日本のソーシャルレンディング投資では、不動産事業へのファイナンスが大きな割合を占めます。そのため、ソーシャルレンディングを検討するにあたり、不動産に対するファイナンスがどのように行われているかを知ることが大切となります。
この記事では、不動産開発における資金調達のイメージや、融資の仕組み、ソーシャルレンディングの融資がどのように行われているかなどをご紹介したいと思います。
- 不動産開発の資金調達とトランチング(優先劣後構造)
- トランチングとトランシェ
- 融資で重要なのは貸し先の格付け
不動産開発の資金調達とトランチング(優先劣後構造)
ビル建設やマンション一棟の建設などには多額の費用がかかります。個人であれば住宅ローンやアパートローンなどを活用して、一つの金融機関から満額の融資を受けるといったことも可能ですが、事業者が不動産開発をビジネスとして手がける場合には、銀行をはじめとした金融機関やノンバンクなど複数の金融機関などから資金調達を行う必要があります。
そして、資金を集めた不動産の開発プロジェクトが、もし計画通りに利益が出せずに融資や投資の元本を毀損してしまったとすると、誰から優先的に返済するかを決める必要が出てきます。このように、返済に順序を設けることを「トランチング(優先劣後構造)」と呼びます。
トランチング(優先劣後構造)とトランシェ
優先的に返済をする先と、返済を後回しにする先では、融資の条件も異なってきます。具体的には、返済優先度が高い融資は「シニアローン」と呼ばれ金利が低くなり、普通株式など返済優先度が低い資金は「エクイティ」と呼ばれ資金提供者のリターンも大きくなります。シニアローンとエクイティの中間に位置するローンが「メザニンローン(メザニンの日本語訳は、中二階)」と呼ばれています。このように、リスクのレベルと返済の優先度や金利などの条件によって区分された対象(シニア、メザニン、エクイティ)を「トランシェ」と言います。
この3つのトランシェの中で、主に銀行などが実行する融資がリスクの低いシニアローンとなります。エクイティの部分は最もリスクの大きい投資となるため、事業者が株式の形で資金を提供することが一般的です。ソーシャルレンディングでの融資が行われるのは、メザニンローンに当たる部分で、返済優先順位をある程度高くしておきながらリスクも取ることで、利回りを狙っていくことを目的としています。
融資で重要なのは貸し先の格付け
メザニンローンの融資は、元本を大きく毀損した場合(エクイティをはみ出たマイナス)にはマイナスが出ることになりますので、貸して大丈夫な先かどうかを見極めることが大切です。
金融機関は、PL(損益分岐表)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー計算書)などの財務3表や企業規模、返済実績などから貸し先を格付けし、その格付けに基づいて金利や返済条件を変えています。この格付けこそが金融機関ごとの競争力の源泉といってもいいほど、重要な融資上のノウハウとなります。
ソーシャルレンディングはファイナンスに強い会社で
ソーシャルレンディングをサービスとして手がける場合、貸し先を見極める目利きが大切です。ソーシャルレンディングを新しく始めてみたいという場合には、たとえば、代表がゴールドマン・サックスグループで勤務経験があり、ボードメンバーにも金融業界の出身者が多いOwnersBookや、代表がSMBC証券出身のクラウドクレジット など、金融系の分野に強いソーシャルレンディング会社を中心に検討してみると良いでしょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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