遺贈寄付の普及のため活動する一般社団法人日本承継寄付協会(Will for Japan)は1月17日、埼玉県草加市と「遺贈寄付に関する連携協定」を締結した。草加市への遺贈寄付に関する情報発信や相談業務の連携を行う。同協会と自治体との連携協定締結は、埼玉県内では初めて。
少子高齢化は遺産相続にも影響している。相続人が不在、あるいは相続人も高齢化しており、社会全体でみると高齢者層だけで資産が循環し、若い世代に承継されない。同協会によると、80〜90歳代の高齢者の遺産相続は、ほとんどが60〜70代の高齢者世帯へと相続され、60代以上が保有する金融資産の割合は年々上昇し続けている。
これに対し、財産の一部または全部を亡くなった後に寄付することで社会貢献する「遺贈寄付」に社会的な関心が高まりつつある。
「日本国内における年間の相続額はおよそ50兆円。そのうち1%だけでも相続寄付を選択されるようになると、約5000億円ものお金が毎年次世代にまわる社会を実現することができる」と同協会は説明する。
同協会は、遺贈寄付の理解と普及を推進する取り組みとして、専門家報酬助成事業「フリーウィルズキャンペーン」、遺贈寄付の無料相談窓口、遺贈寄付の専門雑誌「えんギフト」の発行、専門家の育成、遺言書作成への助成金の提供などを行なっている。
自治体との連携では、各地の行政と手を組んで地域で遺贈寄付の情報発信、相談、その他相互に連携・協力を進めていく。
草加市では、5月に同市や市内の専門家と一緒に、地域活性化に向けた遺贈寄付普及の取組み「承継寄付サポーター草加市プログラム(仮)」を開催する予定。
協定締結にあたり、山川百合子草加市長は「遺贈寄付は、聞いたことはあっても、具体的な仕組みや内容を知る人はまだまだ少ない。一方で、単身高年者の増加が見込まれている中、終活支援の取り組みの必要性は高まっている。協定締結により、市が目指す『だれもが幸せなまち』の実現に向けて、ともに歩みを進めていきたい」と述べた。
同協会の三浦美樹代表理事も「遺贈寄付は老後の安心や社会参加のきっかけとなり、自分の意志を残す意義ある手段。こうした取り組みを草加市と共に作り上げ、広めていきたい」と意欲を見せる。
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HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム
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