不動産クラウドファンディングは少額から投資できる新しい不動産投資の形です。2020年には多くの不動産クラウドファンディングが登場しましたが、中でもブロックチェーン技術のSTOスキームを活用した「大家.com」は、新しいサービスとして投資家から注目されています。
そこでこの記事では、大家.comの特徴やメリット・デメリット、評判、始め方について詳しく紹介します。少額の不動産投資を検討している方、不動産クラウドファンディング選びで悩んでいる方は、参考にしてみてください。
目次
- 大家.comの特徴
1-1.1万円から不動産投資ができる不動産クラウドファンディング
1-2.運営元は不動産を専門的に扱っている企業
1-3.優先・劣後の仕組みを採用
1-4.物件の運用・管理が不要
1-5.オンライン上で取引が完結 - 大家.comのメリット
2-1.予定分配率は4.0%~6.0%
2-2.投資対象の情報が詳しく公開されている
2-3.保証会社と連携した保証付きプランがある
2-4.資金が少なくても不動産投資が可能
2-5.出資持ち分の譲渡が可能 - 大家.comのデメリット
3-1.元本保証はない
3-2.途中解約はできない
3-3.実績が少ない - 4.大家.comの評判・口コミ
- 大家.comの始め方
5-1.会員登録に必要なもの
5-2.会員登録→投資家登録→口座登録
5-3.案件申し込み - まとめ
1.大家.comの特徴
「大家.com」は株式会社グローベルスが運営する不動産クラウドファンディングのプラットフォームです。グローベルスは、東証2部上場企業の株式会社プロスペクトの子会社で、創業から20年以上不動産投資に関わってきた不動産の専門企業です。
以下、大家.comの特徴について詳しく解説します。
1-1.1万円から不動産投資ができる不動産クラウドファンディング
他の不動産ソーシャルレンディングでは最低出資金額を5~10万円に設定するサービスがある中、大家.comの最低出資金額は1万円からとなっており、不動産クラウドファンディングの中でも手軽に参加できるのが特徴です。
また、大家.comでは、個人だけでなく法人の投資家登録も可能になっているため、企業が余剰金を投資して事業のポートフォリオを作るといった目的でも利用されています。
1-2.運営元は不動産を専門的に扱っている企業
運営元である株式会社グローベルスや、その親会社である株式会社プロスペクトは不動産を専門的に扱っている企業で、様々な不動産取引に関わっています。
ソーシャルレンディングサービスでは、資金を必要としている事業者に対して出資を行いますが、不動産クラウドファンディングの投資対象は収益不動産そのものになります。そのため、収益不動産の運用次第で投資のパフォーマンスにも影響が出てきます。
運営元が不動産を専門的に扱っており不動産運営のノウハウを蓄積している点は、高く評価できるポイントと言えるでしょう。
1-3.優先・劣後の仕組みを採用
大家.comでは優先劣後構造を採用しています。この仕組みでは、不動産価格の下落があった場合でも、劣後出資分までの下落分はまず運営元が負担することになり、投資家の出資元本は守られます。
この仕組みにより、不動産価格の3割までは運営側で負担してくれるため、元本が毀損するリスクを抑えることができます。
また、このような仕組みを採用すると運営元の負担が大きくなるため、運営元では物件選びや収益化スキームを慎重に行っており、投資物件の質の向上も期待できます。
1-4.物件の運用・管理が不要
不動産クラウドファンディングの大きな特徴のひとつが、物件の運用や管理が不要な点です。現物の不動産投資では、基本的に投資家自身が大家となって、客付け、入居者管理、家賃の催促、物件の修繕などを行う必要があります。
一方、クラウドファンディングでは運営側がそのような運用・管理作業は請け負ってくれるため、投資家は投資をした後は収益の分配を待つだけで済みます。物件を実際に購入する不動産投資と比較して手間や負担が少ない点も特徴的です。
1-5.オンライン上で取引が完結
大家.comの契約手続きは、店舗ではなくオンライン上ですべて完結します。投資家登録や口座開設などの手続きが24時間365日行えるので、日中仕事で忙しい方でも手軽に取引できます。
2.大家.comのメリット
大家.comを利用することで、投資家にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットには次のようなものがあります。
2-1.予定分配率は4.0%~6.0%
大家.comの投資案件の収益率は、現在公開されているもので予定分配率は4.0~6.0%となっています。
一方、2021年1月時点で日本は低金利状態にあり、大手銀行やネット銀行では預金金利が0.1%以下となるケースが多く、現金のまま保有していることで高い金利収益を狙うことは難しくなっています。
生活に支障のない余剰資金がある場合、資金の投資先として不動産投資型クラウドファンディングを1つの選択肢として検討してみるのもよいでしょう。ただし、金融機関への預金と異なり元本保証があるわけではない点(元本割れがありうる点)には注意が必要です。
2-2.投資対象の情報が詳しく公開されている
大家.comでは、投資対象の不動産がどのような物件なのかに関する情報が詳しく公開されています。事前に投資先の不動産について理解した上で投資判断ができるのは投資家にとってはメリットです。
また、運営元のグローベルス社が賃貸稼働状況や建物管理状況について定期的に知らせてくれるので、調子がよければ継続案件にも期待できる上、不動産投資に興味があれば勉強にもなります。
2-3.保証会社と連携した保証付きプランがある
