ウェルスナビとROBOPROの違いは?手数料や実績、メリット・デメリットを比較

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ロボアドバイザーはAIを活用した資産運用サービスで、中でもウェルスナビは知名度が高く、代表的なサービスです。一方、ROBOPROはウェルスナビより新しいロボアドバイザーながら、好パフォーマンスで注目されるようになりました。

今回は、両社の特徴や実績を比較します。自分に合うロボアドバイザー選びの参考にしてください。

※2024年4月時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ウェルスナビとROBOPROの概要
  2. ウェルスナビの特徴
    2-1.ウェルスナビのメリット
    2-2.ウェルスナビのデメリット
  3. ROBOPROの特徴
    3-1.ROBOPROのメリット
    3-2.ROBOPROのデメリット
  4. ウェルスナビとROBOPROの比較
    4-1.手数料の比較
    4-2.最低投資金額の比較
    4-3.運用の手法の比較
    4-4.運用実績の比較
  5. ウェルスナビとROBOPRO、どちらを選べばいい?
    5-1.ウェルスナビが向いている人
    5-2.ROBOPROが向いている人
  6. まとめ

1.「ウェルスナビ」と「ROBOPRO」の概要

ロボアドバイザーとは、投資家が資産運用する場合に商品選びから売買までを一任できる人工知能(AI)を活用したサービスです。最近では「ロボアド」とも呼ばれ、働く世代を中心に注目されています。

「ウェルスナビ」と「ROBOPRO」は、どちらもロボアドバイザーの投資サービスであり、投資や資産運用に詳しくない方や仕事で忙しくて時間が取れない方でも気軽に始めることができるとして人気の高いサービスです。

ウェルスナビ ROBOPRO
運営会社 ウェルスナビ株式会社 株式会社FOLIO
ロボアドの種類 投資一任型 投資一任型
最低投資金額 1万円 10万円
積立 1万円以上 1万円以上
運用手数料 年率1.1%(税込) 年率1.1%(税込)
投資対象 ETF ETF
運用プラン 5種類 1種類
リバランス 6カ月ごと 1カ月ごと
NISA 対応あり 対応なし

※出典:「ウェルスナビ」「ROBOPRO」より筆者作成

2.ウェルスナビの特徴

ウェルスナビ(Wealthnavi)ウェルスナビ(WealthNavi)は働く世代から支持されて拡大を続けているロボアドバイザーサービスです。ユーザーは投資の手間がなく、6つの簡単な質問に答えるだけで、ユーザーのリスク許容度に合った運用プランを提案してくれます。ユーザーが提案を参考にリスク許容度を決定すると、商品の買付やポートフォリオのリバランスまでを全自動で行います。

2-1.ウェルスナビのメリット

ウェルスナビには、以下のようなメリットがあります。

ユーザーに適したプランを提案してくれる

ウェルスナビは、ユーザーの年齢、収入、資産状況、リスク許容度などをもとに、最適なポートフォリオを提案してくれます。また、市場状況やユーザーの目標に応じて、定期的にポートフォリオのリバランスを行います。

すべてのポートフォリオでサービス開始以降の運用実績がプラス

ウェルスナビは、サービス開始から堅実な運用実績があります。

以下は、ウェルスナビのサービスが開始された時点(2016年1月19日)から2024年3月末までの運用実績です。(※参考:「データで見るウェルスナビの資産運用|ウェルスナビ」)

2016年1月からの2024年3月末までのウェルスナビの運用利回り・実績(円建て、積立なし)

リスク許容度 リターン(2024年3月末時点)
1 +72.1%
2 +100.8%
3 +123.8%
4 +146.9%
5 +155.2%

2016年1月からの2023年12月末までのウェルスナビの運用利回り・実績(ドル建て、積立なし)

リスク許容度 リターン(2024年3月末時点)
1 +33.9%
2 +56.3
3 +74.2%
4 +92.2%
5 +98.6%

NISAに対応している

ウェルスナビは「おまかせNISA」でNISAに対応しており、非課税投資が可能です。2024年からの新NISAでは非課税投資枠が大幅に引き上げられ、非課税期間も無期限になります。

1万円から投資が始められる

ウェルスナビは、2023年2月27日から最低投資額を10万円から1万円に引き下げています。ロボアドバイザーの利用を少額から始めてみたいという方にとっては大きなメリットです。

2-2.ウェルスナビのデメリット

短期間で利益を狙うのには向かない

ウェルスナビは長期的な資産形成を目指すサービスであるため、短期間で大きな利益を狙うのには向きません。また、市場が下落した場合には、一時的に損失が発生する可能性があります。短期的な値動きにとらわれず、コツコツ資産を積み上げるのに適しています。

リバランスは半年に1回

市場の変動によって、ポートフォリオの資産割合が投資開始時に設定した割合とかけ離れたものになっていくことがあります。その割合を最適な状態に戻すことをリバランスといいます。

