世界各地で地政学的な緊張が高まり、株式市場に大きな影響を与えています。ロシア・ウクライナ情勢、米中貿易摩擦、中東情勢など、投資家心理を冷やす要因が山積みです。特に投資初心者にとって、株価の急落は不安を感じるものですが、下げ相場こそチャンスがあります。
歴史が示すように、地政学リスクによる株価下落は一時的なものがほとんどだからです。長期的な視点を持ち、冷静に情勢を分析することが重要です。地政学リスクに負けない強い投資家を目指しましょう。
※本記事は2024年6月5日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 2024年4月に中東の火種再燃 ~世界経済への影響は?
- 株価下落は投資のチャンス?ベテラン投資家の戦略に学ぶ
- 地政学リスクが高まる中、注目される「安全資産」としての金(ゴールド)
- 地政学リスクに負けない!ロボアドバイザーで賢く分散投資
- まとめ
1.2024年4月に中東の火種再燃 ~世界経済への影響は?
4月12日、イスラエルへのイランの報復攻撃の可能性から中東情勢が緊迫化し、米国株式市場は大幅下落しました。ダウ平均は475ポイント安の37,983ドル、S&P500は1.5%安の5,123ポイント、ナスダックは1.6%安の16,175ポイントで取引を終えました。
一方、地政学リスクを背景に原油価格は上昇しています。WTI原油先物5月限は0.8%上昇の1バレル=85.66ドルで引けました。イランがイスラエルへの報復攻撃を行うとの観測が強まったためです。
バイデン大統領はイランに対し攻撃をやめるよう訴えましたが、イラン革命防衛隊はイスラエルへの攻撃を実施したと発表しました。これを受け、米国やイスラエルは中東海域に駆逐艦を配備するなど、緊張が高まりました。
イラン側は本格的な戦闘を避けるため、攻撃規模を抑制したと見られていますが、イスラエルが報復措置を講じれば、中東全体を巻き込んだ紛争に発展する可能性があります。この事態は、世界経済にも大きな影響を及ぼしかねません。
そして、中東情勢の不安定化は原油価格の高騰を招き、世界的なインフレ圧力を高める恐れがあります。また、地政学的リスクの高まりは投資家心理を悪化させ、株式市場にも打撃を与えるでしょう。実際に、19日の東京市場では、日経平均株価が1,300円以上下落しました。中東情勢の緊迫化を嫌気した売りが、日本株にも及んだのです。
今回の事態が長期化すれば、世界経済の回復に水を差しかねません。国際社会は、外交努力を尽くし、中東の緊張緩和に向けて動く必要があります。同時に、各国政府や中央銀行は、経済への影響を最小限に抑えるための措置を講じることが求められるでしょう。中東情勢の行方が、世界経済の命運を左右する鍵を握っています。
2.株価下落は投資のチャンス?ベテラン投資家の戦略に学ぶ
株価が下落すると、多くの投資家は不安になり、投資を控えたくなるものです。しかし、経験豊富な投資家は、むしろ下げ相場を新たな投資のチャンスと捉えています。世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏は、「恐れるときに買い、貪欲になるときに売れ」という名言を残しています。これは、多くの投資家が不安になり株を売る時こそ、割安な価格で優良銘柄を買うチャンスだと考えているからです。
バフェット氏は、3月末時点で1,890億ドル(約29兆円)と、過去最高の手元資金を抱えています。過去には2008年のリーマンショックや2020年のコロナショック時の株安の際に積極投資しており、株安の場面を待っていると考えられます。
参照:ブルームバーグ「バークシャーの手元資金、過去最高を更新」
実際、歴史を振り返ると、株価は短期的には下落しますが、長期的には上昇傾向にありました。ベテラン投資家は、株価下落時に優良企業を割安な価格で買い集め、長期的な成長を待つという戦略をとります。この戦略は、「バリュー投資」と呼ばれ、多くの成功した投資家が実践しています。
もちろん、投資にはリスクがつきものです。しかし、短期的な感情に振り回されず、長期的な視点を持つことで、リスクを最小限に抑えながら、着実にリターンを得ることができるのです。株価下落は脅威ではなく、チャンスと捉える発想の転換が、成功への鍵を握っています。
