「遺贈寄付が空き家問題解決に寄与する可能性も」寄付検討者の約3割が自宅不動産の遺贈寄付を希望。日本承継寄付協会調査

一般社団法人日本承継寄付協会は12月20日、「遺贈寄付に関する実態調査」の結果を公表した。調査は今回で4回目、対象条件を50代~70代から初めて20代以降に広げている。10月31日〜11月6日にインターネットで実施、サンプル数は1000。

遺贈寄付の意向がある人に、「どの財産を寄付したいと思いますか」と訊ねたところ(複数回答)、26.9%が「不動産(自宅)」を希望。最多の「現金」77.4%の次点となった。

また、保有財産が5,000万円~1億円未満の人で不動産(自宅)を選んだ人は27.1%、1億円以上の人は31.3%となり、保有財産が多くなるにつれ、「自宅以外」を選んだ人も含め、不動産の遺贈寄付を希望する傾向が高いといえる。

結果について、同協会は「相続財産として不動産(自宅)の遺贈寄付ニーズが十分にある」と分析。さらに、不動産は換価がしづらいなどの課題が指摘される一方、「遺贈寄付が不動産の流通や空き家問題の解決に寄与する可能性がある」との見解を示す。空き家を高齢者や生活困窮者への住居として供給することで住宅問題の緩和に、公共施設や文化施設として活用されれば地域の発展やコミュニティの強化に寄与する」と、遺贈寄付によって空き家を有効活用できる可能性に注目する。

遺贈寄付の認知度は、50〜70代に限定すると65.3%であり、前年度対比で上昇傾向にある。20〜70代に広げた全体認知度は53.3%で、若年層にはやや認知度が低いことがうかがえた。同協会は「特に若年層は遺言書作成などに係る機会が限定的であることからも、まずは『寄付文化』を醸成することが重要」としている。

遺贈寄付を考えるにあたり不安な点や準備していない理由として、遺贈寄付の認知有無関わらず「寄付の使途が不明瞭」「遺贈寄付のやり方が分からない」が多数を占めた。同協会は、「遺贈寄付プロセスの簡略化や透明化は、今後の展開の肝になる可能性がある」として、普及に向けて活動を続ける方針。

調査結果は、同協会主催で2024年1月22日午後6時から実施するイベント「時代は『選べる相続』へ 多様化するニーズの中で、最新の相続の形とは?』でも報告予定。

同協会は、地域や社会の未来のために財産の一部を寄付することで社会貢献をしたい人を支援し、持続可能な経済社会の実現を促進するプラットフォームとして事業を推進している。遺贈寄付の実現を遠のかせている課題解決に向け、非営利法人、民間企業、行政、大学、士業などの専門家が連携できる機会の提供や情報発信を行っている。

【関連サイト】一般社団法人 日本承継寄付協会
【関連サイト】時代は「選べる相続」へ 多様化するニーズの中で、最新の相続の形とは?

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