ふるさと納税は、自分が応援したい地方自治体に寄附を行うと、寄附先の自治体から返礼品を受け取れるほか、所得税・住民税が安くなります。
ただし、控除を受けるには寄附について確定申告が必要になることから、手続きが億劫だという理由で敬遠する方も少なくありません。
そこで今回はこれまで確定申告をしたことがない方でもわかるように、ふるさと納税後の確定申告の方法を解説していきます。
目次
- ふるさと納税とは
1-1.ふるさと納税で税金が戻ってくる
1-2.税金の還付には申告が必要
1-3.ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告不要! - ふるさと納税の確定申告方法
2-1.確定申告書を作成する
2-2.国税庁「確定申告書等作成コーナー」がおすすめ - まとめ
1 ふるさと納税とは?
ふるさと納税は、自分が応援したい地方自治体に寄附を行うと、納税で寄附した金額のうち2000円を超える部分が、所得税・住民税から控除される制度です。
1-1 ふるさと納税で税金が戻ってくる
例えば、A市に3万円寄附した場合、2000円を差し引いた28000円分が本来の税額から差し引かれます。その比率は、所得税分10%、住民税分90%となります※。
所得税については、会社員の方であれば給与から源泉徴収されていますが、寄附を行った年の源泉徴収済みの税金が申告により戻ってきます。
一方、住民税は還付で戻るのではなく、寄附を行った翌年の住民税課税額が少なくなります。
さきほどの例の場合、本来の税額から差し引かれる28000円のうち、10%の2800円が所得税の還付、残り90%の25200円は翌年の住民税課税額から差し引いてもらえます。なお、ふるさと納税額には上限が定められており、寄附を行う方の年収や家族構成により異なります。
自治体にもよりますが2000円の自己負担で地域の特産品などの返礼品を受け取れるため、寄附する側からみればお得な制度といえます。
※所得税分10%、住民税分90%の比率で税が控除されるのは「確定申告」を行った場合で、後述する「ワンストップ特例制度」を使う場合は、控除額すべてが住民税分となります。「確定申告」、「ワンストップ特例制度」のどちらを使っても、控除の総額はで同一。
1-2 税金の還付には申告が必要
ふるさと納税を利用して控除を受けるためには原則として確定申告する必要があります。
確定申告が必要な人とは
例えば、給与所得以外に所得のない会社員の方は、職場で年末調整を行うことで毎年の税額を確定しているため、通常は確定申告する必要はありません。
しかし給与の年間収入金額が2,000万円を超える会社員や給与所得・退職所得以外の所得(不動産所得など)の金額の合計額が20万円を超える方は、確定申告が義務付けられています(会社員で確定申告を行う必要がある場合の詳細は、国税庁のホームページで確認することができます)。
また、確定申告を義務付けられていなくても、医療費控除や住宅ローン控除を受ける際も確定申告が必要になります。
確定申告する期間
確定申告は、通常「1月11日~12月31日」の所得を翌年の「2月16日~3月15日」までに行う必要があります。
一方、ふるさと納税による還付申告は、期間が限定されず、3月15日を過ぎても受け付けてもらえます。その上、還付申告は過去5年分遡って行うことができます。
例えば、2018年の税金を還付してもらう場合、2023年末までに還付申告を行えば良いことになります。
1-3 ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告不要!
多くの会社員の方は、職場で年末調整を行うことで毎年の税額を確定しているため、自ら確定申告する必要がありません。そのため、「ふるさと納税を利用したからという理由だけで申告手続きを行うのは煩わしい」という声も少なくありませんでした。
そこで、確定申告をしなくても税金が戻ってくる「ワンストップ特例制度」が設けられました。これは、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附した自治体に送付することで税額控除が可能になる制度です。
ただし、ワンストップ特例制度を利用するには次のような条件があります。
ワンストップ特例制度が利用できる2つの条件
①寄附を行った自治体が1年間で5自治体以内であること | 同じ自治体に複数回の寄附を行っても、寄附を行った自治体数が1年間で5自治体以内であれば、特例制度の対象となる |
②同じ年の所得にかかる確定申告を行わないこと | ワンストップ特例制度の申請後に確定申告を行った場合は、申請が無効になる |
例えばワンストップ特例制度の申請後、同じ年の医療費が増えたことを理由に年明けに医療費控除の確定申告をした場合、ワンストップ特例制度の申請は無効になる(このケースでは、医療費控除の確定申告にふるさと納税の寄附控除も併せて記載する必要がある)
なお、同じ自治体に複数回の寄附を行った場合は、その都度申請が必要です。
また、申請期限は年明け早々となるため注意が必要です。例えば2018年分の申請用紙の場合、期限は2019年1月10日となります。
ワンストップ特例制度の送付書類
ワンストップと特例制度を利用するには次の書類を用意します。
①寄附金税額控除に係る申告特例申請書 | 申請書用紙は、寄附時に送付を申し込むか、後日自治体に連絡して送ってもらう |
②マイナンバーカード写し(両面)、または、通知カードかマイナンバー記載住民票のどちらか(写し)+本人確認書類(運転免許証・パスポートなどのどれか1つ・写し) | 必要書類は、寄附した自治体に提出する。提出は、持参、または郵送で行う必要があり、FAXやメールは不可(押印書類が必要) |
