金融分野にIT技術を活用したフィンテック関連のサービスは、ここ10年ほどで私たちの生活に大きな変革をもたらしました。フィンテック関連の国内スタートアップやベンチャー企業はますます増加しており、イグジットを果たすなど成功事例も出ています。
そこでこの記事では、フィンテックを手掛ける国内スタートアップ・ベンチャー企業を厳選してご紹介します。フィンテックの基本的な概要も併せて解説するので、国内スタートアップへの投資をお考えの方や、これから起業を考えている方は参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年12月時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- フィンテックとは
- 金融サービスのフィンテックを手掛けるスタートアップ・ベンチャー
2-1 FOLIO
2-2 ペイルド
2-3 hokan - 生活サービスのフィンテックを手掛けるスタートアップ・ベンチャー
3-1 ファミリーテック
3-2 Kyash
3-3 Paidy - 業務支援のフィンテックを手掛けるスタートアップ・ベンチャー
4-1 TOKIUM
4-2 OLTA
4-3 メリービズ - まとめ
1 フィンテックとは
フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせてできた造語です。銀行や証券などの金融分野にIT技術を活用した新しいサービスなどを生み出す動きを指す言葉として使われています。
フィンテックに関連する新しいサービスの登場により、私たちの生活はより便利に変わってきています。例えば、スマートフォンやPCなどでお金の支払いや受け取りを可能とする電子決済サービスです。電子決済サービスでは、ネット上での買い物だけでなく、実店舗での買い物も現金やクレジットカードを持つことなくスマートフォン一つで行えます。
また、フィンテック関連のサービスによってお金の管理や運用、資金調達まで可能となるなど、インターネット環境とデバイスさえあれば、専門知識を要することなく誰でも利用できる環境になったこともフィンテックによる恩恵の一つです。
フィンテック事業を手掛けるスタートアップやベンチャーもm次々と登場しており、例えば、電子決済サービスのPayPayは、設立から5年ほどで6,000万人以上の登録ユーザー数を抱える企業に成長しています(※参照:PayPay「プレスリリース(2023年10月25日)」2023年10月4日時点)。
なお、フィンテックという言葉は最近よく耳にするようになりましたが、米国では2000年代前半から金融機関向けにサービスを提供するITベンダーの呼称として使用されていました。その後、リーマンショックなどの金融危機を経て、スマートフォンおよびSNSの普及、AIとビッグデータの活用など、ITと金融サービスを取り巻く環境は目まぐるしい発展を遂げており、今後もさらなる進化が期待されています。
2 金融サービスのフィンテックを手掛けるスタートアップ・ベンチャー
フィンテックを手掛ける国内スタートアップ・ベンチャーをご紹介します。まずは、証券など金融サービスを手掛ける企業から確認してみましょう。
2-1 FOLIO
株式会社FOLIOは2015年12月10に設立された資産運用サービスを手掛けるスタートアップです。FOLIOは誰もが当たり前に資産運用できる社会を目指し、「ROBOPRO」「おまかせ投資」などのロボアドバイザーを提供しています。
「ROBOPRO」は投資からリバランスなどを自動で行ってくれる運用支援サービスであり、AI投資で高い専門性を有するAlpacaTech株式会社から提供された資産データを用いて投資対象となる資産の配分比率を月に1度変更しながら運用できるのが特徴です。
一方、「おまかせ投資」は、投資家のプラン診断に応じて運用プランを選択することが可能なロボアドバイザーであり、投資家自身がリスク許容度に応じて投資プランを選択できるサービスとなっています。
FOLIOは2023年11月25日時点で運用資産残高1,000億円を突破するなど、今後も運用資産の増加と共に成長していくことが予想されている企業の一つです。
ROBOPRO(ロボプロ)
