ふるさと納税で利用されるNFTとは?「ふるさとCNP」など注目の事例を解説

今回は、ふるさと納税で利用されるNFTについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ふるさと納税とは
    1-1.ふるさと納税の概要
    1-2.ふるさと納税の返礼品
  2. NFTとは
    2-1.NFTの概要
    2-2.NFTの特徴
  3. ふるさと納税NFT:大阪府・泉佐野市
    3-1.プロジェクトの概要
    3-2.プロジェクトの特徴
  4. ふるさと納税NFT:北海道・余市町
    4-1.プロジェクトの概要
    4-2.プロジェクトの特徴
  5. 自治体様向けNFTパッケージ「ふるさとCNP」
    5-1.プロジェクトの概要
    5-2.プロジェクトの特徴
  6. まとめ

近年、ブロックチェーン技術を駆使したプロジェクトが次々に立ち上がる中、国内でも多くのNFT(非代替性トークン)がリリースされています。

そんな中、ふるさと納税の返礼品としてNFTが提供される企画も誕生しており、発売開始から短時間で完売したケースも報告されるなど、大きな反響を呼んでいます。そこで今回は、ふるさと納税で利用されているNFTについて、その概要や特徴などを詳しく解説していきます。

①ふるさと納税とは

1-1.ふるさと納税の概要

ふるさと納税とは、「納税」という言葉がついていますが、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。

日本では、多くの人が地方で生まれ、自身が所属する自治体から医療や教育をはじめとするさまざまな住民サービスを受けて育ちます。しかし進学や就職をきっかけとして生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。その結果、都会の自治体は税収を得ることができる一方で、自身が生まれ育ったふるさとの自治体には税収が入らないという状況が生まれてしまいます。

そこで、今は都会に住んでいるとしても、自分を育んでくれた「ふるさと」に対して、自分の意思で納税できる制度があってもよいのではないかという考えから、幾度の議論や検討を経て誕生したのが、ふるさと納税制度となっています。一般的に自治体に寄附をした場合は、確定申告を行うことによってその寄附金額の一部が所得税および住民税から控除されるようになっていますが、ふるさと納税においては原則として、自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。

ふるさと納税はインターネット上で簡単にできるようになっており、「楽天ふるさと納税」や「ふるなび」、「ふるさとチョイス」などをはじめとする各ポータルサイトからも申し込みが可能となっています。

1-2.ふるさと納税の返礼品

ふるさと納税の返礼品は自治体によってさまざまですが、主に下記のようなものが提供されています。

地域の特産品/電化製品/工芸品/感謝状、記念品/旅行、チケット/NFT

②NFTとは

2-1.NFTの概要

NFTとは、「Non-Fungible Token」の頭文字を取ったもので、日本語では「非代替性トークン」と訳されるものです。NFTは、ブロックチェーンを基盤にして作成された代替不可能なデジタルデータのことです。アート作品やゲーム内アイテム、音楽、トレーディングカード、仮想空間の土地などのデジタル作品や、不動産、会員権などあらゆる資産の所有権をデジタル上で証明できます。

これまでのデジタルデータは比較的簡単にコピーができてしまうことから、その所有権の所在が分かりにくいだけでなく、固有の価値を付けることが困難だとされてきました。そんな中、改ざん耐性の高いブロックチェーン基盤で発行されるNFTにより、デジタルデータに希少価値を付加することに成功しています。

パーミッションレス(許可不要)なブロックチェーン基盤で発行されるNFTは、イーサリアムなどの仮想通貨と同様に、自由に移転・取引することが可能です。ブロックチェーン上で流通したNFTは、ウォレットアドレスと取引・送付情報が記録されるため、誰から誰に所有が移ったのかの来歴を確認することもできます。

2-2.NFTの特徴

①誰もが作成や販売を行うことができる

NFTは誰もが作成や販売を行うことが可能で、ブロックチェーンについての難しい知識を有していなくても、問題なく取引することが可能です。

基本的には、「OpenSea(オープンシー)」をはじめとするNFTマーケットプレイスを利用し、自作のイラストなどをアップロードするだけで簡単にNFT化することができます。OpenSeaの利用にはMetamask(メタマスク)など仮想通貨ウォレットを用意し、トランザクション手数料(ガス代)を支払うETHなどの仮想通貨を保持する必要があります。

メタマスク(MetaMask)ウォレット上の使い方と注意点、盗難被害を防ぐには?