ウェルスナビでは、設定したポートフォリオと大きな乖離が生まれない限り、原則として半年に一度リバランスが行われます。後述するROBOPROでは毎月1回のリバランスが行われているため、この点はデメリットと言えるでしょう。

3.ROBOPROの特徴

ROBOPROは株式会社FOLIOが提供する、ETF(上場投資信託)を対象資産としたAI技術を個人向けに初解禁し、FOLIOのポートフォリオ最適化技術を融合させ、本格的に資産運用にAIを活用した「進化版ロボアドバイザー」です。

最大の特徴は、40種類以上のマーケットデータをAIが分析して将来を予測し、積極的に利益を狙う運用が行われる点です。また、伝統的な金融工学理論をAI技術に融合させ、感情に左右されない、定量的な投資判断を行います。

3-1.ROBOPROのメリット

ROBOPROには、以下のようなメリットがあります。

自動リバランスが優れている

ROBOPROは、AIが市場予測をしながら原則月に1回ポートフォリオの資産配分を最適化します。これにより、常に効率的なポートフォリオの維持が可能です。実績面でも好パフォーマンスを継続しており、優れた運用アルゴリズムといえます。

下落局面に強い

ROBOPROは、下落局面においても運用資産の損失を最低限にすることを目指します。これは、AIが危機を察知して下落幅を抑えるリバランスを行い、状況を見極めながら積極運用に変更するためです。

例えば、2022年上半期の金融市場は、米国株をはじめとする株式の大幅な下落や記録的な円安、高インフレなどが向かい風となっていましたが、2022年1月1日〜6月30日におけるROBOPROのパフォーマンスは以下のグラフのように+0.95%と好成績を残しました。

※参考:株式会社FOLIO「ROBOPRO 2022年上半期レポート

3-2.ROBOPROのデメリット

ROBOPROのデメリットは、最低投資金額が高いこととNISAに対応していないことです。

最低投資金額が高い

ROBOPROは、最低投資金額が10万円と他のロボアドバイザーよりも高めに設定されています。ウェルスナビを始めとする投資一任型のロボアドバイザーの多くは、最低投資金額が1万円からです。

元手が多いほうがより多くの運用益を期待できますが、少額から始めたい人にはデメリットになるでしょう。

NISAに対応していない

ROBOPROは、NISA(少額投資非課税制度)に対応しておらず、運用益には通常の株式投資と同様に20.315%の税金がかかります。

なお、ROBOPROは2024年1月からスタートの新NISAにも対応していません。この理由として、投資配分のリバランスを積極的に行うROBOPROでは、新NISAの年間投資額が埋まってしまい、商品性を維持したまま新NISAに対応することが難しいと言及されています。(※参照:株式会社FOLIO「ROBOPROを提供するFOLIOにおける「新NISA」への対応」)

新NISA対応のロボアドバイザーもいくつかありますが、ROBOPROが他社と異なるのは毎月機動的に投資配分を変更し、下落幅を抑制しつつ積極的に資産拡大の機会を狙うような設計になっているという点です。NISA非対応としたのは、ROBOPROならではのメリットを活かしていくという方針であることが伺えます。

4.ウェルスナビとROBOPROの比較

ここでは、手数料や最低投資金額、運用の手法や運用実績などの観点から、ウェルスナビとROBOPROを比較してみましょう。

4-1.手数料の比較

ウェルスナビとROBOPROの手数料は以下のとおりです。

  • ウェルスナビ:年率1.1%(税込)
  • ROBOPRO:年率1.1%(税込)

ウェルスナビもROBOPROも3,000万円を超える部分は年率0.55%(税込)になります。

基本の手数料率は両者同じですが、ウェルスナビとROBOPROにはそれぞれ長期割と長期積立特典があり、それぞれ内容が異なります。

ウェルスナビの長期割

長期割とは、長期割の判定をする時点での総入金額から総出金額を引いた金額(長期割判定額)が50万円以上ある人が受けられる優遇です。続けた期間と運用金額に応じ、6カ月ごとに手数料の割引が拡大する仕組みです。

長期割の手数料の割引幅は、以下のとおりです。

  • 長期割判定額50万円以上200万円未満:0.01%(年率)
  • 長期割判定額200万円以上:0.02%(年率)

ROBOPROの長期積立特典

ROBOPROの長期積立特典は、積立投資を継続すると抽選で手数料をキャッシュバックしてもらえる特典です。継続回数が15回を超えると3か月ごとに自動で抽選を受けることができます。

積立継続回数とキャッシュバック率は以下の通りです。

  • 15、18、21、24回に到達した翌月の抽選:70%
  • 27、30、33、36回に到達した翌月の抽選:80%
  • 39、42、45、48回に到達した翌月の抽選:90%
  • 51回目以降3回継続するごとにその回に到達した翌月の抽選:100%

なお、最大キャッシュバック金額は10万円、当選確率は全て2%に設定されています。

4-2.最低投資金額の比較

ウェルスナビの最低投資金額は1万円で、ROBOPROの最低投資金額は10万円です。したがって、ウェルスナビはROBOPROよりも少ない金額から始められるというメリットがあります。