2 ふるさと納税の確定申告方法
それでは実際のふるさと納税の申告手順を見ていきましょう。
2-1 確定申告書を作成する
確定申告書を作成するには次の方法があります。
- 税務署で申告用紙を貰い、手書きで作成する
- パソコンで申告書の書式を設定し、自力で作成する
- パソコンで確定申告書作成ソフトを使い作成する
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成する
この中で最も簡単で便利なのが、④の「国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成する」です。③の確定申告書作成ソフトも便利ですが、購入経費がかかります。以降は無料でできる④の方法に沿って説明します。
2-2 国税庁「確定申告書等作成コーナー」がおすすめ
国税庁のホームページを開き、【確定申告書等作成コーナー】をクリックします。
次に【申告書・決算書・収支内訳書作成開始】をクリックします。
税務署への提出方法を選択します。ここでは、【書面提出】を選びます。
所得税の還付を受けるための申告書作成となるため、【所得税コーナーへ】をクリックします。
申告書様式は種類が分かれていますが、会社員の方で給与所得のみの場合や定年退職後で年金所得のみの場合は、左側の「給与・年金の方(給与・年金専用)」を選びます。
事業所得や不動産所得がある方は、中央の「左記以外の所得のある方(全ての所得対応)」を選びます。
ここでは、会社員の方を想定し、左側の【給与・年金の方(給与・年金専用)・作成開始】をクリックします。
申告書の作成を始める前に、事前に準備する書類や注意事項が示されるため、よく確認します。
ふるさと納税の確定申告で事前に準備しておくもの
- 給与所得の源泉徴収票(退職して年金受給の方は、公的年金の源泉徴収票
- 寄附した自治体から交付を受けた受領証
- 還付を受ける金融機関口座番号
- 印鑑(印鑑は、申告書に押印するために使用。実印や銀行印でない普通の認印でよい。ただしシャチハタではないもの)
- マイナンバー(マイナンバーカード、または通知カード、マイナンバー記載住民票。通知カード、マイナンバー記載住民票の場合は、運転免許証等の本人確認書類が必要)
必要書類を揃えたら申告書に上記書類の写しを貼付して提出します。
確認が済んだら、【次へ】をクリックします。
提出方法を選択し、申告者の生年月日を入力、【次へ】をクリックします。
所得の種類にチェックを入れ、【入力終了(次へ)】をクリックします。
給与所得の内容等を選択してチェックしたら、【入力終了(次へ)】をクリックします。
適用を受ける控除の選択画面で、寄附金控除にチェックを入れ、【入力終了(次へ)】をクリックします。
給与所得の源泉徴収票に基づき、「支払金額」、「所得控除の額の合計額」、「源泉徴収税額」を入力します。
入力が終わったら、【入力終了(次へ)】をクリックします。
「16歳未満扶養親族の数」、「住宅借入金等特別控除の額の内訳」、「国民年金保険料等の金額」について、該当する項目を入力します。
入力が終わったら、【入力終了(次へ)】をクリックします。
給与支払者の住所等を入力します。
入力が終わったら、【入力終了(次へ)】をクリックします。
入力した給与所得の内容を確認し、間違いがなければ【次へ】をクリックします。
「所得控除の入力」画面では、寄附金控除の欄の【入力する】をクリックし、金額を入力します。
「寄附金控除、政党等寄附金等特別控除の入力」画面に移り、「寄附年月日」を入力します。
「寄附金の種類」は、「都道府県、市区町村に対する寄附金(ふるさと納税など)」を選択します。
続けて、寄附金の種類(詳細)以下も入力し、終わったら、【入力終了(次へ)】をクリックします。
寄附金控除・所得控除について、入力内容の確認画面に移り、入力内容に間違いがないか確認します。
訂正の必要がある場合は、【訂正】をクリックして正しい額に直します。
最後に、住民税に関する必要事項・マイナンバー情報を入力すれば終了です。
完成した所得税の確定申告書では、ふるさと納税にかかる控除額は、「所得から差し引かれる金額」欄の「寄附金控除」に表示されます。
申告書は、最後に印刷メニューでプリントができます。
(注)上は、申告書の寄附金控除の欄(ブルーの部分)を示していますが、数値を入れていないため、「0」と表示されています。
実際に数値を入力すると、この欄に控除額が表示されます。
完成した確定申告書は、所轄の税務署に持参するか郵送します。なおe-Taxで送る場合は、はじめに「税務署への提出方法」を選択する必要があります。
3 まとめ
一般的な会社員の方のなかには、副業として株取引、FX、不動産投資などを行っている方も多くいます。そのため以前は、税務署で貰った申告書用紙に手書きで数字を入れ、電卓を使って計算して申告書を作り上げる必要があり、結構な手間と時間がかかりました。
しかし、「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、案内に従って該当する項目に数字を入力するだけで自動計算されるため、複雑な申告書でも比較的簡単に作ることができるようになりました。ふるさと納税を利用した方も時間と手間をかけることなく、所得税・住民税の控除を受けることができます。
「確定申告は面倒くさそう」と敬遠していた方も、本記事を参考にふるさと納税の確定申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか
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