「ROBOPRO」は、AI活用によりインデックスを上回るパフォーマンスを目指すロボアドバイザーです。ROBOPROでは、資金運用のアルゴリズムにAIを利用し、マーケットの状況に合わせてポートフォリオを毎月組み替え、積極的に利益を狙っていく運用が行われます。
ロボアドバイザーは基本的に中長期の投資で着実に収益を作り上げていくという方針をとりますが、ROBOPROでは比較的短中期のトレンドに照準が定められています。他のロボアドバイザーにはない「短期収益も狙える」という特徴が注目されています。
【関連記事】ROBOPRO(ロボプロ)の評判は?メリット・デメリットや他社との違いを比較
2-2 ペイルド
株式会社ペイルドは、法人向け決済サービスの開発や運営を行う企業です。2017年8月9日にhandiiという社名で設立され、主力サービスであるクラウド型法人カード「paild」に合わせる形で2022年8月に現在の社名に変更しました。
クラウド型法人カード「paild」とは、あらゆる支出管理を効率化するプリペイド式のサービスです。与信審査なしにバーチャルカードとリアルカードの両方を発行できるため、創業間もない企業でも与信状態に関わらず法人カードを利用することが可能です。
カード決済後に届くメールに領収書の画像を添付して返信するだけで利用明細との紐づけや会計ソフトとの連携も可能なので、法人の経費精算業務の手間を大幅に省くことができます。
2023年3月からは請求書をAIが読み取り自動で振込支払の処理ができる「paild請求書払い」にも対応しており、今後も多様な法人向け決済サービスの展開が期待されています。
2-3 hokan
株式会社hokanは保険代理店向けクラウド型顧客・契約管理サービス「hokan」などを手掛ける企業です。2017年8月1日の設立以降、保険代理店を支援する様々なサービスを展開しています。
改正保険業法に伴い増加している事務処理を効率化するクラウドサービスの「hokan」は、コスト削減と監査効率の改善、精算業務の効率化などが可能なほか、「hokan CRM +」シリーズなども保険代理店の業務を支援するサービスとして活用されています。
また、hokan社は保険代理店の開業支援に向けた総合情報サイト「保険代理店開業.com」やInsurTech(保険×テクロノジー)に関する国内最大級の専門総合情報サイト「InsurTech Japan」などのメディアサービスも展開しており、保険業界のアップデートを目指した総合的な事業展開が進められています。
3 生活サービスのフィンテックを手掛けるスタートアップ・ベンチャー
次に、家計管理など生活サービスのフィンテックを手掛けるベンチャー企業をご紹介します。
3-1 ファミリーテック
ファミリーテック株式会社は2021年5月14日に設立された新興企業です。家族で使えるサービス、アカウント、決済の創出をミッションとしており、家族口座サービス「ファミリーバンク」や夫婦に最適なクレジットカードサービス「ファミリーカード」を手掛けています。
「ファミリーバンク」は、既存の銀行口座を家族口座として設定すると、チャージ機能や自動振り込みを利用した夫婦間での口座管理が可能になるサービスです。国内にあるほぼ全ての銀行口座を家族口座として設定することができ、口座名義人のクレジットカード(家族カード)発行や、アプリを利用した支出額や貯蓄額の管理などもできます。
一方、「ファミリーカード」は、1度の申し込みで夫婦2人分のクレジットカードを作れるサービスです。引落口座を1つの銀行口座に集約することでポイントや明細の管理などお金の管理を手軽に行えるのが特徴です。
3-2 Kyash
株式会社Kyashはウォレットアプリ「Kyash」の開発や運営などを手掛ける企業です。お金の管理も可能な新機能の提供を2023年11月16日に開始するなど、決済から管理まで行えるサービス「Kyash」を提供しています。
「Kyash」は、アプリをダウンロードして無料会員登録するとメールアドレスや電話番号だけでネットの支払いに使えるバーチャルカードが最短1分で発行可能です。あらかじめ利用する金額だけを銀行口座やコンビニから事前にチャージできる仕組みなので、使いすぎる心配も無く、Apple PayやGoogle Payに設定すると実店舗でのスマホ決済も可能になります。