大家.comではさらに優先劣後制度を採用しているため、不動産価値の下落があってもその影響を小さくすることができます。また、保証会社と連携して保証付きプランを提供するなどの他サービスではあまり見られないリスク対策も提供しています。
2-4.少額の投資資金で不動産投資が可能
大家.comでは、1万円からの出資が可能になっているため、手元の資金にそれほど余裕のない場合でも不動産投資を始めることができます。
2-5.出資持ち分の譲渡が可能
大家.comでは、最新のブロックチェーン技術を用いて、第三者へ出資持ち分の譲渡ができる仕組みを導入しています。譲渡元と譲渡先の両者ともに大家.comへ登録していることや対象案件の成立前書面確認といった手続きが必要になりますが、これによって投資家の資金の流動性が増すメリットがあります。
3.大家.comのデメリット
大家.comは手軽に不動産投資ができる不動産クラウドファンディングサービスです。しかし、利用時にはリスクやデメリットもしっかりと確認しておくことも大切です。
3-1.元本保証はない
大家.comに限らず、不動産クラウドファンディングでは原則として元本保証はありません。そのため、投資した資金がそのまま確実に返ってくるとは限らない点に注意が必要です。
例えば、物件が何かの事故などで倒壊して価値を大きく毀損したり、運営元企業が破綻したりするようなことがあれば、元本の償還ができない可能性があります。
元本割れの可能性を考慮しつつ生活に支障のない余剰資金を利用するなど、慎重に投資を検討しましょう。
3-2.途中解約はできない
大家.comでは、一度案件に投資した場合、その出資期間中の解約はできません。出資持ち分の譲渡は可能ですが、引き受け先が必ず見つかるとは限りません。そのため、急に現金が必要になった場合などでも払い戻しを受けることはできないので、投資資金は余剰資金で行うことが大切です。
3-3.実績が少ない
大家.comの第1号案件は2020年12月14日に始まったばかりなので、実績は多くありません(2021年1月7日時点で募集はすでに終了)。第2号案件は2021年1月中に募集を開始する予定で、6%以上の利回りが想定されていますが、運用期間や募集期間は未定です。
新サービスについては、想定と実績の差異がどの程度になるかで信頼性が見えてくることがあります。事前に会員登録を済ませておき、募集開始される案件をチェックすることも検討してみましょう。
4.大家.comの評判・口コミ
大家.comの利用者からは以下のような評判や口コミがあります。
- 「2号ファンドの想定利回りは6%なので期待したい」
- 「保証付きプランがあるのはすごい」
- 「第1号案件の満額成立で次回からは激戦も予想される」
- 「実績が少ないのでまだ様子見」
- 「独自のシステムもあり、投資先の選択肢に入れておきたい」
※上記はすべて個人の感想です。最新の情報に関してはご自身でもよくお調べの上、ご利用をご判断ください。
大家.comは始まったばかりのサービスですが、期待を寄せるコメントやシステムを評価する声が多く見られます。特に第一号案件は日本保証と連携して買取保証が付いたことが個人投資家たちの間で話題となり、今後の案件にもこうした保証が付くのかも注目されています。
クラウドファンディングの運営についてはこれからという意見もあるものの、全体としては投資家に有益な新しい仕組みを持ったサービスとして好感を持たれています。
5.大家.comの始め方
以下、大家.comを始めるための手順についてご紹介します。
5-1.会員登録に必要なもの
大家.comを始めるにあたり、事前に準備しておくべきものは次のとおりです。
- メールアドレス
- 本人確認書類
- 銀行口座確認書類
会員登録や口座登録の際に必要となるので、あらかじめ準備しておきます。このとき、本人確認書類やマイナンバー確認書類は期限切れになっていないことを確認しておきましょう。
5-2.会員登録→投資家登録→口座登録
会員登録は「大家.comの会員登録ページ」から行います。新規口座開設用のページからメールアドレスを入力すると会員登録を行えます。会員登録後、個人情報を入力して投資家登録を行います。個人情報を入力した後、本人確認書類のアップロードが求められます。
なお、投資家登録では以下の条件を満たす必要があります。
- 日本在住で在留資格を有している(永住権もしくは特別永住権を持っている)
- 満20歳以上である
- 審査に通っている
審査に通過すると募集している物件を選べるようになります。後日、マイナンバーについても確認が必要になるので情報を登録しておきましょう(税処理のためのもので、投資を行う段階では必須ではありません)。
5-3.案件申し込み
投資家登録完了後は、マイページから収益物件についての情報を確認し、投資したい物件を選んで申し込みます。出資金の入金は、物件ごとに開設された専用口座への銀行振込になるので、事前に入金を行っておく必要はありません。
まとめ
大家.comは2020年12月に始まったばかりの不動産クラウドファンディングサービスです。優先劣後制度や保証付き案件、ブロックチェーンによる出資持ち分の譲渡など、投資家の利便性を追求したSTOスキームが注目されています。
実績はこれから積み重ねていくことになりますが、リスクを抑えつつ、預金の利息を上回る収益を期待することができます。なお、案件選びの際は、デメリットや注意点についてもしっかりと確認することが大切です。

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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