公益財団法人日本非営利組織評価センター(JCNE)は、NPOの信頼性を第三者が審査・認証する新たな制度「グッドギビングマーク制度」の申込受付を6月2日に開始した。この制度は、寄付者が安心して寄付先を選定できる社会の実現を目指すものだ。
日本国内において寄付は広がりを見せているものの、寄付者からは「寄付先が信頼できるか分からない」「寄付が適切に使われているか不安」といった声が多く寄せられている。このような背景から、JCNEは寄付を受ける団体の信頼性を第三者が審査し認証する「グッドギビングマーク制度」を設計した。本制度では、NPOの情報開示や説明責任の実施状況、コンプライアンスやガバナンス体制の整備状況、寄付金の使途に関する透明性の確保などが審査基準となる。認証された団体は、ウェブサイトや印刷物などに「グッドギビングマーク」を掲載でき、寄付者はこのマークを通じて信頼できる寄付先を容易に見つけられるようになる。
JCNEの代表理事である佐藤大吾氏は、「阪神・淡路大震災、東日本大震災を契機に、多くの人がNPOを応援し、寄付が増加して寄付総額は1兆円を超えています。しかしながら、“信頼できるNPOがどれか分からない”という声は根強く残っています。日本に寄付文化を根づかせるには、寄付先のNPOに対する信頼が不可欠です。グッドギビングマーク制度は、第三者の立場から団体や役員の体制・透明性を審査し、“安心して選べる寄付先”を可視化するものです。信頼の確認ができるNPOを応援したい個人や企業の善意を、確かな団体に届ける仕組みとして広げていきたいと考えています」とコメントした。
今後の展望として、JCNEはグッドギビングマークを取得した認証団体を順次公開する。また、認証団体に関する法令違反や不祥事などについて、寄付者をはじめとする支援者が通報できる窓口を設ける。寄せられた情報は速やかに事実確認を行い、必要に応じて認証の取り消しを審査する体制を整える。さらに、寄付プラットフォームや企業、メディアとの連携を強化し、グッドギビングマーク制度の普及と活用を推進することで、寄付の透明性と信頼性の向上を図り、社会全体の寄付文化の健全な発展を目指す。
審査スケジュールについては、6月2日に申込受付を開始し、6月30日までに書類提出および審査料決済を完了した団体を対象として、第一弾の認証団体を9月上旬頃に公式サイトなどで発表する予定だ。本制度は、NPOの評価・認証に豊富な経験を持つJCNEが運営し、適切なガバナンスを実施している団体に対し、信頼性の証として「グッドギビングマーク」を付与する。
【関連サイト】一般社団法人非営利組織評価センター

HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム

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