上場企業など大手も参入し始めた不動産投資クラウドファンディング。ソーシャルレンディングとは異なり、キャピタルゲイン(売却益)を狙える点や投資案件情報の透明性の高さ、優先出資を始めとした投資家保護などの仕組みの充実などにより、投資家からも支持を獲得しています。
最近では、ESG不動産投資や地方創生、社会的インパクト投資などができるサービスや余ったポイントを不動産投資に回せるサービスなども登場しており、投資の幅も広がってきています。
この記事では、注目の不動産投資クラウドファンディングのサービスをピックアップしてご紹介したいと思います。
不動産投資ができるクラウドファンディング
予定分配率2%~20%!プロが厳選した物件に1万円から投資でき、途中解約も可能「COZUCHI」
COZUCHIは、LAETOLI株式会社が運営している不動産投資型クラウドファンディングです。LAETOLI社は1999年創業の不動産会社で、リノベーションや不動産買取事業なども行っているため、投資用不動産のノウハウを豊富に有しています。
COZUCHIでは1口1万円からの出資が可能で、運用期間も最短3ヶ月~1年程度と比較的短期なので、リスクを抑えて運用を始めることができます。案件は都心や首都圏のマンションなどが中心で、物件画像、所在地や物件情報に加え、空室率や物件情報、最寄駅などの周辺状況も開示されています。
また、COZUCHIには、途中解約が可能という特徴もあります。他の不動産クラウドファンディングの中には途中解約ができないサービスもありますが、COZUCHIでは事務手数料はかかるものの、申請すれば途中解約が可能で、出資した資金は翌月に換金することができます。
1口1万円から、多様な不動産に分散投資できる、1号案件の予定分配率6.0%「ちょこっと不動産」
ちょこっと不動産は、2021年3月にオープンした不動産クラウドファンディングサービスで株式会社良栄が運営しています。良栄は、用地取得から市場分析、企画、設計、施工、アフターサービスに至るまで自社一貫体制を築いており、不動産開発や不動産賃貸の分野で多くの実績がある会社です。
ちょこっと不動産では、1口1万円から不動産投資を開始でき、対象不動産はレジデンス(戸建て、アパート、マンション)、オフィスビル、テナントビル、店舗など多様な商品が予定されており、運用期間も短期~中長期とラインナップに幅を持たせることが予定されています。
2021年4月リリース予定の1号ファンドは、対象不動産は都内区分マンション、期間は6~12カ月、予定分配率6.0%程度が予定されています。
上場企業が運営、予定分配率5%程度、名古屋など東海エリアでESG不動産投資ができる「信長ファンディング」
信長ファンディングは、名古屋に本社を置く株式会社ウッドフレンズが提供する不動産投資型クラウドファンディングサービスです。運営元の株式会社ウッドフレンズは、東京証券取引所(東証)スタンダード市場と名古屋証券取引所(名証)に上場しており、不動産開発や販売だけでなく生活環境に関連する事業なども行っている企業です。建売住宅の販売などで実績豊富な企業で、地元の名古屋を中心とした東海エリアをはじめ、東京でも不動産を取り扱っています。
信長ファンディングは、国産木材を積極的に活用した賃貸アパートや中古不動産再生物件を商品化することで、株式会社ウッドフレンズがこれまで培ってきた不動産事業や建設事業、建材事業などのノウハウを活かした不動産型クラウドファンディングサービスとなっています。最低投資金額は10万円と他サービスと比べてやや高めですが、名古屋など東海エリアに投資ができる点や予定分配率の水準が5%程度と高めな点、上場企業が運営しているといったメリットがあります。
また、信長ファンディングは地域経済の活性化や国産材の積極活用などを特徴として掲げており、不動産でESG投資ができるクラウドファンディングでもあります。ESG投資に関心がある方や、地方創生・地域活性化・環境問題などに関心のある方にとっても大きなメリットになるでしょう。
上場企業が運営、想定利回り6.7%程度、不動産AI活用した物件査定、運用途中でも手数料を払えば解約可能「TSON FUNDING」
TSON FUNDING(ティーソンファンディング)は、愛知県名古屋市に本社を構える株式会社TSONが運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスです。株式会社TSONは2008年創業の不動産事業や関連事業を営む企業で、TOKYO PRO Marketに上場しています。
TSON FUNDINGでは、ファンドの想定利回りが6.7%に設定されており、他の不動産投資型クラウドファンディングの水準(3%~5%程度)と比べて比較的高めに設定されています。TSON FUNDINGではキャピタルゲイン型とインカムゲイン重視型の2種類のファンドがあり、投資家のポートフォリオに合わせた投資方法を選択できます。インカムゲイン重視型のファンド「SMART FUNDシリーズ」では、入居開始より全期間家賃固定型の空室保証制度を設定しています。
また、TSON FUNDINGの投資物件はWEB上から集めた約300万件以上の分譲住宅販売データをもとに、市場の平均的な販売価格や販売期間を査定する独自の不動産AIの技術を活用して厳選しています。
最低投資額は5万円(1口1万円・最低5口から)とやや高めですが、ファンドの運用途中でも手数料(投資金額の3%+消費税)を支払うことで解約することができる特徴があります。
平均想定年利8.0%、新興国の物件や国内障がい者向けグループホーム等に投資可能「TECROWD」
TECROWD(テクラウド)は、日本の建設会社のTECRA株式会社が運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスで、国内・海外の不動産に1口10万円から投資できます。想定利回りは8.0%と比較的高めの水準となっています。