また、VISAプリペイドカードの発行や、新機能として発表された家計簿機能によるリアルタイムでのお金の管理なども可能で、支払いから管理まで可能な決済サービスとなっています。
3-3 Paidy
株式会社Paidyは2008年3月13日に設立され、創業期はクラウドファンディングの一種であるソーシャルレンディング事業を手掛けていた企業です。2017年には現在のメイン事業であるEC向け後払い決済サービス「Paidy」を開始し、2021年10月13日には米国の決済大手ペイパル・ホールディングスによって買収が発表されました。
「Paidy」は、アマゾンジャパンや大手家電量販店などの加盟店舗で商品を購入する際、コンビニ支払いや銀行振込で代金をまとめて後払いできるサービスです。さらに、ペイディプラスに無料アップグレードすると、分割手数料無料やVISAのオンライン加盟店でもペイディを使用できる「ペイディカード」も利用可能になります。
4 業務支援のフィンテックを手掛けるスタートアップ・ベンチャー
最後に、企業の経理業務や資金調達などを支援するフィンテック企業をご紹介します。
4-1 TOKIUM
株式会社TOKIUMは2012年6月26日に設立された企業です。2022年3月31日に商号変更する前は、株式会社BEARTAILという社名で企業の経費精算システム「レシートポスト」や請求書受領クラウド「インボイスポスト」などのサービスを提供していました。
商号変更後は無駄な時間を減らして時を生むというコンセプトの下で法人の支出管理ブランド「TOKIUM(トキウム)」を新設し、これまで提供していた各サービスを「TOKIUM経費精算」や「TOKIUMインボイス」へとリニューアルしています。
TOKIUM経費精算は、領収書を写真撮影して原本を投函するだけで書類が自動データ化されるサービスであり、紙ベースでの書類保管が不要になるため、経費精算の手間を省くことができます。
請求書の受け取りから電子化することで手軽にペーパーレス化を実現できるクラウド型システム「TOKIUMインボイス」と併せて、経理業務の効率化を支援するサービスとして利用されています。
4-2 OLTA
OLTA株式会社は2017年4月14日に設立されたベンチャーです。デジタル化の進む社会で獲得できるあらゆる情報をテクノロジーの力で信用力に変換し、中小企業や小規模事業者の強みを最大化できる与信プラットフォームの構築を目指しており、法人や個人事業主が資金調達として利用できるクラウドファクタリングサービスを提供しています。
OLTAのクラウドファクタリングでは、入金されていない売掛金を即時に現金化することが可能です。これにより、金融機関などから借入をせず、運転資金の確保や資金繰りの改善を図れるため、中小事業者を資金面から支えるフィンテック関連サービスとして利用されています。
4-3 メリービズ
メリービズ株式会社は中小事業者の経理業務をアウトソースできる「バーチャル経理アシスタント」などのサービスを手掛ける企業です。会社の設立は2011年7月4日で、2012年3月に記帳代行サービスを開始してから中小事業者の経理業務に特化したサービスを提供しています。
バーチャル経理アシスタントは、仕訳入力から経費精算、月次決算、会計ソフトの導入などをオンラインで経理のプロにアウトソースできるサービスです。2022年6月にリリースされた経理に関するDXを推進する「メリービズ経理DX」と併せ、大小の規模を問わず様々な業種で導入されています。
まとめ
金融とIT技術を掛け合わせたフィンテック関連サービスの普及により、私たちの生活はここ10年でより便利になりました。
上記でご紹介した事例のように、比較的歴史の浅い創業間もないスタートアップやベンチャーでも、デジタル決済、オンライン融資、投資アプリなど斬新なアイデアやサービスなどにより大きな成長を遂げている企業もあります。
今後も様々なサービスを手掛けるフィンテック関連のスタートアップに注目してみてください。
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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