NISAで毎月いくら積立設定するべき?収入や年齢からポイントを解説

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NISAで毎月いくら積み立てるべきか、わからない人は多いのではないでしょうか。NISAの積立金額は目的ごとの目標金額を計算し、無理なく続けられる金額に調整することが大切です。

この記事では収入や年齢によるNISAの積立金額の目安と、積立金額を決める流れとポイントを解説します。自分の収入や年齢に合わせたNISAの最適な積立金額を知っておきたい方、長期的な資産形成に向けて具体的な対策をしていきたい方はご参考ください。

目次

  1. NISAは毎月いくらまで積み立てられる?
    1-1.NISAの概要
    1-2.成長投資枠を合わせると毎月30万円まで積立投資ができる
  2. 年収別NISAの積立金額の目安
    2-1.収入別の年間手取り収入からの貯蓄割合は?
    2-2.年収別のNISAの積立可能額は?
  3. 年齢別NISAの積立金額の目安
    3-1.年齢別の年間手取り収入からの貯蓄割合は?
    3-2.年齢別のNISAの積立額可能は?
  4. NISAの積立金額を決める流れとポイント
    4-1.生活防衛資金として生活費の6カ月分を確保する
    4-2.家計を見直して積み立てられる最大の金額を計算する
    4-3.目的ごとの目標金額を計算する
    4-4.無理なく積み立てられる金額に調整する
  5. まとめ

1.NISAは毎月いくらまで積み立てられる?

2024年からのNISAで毎月いくらまで積み立てられるかを確認しておきましょう。

1-1.NISAの概要

2024年からのNISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。つみたて投資枠と成長投資枠の特徴は、以下のとおりです。

※画像引用:金融庁「NISAを知る

1-2.成長投資枠を合わせると毎月30万円まで積立投資ができる

NISAではつみたて投資枠だけでなく、成長投資枠でも積立投資ができます。そのため、つみたて投資枠と成長投資枠で月額30万円までの積立設定が可能です。

ただし、上限まで投資枠を使い切る必要はありません。運用に回せる余裕資金に応じて、最大月額30万円まで積み立てができるということです。また、積み立ての最低金額は金融機関によって異なりますが、主なネット証券であれば、月額100円から投資することができます。

2.年収別NISAの積立金額の目安

NISAで毎月いくら積立設定をするかを、年収から考えていきましょう。金融広報中央委員会のデータから年間手取り収入からの貯蓄割合と、年収ごとの積立額の目安を紹介します。

2-1.収入別の年間手取り収入からの貯蓄割合は?

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」から、収入別(税引き後)の年間手取り収入からの平均貯蓄割合を紹介します(単身世帯・夫婦世帯別)。

単身世帯

世帯年収 平均貯蓄割合 貯蓄割合10%以上20%未満の世帯の割合 貯蓄割合30%以上の世帯の割合
300万円未満(収入なしを除く) 10% 14.4% 11.3%
300万円~500万円未満 17% 24.8% 29.5%
500万円~750万円未満 20% 22.4% 32.3%
750万円~1,000万円未満 27% 10.7% 53.5%
1,000万円~1,200万円未満 11% 0% 16.7%
1,200万円以上 22% 10% 40%

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)令和5年」より筆者作成

夫婦世帯

世帯年収 平均貯蓄割合 貯蓄割合10%以上20%未満の世帯の割合 貯蓄割合30%以上の世帯の割合
300万円未満(収入なしを除く) 8% 14.6% 8.7%
300万円~500万円未満 8% 22.9% 7.4%
500万円~750万円未満 11% 26.2% 11.7%
750万円~1,000万円未満 14% 25.1% 18.5%
1,000万円~1,200万円未満 18% 22.4% 22.9%
1,200万円以上 19% 23.7% 28.6%

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和5年」より筆者作成

単身世帯の場合、手取り年収の10%から27%を貯蓄に回し、年収が多いほど貯蓄の割合が高いとわかります。年収が300万円以上になると30%以上を貯蓄に回す割合も増えます。単身世帯の場合、年収300万円未満で手取りの20%、年収300万円以上では30%を貯蓄に回すとよいでしょう。

一方、夫婦世帯では手取り年収の8%から19%を貯蓄に回し、やはり年収が多いほど貯蓄の割合が高いとわかります。夫婦世帯は、単身世帯に比べて貯蓄に回せる割合は少なめです。収入別の貯蓄に回す割合の目安は、以下のように考えるとよいでしょう。

  • 年収300万円未満:手取り年収の10%
  • 年収300万円~500万円未満:手取り年収の15%
  • 年収500万円~750万円未満:手取り年収の20%
  • 年収750万円以上:手取り年収の30%

2-2.年収別のNISAの積立可能額は?