3.地政学リスクが高まる中、注目される「安全資産」としての金(ゴールド)
世界情勢が不安定化する中、投資家たちは「安全資産」としての金(ゴールド)に熱い視線を送っています。金は戦争やインフレなどの有事の際に、その価値を維持する特性を持つことで知られており、まさに今、その真価が問われています。
米バンク・オブ・アメリカは、金の2025年の価格予測を平均2,150ドルから2,500ドルに引き上げ、さらに3,000ドルの可能性もあると指摘しています。この先高観の背景には、ロシア・ウクライナ紛争やイスラエル・ガザ地区での戦闘、米中対立などの地政学リスクが複合的に絡み合っているのです。各国の中央銀行も、これらのリスクに備えるため、金の買い増しを進めています。
参照:Hellenic Shipping News Worldwide「BofA expects gold prices to average $2,500/oz by fourth quarter」
加えて、今年の米国大統領選挙では、トランプ前大統領の再選の可能性もあります。そうなれば、波乱の相場が予想され、金の需要がさらに高まるかもしれません。インフレ圧力の強まりも、金価格の上昇要因として見逃せません。
では、どのように金に投資すればよいのでしょうか?金ETFや金積立が、投資初心者にとっては手軽な方法でしょう。金ETFは株式と同様に取引所で売買でき、少額から投資可能です。一方、金積立は毎月コツコツと積み立てていく方法で、時間分散投資のメリットがあります。
世界経済が不透明感を増す中、「安全資産」としての金の存在感はますます高まっていくでしょう。
4.地政学リスクに負けない!ロボアドバイザーで賢く分散投資
伝統的な金投資だけでなく、地政学リスクが高まる時期は、ロボアドバイザーへの投資もメリットがあります。昨今の世界情勢は、まさに混沌としています。ロシア・ウクライナ紛争、米中対立、中東の緊張など、地政学リスクが高まる中、株式市場は大きく揺れ動いています。こんな時こそ、ロボアドバイザーを活用した分散投資が大きな威力を発揮するでしょう。
ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)を駆使して資産運用を自動化するサービスです。投資家の年齢やリスク許容度に応じて、世界中の有望な投資先に資金を分散してくれます。つまり、特定の国や地域に投資が偏ることなく、地政学リスクの影響を最小限に抑えられるのです。
例えば、ウェルスナビ、ロボプロ、SUSTENなどの代表的なロボアドバイザーは、米国、欧州、アジア、新興国などに幅広く投資を行います。たとえ一つの地域が混乱に陥っても、他の地域でカバーできるよう、ポートフォリオが設計されているのです。
しかも、ロボアドバイザーは24時間365日、市場を監視し、ポートフォリオを最適化してくれます。私たち個人投資家が、仕事や生活に追われる中で、常に市場に目を光らせておくのは至難の業です。その点、ロボアドバイザーに任せておけば、自分の時間を有効に使いながら、着実に資産を築いていくことができるのです。
地政学リスクに振り回されない資産運用を目指すなら、ロボアドバイザーを味方につけるのが賢明です。AIの力を借りて、グローバルに分散投資を行う。それこそが、激動の時代を生き抜く投資家の戦略となるでしょう。
5.まとめ
世界情勢の不安定化に伴う株価下落に、投資初心者は不安を感じるかもしれません。しかし、ベテラン投資家は下げ相場をチャンスと捉えます。地政学リスクは投資の世界では常に付きものですが、長期的な視点と柔軟な戦略を持つことが、安定した資産形成の鍵となるのです。
短期的な感情に振り回されず、冷静に判断することが重要ですが、それが難しいと感じる方もいるでしょう。そんな時は、ロボアドバイザーの力を借りることも一つの選択肢です。最新のテクノロジーやAIを活用し、自分に合った投資戦略を見つけることができるかもしれません。
激動の時代だからこそ、賢い投資家の戦略に学びながら、地政学リスクに負けない堅実な資産運用を目指していきましょう。
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山下耕太郎
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