする予定です。さらに、2023年度は、前年度比3.7%増の1株当たり140円の配当を目指します。

連続増配期間の長さに加え、KDDIの配当額の伸びにも注目です。連続増配開始直前の2002年3月期から2024年3月期までの22年間で、KDDIの年間配当金は1株当たり約2.9円から140円へと46倍にもなっています。株価も2002年3月の575円から4,000円台まで上昇しており、長期投資を検討できる銘柄といえるでしょう。

3.米国の連続増配企業

米国の連続増配企業を紹介します。

3-1.P&G(PG)

世界最大の日用品メーカーです。売上の50%近くを北米で、20%を欧州で稼ぎ出しています。P&Gは180カ国で様々なブランドを展開しています。主な製品は、洗濯用洗剤(アリエール)、台所用洗剤(ジョイ)、ヘアケア(パンテーン)、化粧品(SK-II)、紙おむつ(パンパース)、ホームケア(ファブリーズ)などです。

2018年、ドイツの製薬会社メルクのヘルスケア部門を買収しました。66期連続増配だけでなく、積極的な自社株買いを実施しています。

3-2.コカ・コーラ(KO)

コカ・コーラ社は、ジョージア州アトランタに本社を置く、コカ・コーラをはじめとする清涼飲料水の製造・販売を行う企業です。ニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル「KO」で上場しています。ダウ平均株価を構成する30社のうちの1社でもあります。

コカ・コーラは2023年2月に四半期配当を1株当たり2セント増の46セントにすると発表。同社の増配は61年連続となり、配当利回りは3.1%になりました。

3-3.ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、米国ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置く、医薬品、医療機器、その他ヘルスケア製品の多国籍企業です。ニューヨーク証券取引所に上場しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは4月に四半期の配当を1株当たり1.13ドルから1.19ドルに5%引き上げると発表。ジョンソン・エンド・ジョンソンが四半期配当を引き上げるのは、61年連続となりました。

4.まとめ

連続増配企業とは、一定期間にわたって配当を増やし続けている企業です。連続増配企業は、安定した業績と財務状況を有していることが多く、配当金の安定性が高いという特徴があります。そのため、投資家にとってはメリットのある投資先の一つといえます。

連続増配企業を選ぶ際には、配当利回りや配当性向などの指標を参考にするとよいでしょう。ただ、連続増配企業でも成長性や財務状況なども考慮して、投資判断するようにしてください。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011