②さまざまな分野で活用できる

前述の通り、NFTは下記のようなさまざまな分野で活用が進んでいます。

ゲーム/アート/コレクターズアイテム/スポーツ/ファッション/不動産/オンラインチケット/会員証/担保ローン/ツイート

③二次流通で報酬を獲得できる

従来のデジタルデータは二次流通、つまり転売されたとしても、クリエイターに報酬が入ることはありませんでしたが、NFTでは二次流通の際にクリエイターへ報酬が入る仕組みを設定することが可能です。基本的には、取引額の数%が還元されるかたちとなるため、クリエイターは長期的に継続して利益を得ることが可能です。

③ふるさと納税NFT:大阪府・泉佐野市

ここからは、実際にふるさと納税の返礼品として利用されているNFTについて、詳しく解説していきます。まずは、大阪府・泉佐野市の「いずみさのNFT」について、解説していきます。

3-1.プロジェクトの概要

Izumisa
「いずみさのNFT」とは、日本発のNFTプロジェクト「Kawaii Girl」の作者である「Ame-Chan」が、大阪府・泉佐野市をテーマに描いたジェネレーティブアート作品のことを指します。

22年7月27日にリリースされたばかりのいずみさのNFTは、泉佐野市の観光名所として知られる恋人の聖地「LOVE RINKu」をPRすることを目的としたアート作品となっており、いくつかのパーツで構成された、風景や登場人物などがそれぞれ異なる組み合わせのNFT計50種類で構成されています。

なお、泉佐野市はこのいずみさのNFTがリリースされた後の22年8月13日から28日に開催された、メタバース上で行われる世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット2022 Summer」において、自治体・行政機関としてふるさと納税を主体とする初のブース出展を果たしています。

3-2.プロジェクトの特徴

①ふるさと納税第一位を誇る泉佐野市で提供されている

泉佐野市はふるさと納税3年連続日本第一位であるほか、累計寄付受入額は計1,000億円を突破し日本第一位という輝かしい実績を誇っていますが、いずみさのNFTはこのふるさと納税の返礼品として提供されています。具体的には、泉佐野市ふるさと納税特設サイト「さのちょく」において、寄附金額12万円に対してNFTが1点限定で付与されるかたちとなっています。

②「Ame-chan」がデザインを手がけている

前述の通り、いずみさのNFTはNFTアーティストである「Ame-chan」がデザインを手がけています。Ame-chanは「Kawaii Girl NFT」という日本のコレクティブルNFTプロジェクトの創設者兼イラストレーターであり、「Kawaii」女の子を特徴的なのやさしいタッチで描いたNFT作品は国内外において高い人気を集めています。

④ふるさと納税NFT:北海道・余市町

4-1.プロジェクトの概要

Yoichi Mini
「Yoichi Mini Collectible Collection No.1」とは、22年5月7日に提供がスタートされたNFTアート作品で、北海道・余市町のふるさと納税の返礼品として付与されました。

Yoichi Mini Collectible Collection No.1は北海道・余市町および「NFTによる地方創生」を進める「株式会社あるやうむ」、国内最大級のふるさと納税総合サイトである「ふるさとチョイス」を手がける「株式会社トラストバンク」によって展開されているプロジェクトで、パブリックチェーン「Polygon(ポリゴン)」を用いて提供されています。

NFT作品は、いくつかのパーツを組み合わせて構成される「ミニコレクティブルNFT」として制作されており、白や赤、スパークリングといった余市町のワインの種類のほか、背景や登場人物などがそれぞれ異なる組み合わせを持った計54種類で構成されています。このNFTは1枚あたり12万円の寄付額で受け付けられましたが、予約受付スタートからたった2時間ほどでおよそ100名の方からの予約を受けるなど、大きな反響がありました。

4-2.プロジェクトの特徴

①余市町の特産品として知られるワインをモチーフにしている

余市町はワインぶどう産地として全国トップクラスの生産量を誇っていますが、Yoichi Mini Collectible Collection No.1はそんな余市町の特産品であるワインをモチーフに制作されています。

余市町長である齊藤啓輔氏は、NFT業界および余市町のワイン業界はすでに全国的且つ世界的なマーケットではあるものの、まだまだポテンシャルを秘めているとしており、今回のNFTプロジェクトがそのポテンシャルを引き出す一つのきっかけとなればと語っています。

②「Poki」がデザインを手がけている

Yoichi Mini Collectible Collection No.1はNFTクリエイターである「Poki」がデザインを手がけています。Pokiは北海道出身のNFTクリエイターで、今回のNFT作品について、余市町の魅力を損なわないように、シンプルに仕上げたと説明しています。また、背景にもワインに関連したデザインが施されているなど、イラスト全体で余市町を感じてほしいと語っています。

⑤自治体様向けNFTパッケージ「ふるさとCNP」

5-1.プロジェクトの概要

CNP
「ふるさとCNP」とは、前述したあるやうむ社と、CNPの運営を手がける「株式会社バケット」が共同で制作を行ったプロジェクトで、自治体がふるさと納税の返礼品として、「CryotoNinja Partners(クリプトニンジャ・パートナーズ)」のキャラクターをモチーフにしたNFTを簡単に発行できる取り組みのことを指します。