上記の内容を踏まえると、単身世帯と夫婦世帯のNISAの積立可能額は、以下のように考えられます。ただし、この金額は単純化して計算しているため、個別の状況に合わせた調整が必要です。

単身世帯

  • 年収200万円:月額3万円(年間36万円)
  • 年収300万円:月額7.5万円(年間90万円)
  • 年収500万円:月額12.5万円(年間150万円)
  • 年収800万円:月額20万円(年間240万円)
  • 年収1,000万円:月額25万円(年間300万円)

夫婦世帯

  • 年収200万円:月額1.7万円(年間20.4万円)
  • 年収300万円:月額3.75万円(年間45万円)
  • 年収500万円:月額8.4万円(年間100.8万円)
  • 年収800万円:月額20万円(年間240万円)
  • 年収1,000万円:月額25万円(年間300万円)

3.年齢別NISAの積立金額の目安

次にNISAで毎月いくら積立設定をするかを、年齢から考えていきましょう。金融広報中央委員会のデータから年齢別の年間手取り収入からの貯蓄割合と、年齢ごとの積立額の目安を紹介します。

3-1.年齢別の年間手取り収入からの貯蓄割合は?

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」から年齢別の年間手取り収入からの平均貯蓄割合を紹介します(単身世帯・夫婦世帯別)。

単身世帯

年齢 平均貯蓄割合 貯蓄割合10%以上20%未満の世帯の割合 貯蓄割合30%以上の世帯の割合
20代 18% 18.2% 25.9%
30代 17% 22% 29.5%
40代 14% 19.7% 19.7%
50代 14% 18.6% 19%

出典:金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)令和5年」より筆者作成

夫婦世帯

年齢 平均貯蓄割合 貯蓄割合10%以上20%未満の世帯の割合 貯蓄割合30%以上の世帯の割合
20代 14% 22.2% 19.5%
30代 14% 25.0% 17.0%
40代 12% 26.0% 12.8%
50代 12% 25.4% 13.8%

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和5年」より筆者作成

単身世帯の場合、手取り年収の14%から18%を貯蓄に回し、年齢が低いほど貯蓄の割合が高いとわかります。20代・30代では30%以上を貯蓄に回す割合も30%近くなります。単身世帯の場合、20代から30代で手取りの30%、40代から50代で手取りの20%を目安に貯蓄に回すとよいでしょう。

一方、夫婦世帯では手取り年収の12%から14%を貯蓄に回し、年齢による貯蓄割合の大きな違いはなさそうです。子育てや住宅ローンの返済で夫婦世帯は、単身世帯に比べて貯蓄に回せる割合は少なくなります。年齢別の貯蓄に回す割合の目安は、以下のように考えるとよいでしょう。

  • 20代:手取り年収の20%
  • 30代:手取り年収の20%
  • 40代:手取り年収の15%
  • 50代:手取り年収の20%

3-2.年齢別のNISAの積立可能額は?

年齢別のNISAの積立額を考えるにあたり、国税庁のデータをもとに年齢ごとの世帯の手取り年収を紹介します。ここでは、手取り年収は額面の80%とします(括弧内の金額が平均給与額です)。

  • 20歳~24歳:218万円(273万円)
  • 25歳~29歳:311万円(389万円)
  • 30歳~34歳:340万円(425万円)
  • 35歳~39歳:369万円(462万円)
  • 40歳~44歳:392万円(491万円)
  • 45歳~49歳:416万円(521万円)
  • 50歳~54歳:429万円(537万円)
  • 55歳~59歳:436万円(546万円)

出典:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」より

上記の平均年収を踏まえ、単身世帯と夫婦世帯のNISAの積立可能額を以下のように考えます。この金額も単純化して計算しているため、個別の状況に合わせた調整が必要です。なお、夫婦世帯は世帯主の年齢の手取り年収の2倍で計算します。

単身世帯

  • 20代:月額8万円(年間96万円)
  • 30代:月額8万円(年間96万円)
  • 40代:月額7万円(年間84万円)
  • 50代:月額10万円(年間120万円)

夫婦世帯

  • 20代:月額6万円(年間72万円)
  • 30代:月額11万円(年間132万円)
  • 40代:月額10万円(年間120万円)
  • 50代:月額14万円(年間168万円)