4-3.運用の手法の比較

ウェルスナビとROBOPROにはそれぞれ独自の運用手法があります。

ウェルスナビの運用手法

ウェルスナビは、ハリー・マーコウィッツ氏が提唱した現代ポートフォリオ理論に基づいて、リスクとリターンのバランスを最適化するポートフォリオを提案します。ユーザーのリスク許容度別に5つの最適ポートフォリオを用意し、選択できる仕組みです。

効率のよい分散投資のために以下のような7つの資産グループを投資対象とし、運用ではETFを用いています。

  • 米国株
  • 日欧株
  • 新興国株
  • 米国債券
  • 不動産

ROBOPROの運用手法

一方、ROBOPROは精緻なマーケット予測のために、金融市場や経済状況の先読みに役立つ40以上のマーケットデータをAIで分析します。それにより、景気動向に合わせた資産配分の変更、相場の危機を予測、金融市場の変化に対応します。

実際の運用では、以下の投資対象の8種類のETFを用いています。

  • 米国株
  • 先進国株
  • 新興国株
  • 米国債
  • 新興国債
  • ハイイールド債
  • 不動産

4-4.運用実績の比較

ウェルスナビは運用開始が2016年1月から、ROBOPROは2020年1月からです。各サービスにおける、2024年3月末時点の騰落率は以下のとおりです。

ウェルスナビ

リスク許容度 過去3カ月 過去6カ月 過去1年 サービス開始から
5 +13.2% +18.3% +33.6% +155.2%
4 +13.1% +18.1% +33.2% +146.9%
3 +11.7% +15.8% +30.1% +123.8%
2 +10.1% +13.0% +25.4% +100.8%
1 +8.4% +9.6% +19.6% +72.1%

※表は「データで見るウェルスナビの資産運用」を基に筆者作成

ROBOPRO

過去3カ月 過去6カ月 過去1年 サービス開始から
ROBOPRO +9.56% +13.00% +22.28% +75.84%

※表は「ROBOPRO 2024年3月実績」を基に筆者作成

過去半年の運用実績を比較すると、ROBOPROはウェルスナビのリスク許容度1~2と同水準のパフォーマンスであることが分かります。一方でROBOPROは、2020年のサービス開始からの実績は75.84%と高い水準に達しており、長期的に見るとウェルスナビのリスク許容度4~5の騰落率と近い値になっています。

これは、ROBOPROは市場に合わせて毎月ごとのリバランスを行っていることが要因と考えられます。

ROBOPROによると、2024年3月末時点では、新興国株式、米国債券、金の3資産のうち新興国株式の比率を大きく下げ、代わりに米国債券の比率を増やした、市場全体への警戒感を高めたポートフォリオへリバランスされています。上昇局面においても一定程度対応できるリスク資産を保有しつつ、リスクを抑えた運用方針となっています。

一方、ウェルスナビではリバランスのタイミングが半年に1回です。なお、選択したポートフォリオと最適ポートフォリオの配分比率を資産クラスごとに比較し、5%以上乖離している資産クラスがあった場合は、前倒しで行われます。(※評価額の合計が50万円未満の場合は、前倒しでのリバランスは行われない)

小まめなリバランスにより市場動向に合わせた運用が可能であるという点はROBOPROの強みと言えるでしょう。一方、ウェルスナビはリバランスの頻度は半年に1回となりますが、リスク許容度を自身で選択することができるという点がメリットです。

5.ウェルスナビとROBOPRO、どちらを選べばいい?

ここまでご紹介したように、ウェルスナビとROBOPROにはそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらを選んだらよいのか、ポイントごとに整理してみましょう。

5-1.ウェルスナビが向いている人

ウェルスナビとROBOPROを比較して、ウェルスナビのほうが向いているのは以下のような人です。

  • 中長期で着実に資産形成をしたい人
  • 自分のリスク許容度に合わせた資産運用をしたい人
  • ロボアドバイザーでNISAも利用したい人

5-2.ROBOPROが向いている人

一方、ROBOPROが適しているのは以下のような人です

  • AI投資で高い運用実績を追求したい人
  • 短期でもリターンを狙いたい人
  • 下落相場でもAI活用やリバランスによってリスク軽減をはかりたい人

まとめ

ウェルスナビはリスク許容度に合わせた運用が期待できる点、NISAに対応している点はメリットです。一方、ROBOPROはAIによる高度な投資分析を行い、小まめな資産のリバランスを行っている点や高い実績を出している点は大きな魅力といえます。

ウェルスナビとROBOPROにはそれぞれに魅力があり、どちらを選んでも資産形成に役立てる投資サービスです。ただし、元本を棄損してしまうリスクもあるため、まずは少額資金で投資を始めたりするなど、慎重に投資判断を行うことも大切なポイントです。

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松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員2種 運営サイト : 経営体質改善のヒント