CryptoNinja Partners(クリプトニンジャ・パートナーズ:CNP)」の概要と特徴【注目のNFT】

CryotoNinja Partnersは有名インフルエンサーであるイケハヤ氏とリツ氏によって手がけられた、国内最大規模のジェネラティブNFTコレクションとして知られており、22年5月15日のリリースからたったの2時間足らずという早さで完売した、大人気コレクションとなっています。

第一弾:北海道・余市町

ふるさとCNPは取り組みの第一弾として、22年10月28日より北海道・余市町のふるさと納税の返礼品として、「余市町ふるさとCNP2022」の提供を開始しました。余市町ふるさとCNP2022では、全222種類のNFTが寄付金額3万円で提供されましたが、発売開始から数分後には受付が終了となるなど、「NFT×ふるさと納税」というモデルの可能性を大きく示す結果となりました。

CNP22

太子町・長岡京市ふるさとCNP2022

また、22年11月25日からは大阪府・太子町と京都府・長岡京市が、ふるさと納税の返礼品として「太子町ふるさとCNP2022」および「長岡京市ふるさとCNP2022」の提供をスタートすることも発表されています。

この取り組みは西日本において初の事例だということで大きな注目が集まっており、今回も余市町ふるさとCNP2022と同様、あるやうむが展開する独自のポータルサイト「ふるさと納税NFT β版」において、全222種類のNFTが寄付金額3万円で提供されるということです。太子町ふるさとCNP2022では、太子町で有名な「太子最中」や「太子みかんソース」、「小野妹子の墓」や「竹内街道」、「二上山」をモチーフにしたNFTアートを作成するということで、メインキャラクターにはCryptoNinja Partnersの人気キャラクター「ナルカミ」を採用することが発表されています。またこのほかにも、太子町を訪れることによってNFTのレベルを上げることができる仕掛けも導入する予定だということです。

一方、長岡京市ふるさとCNP2022では、長岡京市で有名な「キリシマツツジ」や「たけのこマカロン」、「メジロ」や「勝竜寺城公園」、「花手水」や「竹林」をモチーフにしたNFTアートを作成するということで、メインキャラクターにはCryptoNinja Partnersの人気キャラクター「ミタマ」を採用することが明らかになっています。また、太子町と同様、NFTホルダーは長岡京市を訪れることによってNFTのレベルを上げることができる仕掛けも導入する予定だということです。

ふるさとCNPは今回の取り組みについて、仮想通貨を必要としない日本円を用いた寄付により、NFTやCryptoNinja Partnersをよりカジュアルに体験しつつ、太子町や長岡京市の魅力を存分に満喫できる仕掛けを施していると説明しています。

5-2.プロジェクトの特徴

①CryptoNinja Partnersとあるやうむの強力タッグ

前述の通り、CryptoNinja Partnersは日本で最も人気の高いNFTコレクションの一つとなっており、国内においてトップのホルダー数を誇っています。

今回のプロジェクトは、そんなCryptoNinja Partnersと、「ふるさと納税×NFT」分野のパイオニア的存在である「あるやうむ」が共同で開発を行っているとして、業界からは大きな注目を集めています。

なお、あるやうむは「ふるさと納税×NFT」のサービスを提供することによって、応援され続ける地域づくりをサポートすることに尽力しており、NFT返礼品に特化したポータルサイトである「ふるさと納税NFT」の開発も手がけています。

②自治体が「ふるさと納税×NFT」を簡単に提供できる

自治体はふるさとCNPに参加することによって、「ふるさと納税×NFT」を簡単に提供することが可能です。

具体的には、CryptoNinja Partnersのクリエイターが、それぞれの自治体における地域の景色や特産品をイラスト化し、CryptoNinja Partnersのキャラクターと組み合わせたオリジナルデザインを作成します。

そして、寄付に関しては、ポータルサイト「ふるさと納税NFT」にて受け付けを行い、あるやうむが返礼品NFTの発行および送付までを管理するかたちとなります。

このように、ふるさとCNPに参加することによって、自治体はCryptoNinja Partnersホルダーに対してだけでなく、NFTに関心がある幅広い層に対して、地域の魅力を最大限にアプローチできるようになるということです。また、CryptoNinja Partnersのキャラクターを活用することによって、自治体における「関係人口」の創出および拡大にもつなげていきたいと語っています。

⑥まとめ

ふるさと納税は自分の意思で好きな都道府県や市町村に納税できることから、現在多くの自治体で広く利用されています。昨今ではNFTを返礼品として提供する自治体が増えてきており、人気コンテンツやクリエイターのコラボなども相まって大きな人気を博しています。また、一部ではその自治体を訪れることによってNFTのレベル上げができる仕掛けも導入予定となっているなど、ゲーム的な要素も追加されていくと発表されているため、興味のある方は支援したい自治体や手に入れたいNFTアートを見つけ、ふるさと納税の返礼品として自分だけのNFTを受け取ってみてはいかがでしょうか。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12