投資対象はモンゴル・カザフスタンのオフィスビル・レジデンスや、日本の障がい者向けグループホームやレジデンスなどとなっています。また、海外物件については自社建設・監修を行う不動産をメインに紹介しているのが特徴で、日本の建築技術が生かされた不動産に投資できます。
優先劣後構造による投資家を保護する体制や、投資家から集めた資金について透明性を保って管理するための分別管理体制などが整っているのも特徴です。また、海外資産への投資に伴う為替変動リスクに対応するために、現地金融機関と提携して日本円での投資・償還を実施しています。海外不動産への投資ということで生じる為替リスクに対しては、TECROWDではあらかじめ一括借上げを円建てで契約することで、為替変動リスクを軽減しています。
上場企業が運営、保育所・教育施設・ヘルスケア・地方創生などESG不動産投資ができる「CREAL」
CREAL(クリアル)は、クリアル株式会社が運営している不動産投資型クラウドファンディングサービスです。1口1万円から小口不動産投資を始めることができ、運用資産評価額の下落が一定割合までであればクリアルが損失を負担する仕組みになっており、少額・短期で始めてみたい初心者の方にもおすすめのサービスです。
投資対象は大型のホテルや保育園といったESG投資案件、マンション1棟投資案件や区分マンションなどの小規模の案件など、多種多様なものが揃っています。投資対象になる不動産の住所、事業内容などに加えて、それぞれの案件の動画も公開されているなど、積極的に情報公開をしている点が特徴です。
地方都市の区分マンションやゲストシェアハウスに投資できる「ジョイントアルファ」
Jointo α(ジョイントアルファ)は、大手不動産会社で東証プライム上場の『あなぶき興産』が運営している不動産投資型クラウドファンディングです。ジョイントアルファの投資案件は、地方都市の区分マンションやゲストシェアハウスなどが中心となっており、サイト上でも「不動産投資×地域創生への挑戦」を特徴の一つに掲げています。
ジョイントアルファの年利回りは3.6~5%と不動産投資型クラウドファンディングの中では平均的な水準となっています。また、1口は10万円からとなっており、こちらは他サービス(1万円から始められる等)と比べるとややハードルは高くなっていますが、実物の不動産投資(数千万円~数億円)に比べれば非常に始めやすくなっています。
運用期間は6ヶ月~1年と短期案件が中心のため、「不動産投資に興味はあるけど、少額から始めてみたい」「まずは短期間で様子を見てみたい」「不動産投資で分散投資がしたい」という方でも、気軽に始めることが可能です。また、優先出資・劣後出資の仕組みを採用しており、2020年6月現在で公開中のファンドについては劣後出資の割合が30%となっており、他社サービス(10%~20%)と比べても高い水準となっています。
なお、第2号のリノベーションゲストハウス案件では、出資者特典として「Alphabed Inn 高松駅前」の宿泊料が20%キャッシュバックされる(※ただし、出資者様本人名義での宿泊予約、ならびに運用期間内での宿泊に限る)という実績があり、今後もゲストハウス案件では出資特典が付く可能性があります。
東証プライム上場企業が運営!永久不滅ポイントで不動産投資ができる「リンプル(Rimple)」
リンプル(Rimple)は、東証プライム上場グループのマンション投資会社「プロパティエージェント」が運営している不動産投資型クラウドファンディングです。リンプルの投資案件は、プロパティエージェントが企画・開発したマンションが中心となっており、1口1万円からの少額投資が可能となっています。リンプルの年率の利回りは5%前後、運用期間は6ヶ月前後となっています。
また、リンプルでは、他社のポイントを、リンプルで使用できる「リアルエステートコイン」に交換し、投資をすることができます。永久不滅ポイントなどから交換することができ(※永久不滅ポイント:1000ポイント×4.5=4500リアルエステートコイン)、「1コイン=1円」の価値で不動産に投資することができます。今後も、ポイントサービスは順次追加されていく予定です。
リンプルは「優先劣後方式」の仕組みを採用しており、万が一運用による損失が発生した場合でも30%までは投資家の元本が守られる、という仕組みとなっています。この劣後出資の割合は、他社の不動産投資クラウドファンディングサービス(10%~20%)と比べても高い水準です。
融資型・投資型の案件に1万円から投資できる「オーナーズブック」
オーナーズブックは不動産案件に特化したクラウドファンディングサービスで、1万円・数ヶ月から投資が可能です。また、融資型(ソーシャルレンディング)の案件では、ほとんどの投資案件に返済金額をカバーできる可能性が高い不動産を担保に設定することで、返済リスクを軽減しています。
手数料については、投資口座の開設・投資口座の管理・ファンド購入時の手数料が無料であることに加えて、払い戻しの手数料が一律330円(税込)となっているため、ネット銀行など振込手数料無料のサービスがある金融機関を利用していれば、口座開設から投資完了まで300円の手数料負担だけでサービスを利用することが可能です。
まとめ
不動産投資クラウドファンディングは情報の透明性が高く、優先劣後方式などの仕組みを導入しているサービスも多くありますが、元本割れのリスクもあります。運営企業や各投資案件をしっかりと精査しながら投資を進めていきましょう。
ソーシャルレンディング会社の比較・まとめ
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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