4.NISAの積立金額を決める流れとポイント

これまで紹介した収入や年齢ごとの積立額はあくまで目安であり、実際には個別の状況で決めていく必要があります。NISAの積立金額を決める流れとポイントを解説します。

4-1.生活防衛資金として生活費の6カ月分を確保する

NISAで積み立てを始める前に、まず生活防衛資金として生活費の6カ月分を確保しましょう。その理由は、以下のとおりです。

  1. 急な失業や収入減少に備える
  2. 予期せぬ出費(病気、事故、住宅の修繕など)に対応する
  3. 資産運用に集中できる環境を整える

たとえば、月々の生活費が20万円の場合、6カ月分の生活防衛資金は120万円となります。この資金は、普通預金や定期預金など安全性が高く、すぐに引き出せる金融商品で管理しましょう。

生活防衛資金を確保することで、万が一の事態にも対応できる安心感を得られます。また、資産運用に集中できる環境が整うため、長期的な視点でNISAの積み立てを続けられます。

4-2.家計を見直して積み立てられる最大の金額を計算する

NISAの積立金額を決める際は、家計を見直して積み立てられる最大の金額を計算します。無理のない範囲で積み立てを続けられる金額を把握するためです。

家計を見直す手順は以下のとおりです。

  1. 収入と支出を把握する
  2. 固定費と変動費に分類する
  3. 不要な支出をカットする
  4. 積み立て可能な金額を計算する

たとえば、手取り月収が30万円、支出が25万円の場合、積み立て可能な金額は5万円となります。ただし、この金額はあくまで最大値であり、生活スタイルや将来の目標に合わせて調整する必要があります。

家計を見直し、無理なく積み立てられる金額を設定することで、NISAの積み立てを長期的に続けられるようになります。また、定期的に家計を見直し、状況に応じて積立額の増額も可能です。

4-3.目的ごとの目標金額を計算する

NISAの積立金額を決める際は、目的ごとの目標金額の把握が大切です。NISAの積み立てには教育資金や老後資金の準備といった目的があり、目的別に目標を立てるべきなのです。

目的ごとの目標金額を計算する手順は以下のとおりです。

  1. 目的を明確にする(老後資金、教育資金など)
  2. 目的達成までの期間を設定する
  3. 必要な金額を算出する
  4. 月々の積立金額を計算する

たとえば、老後資金として2,000万円を60歳までに準備したい場合、以下のように月々の積立金額を計算できます(計算には金融庁「資産運用シミュレーション」を使用)。

  • 目的:老後資金
  • 目標金額:2,000万円
  • 積立期間:30年
  • 想定利回り(年率):3%
  • 毎月の積立金額:約3.4万円

NISAの積み立てにはリスクがあり、運用の成果は確定ではありません。また、将来の運用成果が投資元本を下回るおそれもあります。

NISAの積み立ては運用期間が長いほど税制上のメリットを大きく受けることができます。すぐに使う予定のある資金は、預貯金などを活用しましょう。

4-4.無理なく積み立てられる金額に調整する

NISAの積立金額は、最終的に無理なく続けられる金額に調整する必要があります。余裕資金以上の積み立てを長期で続けることはできないためです。

無理なく積み立てられる金額に調整する方法は、以下のとおりです。

  1. 目標金額と積立可能金額を比較する
  2. 目的ごとの優先順位をつける
  3. 目的ごとに積立可能金額を割り振る
  4. 定期的に見直しを行う

たとえば、NISAの積み立てに回せる余裕資金が月額10万円だとします。目標金額は老後資金準備に5万円、教育資金準備が7万円で、毎月2万円資金が足りません。

この場合、老後資金と教育資金の優先順位を決めます。仮に教育資金を優先する場合、老後資金に3万円、教育資金に7万円といった調整をします。家計に余裕ができたところで、老後資金の積立額を増額するとよいでしょう。

このように無理なく積み立てられる金額に調整すると、NISAの積み立てを続けやすくなります。資産形成は長期で考える必要があり、無理なペースで挫折するよりも自分に合ったペースで着実に進むことが大切です。

まとめ

2024年の税制改正では、子育て世帯の住宅取得を支援する内容が多くなっています。2020年頃から住宅価格が高騰し、子育て世帯の住宅取得が難しくなっているためと考えられます。

子どもの学費を準備しながら住宅ローンを無理なく支払っていくには、全体的な資金計画が非常に大切です。2024年の税制改正を上手に活用し、子育てに伴う経済的負担を軽減していきましょう。

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松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員2種 運営サイト : 経営体質改善のヒント