不動産投資の目的には、相続対策や、家賃収入を得ること、所得税の控除などがあり、目的によって投資の進め方や購入する物件、リスクとリターンのバランス調整など、それぞれ違いが生じてきます。
不動産投資を行う目的を始めに設定しておくことで、どのような点に注意すべきなのか、どのような物件を探せばよいのか、迷った際の判断基準にもなります。まずは投資の目的を明確化し、自身の目的に合わせて投資戦略を立てることが重要です。
本記事では、不動産投資の目的達成のために意識したいポイントについて、目的ごとに分けて解説します。
目次
- 不動産投資では目的に合わせてポイントを意識する
- 目的別の不動産投資のポイント
2-1.相続対策
2-2.長期的な家賃収入
2-3.家賃収入をメインとした資産形成
2-4.損益通算による所得税の減額 - まとめ
1.不動産投資では目的に合わせてポイントを意識する
不動産投資はその目的によって、意識するポイントが異なります。
例えば、相続対策として不動産投資を行う場合、家賃収入の利回りは低くても、資産価値が高く価格下落リスクも低い投資をすることがポイントになります。
一方、家賃収入をメインとした資産形成を目的とする場合、リスクとリターンのバランスを調整しながら、家賃収入の利回りが高い物件を選択していく戦略も考えられます。
このように、不動産投資の目的によって、選ぶべき物件のタイプが大きく変わることになります。まずは投資の目的を明確化し、自身の目的に合わせて投資戦略を立て、投資対象となる物件を探すことが重要と言えるでしょう。
2.目的別の不動産投資のポイント
不動産投資の目的を下記の4つに分けて、それぞれのケースで意識したいポイントを説明します。
- 相続対策
- 長期的な家賃収入
- 家賃収入をメインとした資産形成
- 損益通算による所得税の減額
相続対策は、主に相続税の減額などを目的として行う場合になります。また、同じ家賃収入を目的とする場合であっても、老後の収入として長期的に収入を得たいのか、投資効率を上げてできる限り収入を増やして資産形成をしていきたいのか、でポイントも異なります。
また、給与収入の多い人が所得税を減額する目的で不動産投資を行う場合もあります。それぞれ目的別に合わせたポイント、注意点について見て行きましょう。
2-1.相続対策
不動産は相続税の課税基準となる資産評価額が、市場価格よりも低くなる傾向があることを利用し、現金のまま相続した場合よりも結果的に相続税を減額できるケースがあります。
この場合、不動産に投資した資金を目減りさせないことが重要であるため、利回りが低くても立地が良く、資産価値が下落しにくい物件を選ぶことがポイントになります。
土地を元々所有しているケースでの相続対策では、土地に投資用建物を建てて他人に貸し出すことで、その土地の相続税評価額が大きく下落し、相続税を減額できることがあります。このような目的の不動産投資の場合、建物に投資した分の資金を家賃収入で回収できるかが一つの目安になるでしょう。
また、不動産は相続時に分割しにくく、納税しにくいことが問題となります。相続人同士のトラブルが起きないよう、遺言を残しておいたり、納税資金を確保しておいたりすることもポイントになるといえます。
2-2.長期的な家賃収入
長期的に家賃収入を得るために不動産投資を行う場合、賃貸需要が多く、人口も増加傾向にあるエリアの物件を選ぶことがポイントになります。
ただし、いずれの場合にも、築年数が経過すると家賃収入の相場が下がり、物件の需要も落ちてくることに注意する必要があります。
長期的な家賃収入を得ることが目的であっても、一度購入したらそのまま持ち続けるだけでなく、リノベーションや場合によっては資産の組み換えなど、柔軟な投資判断を怠らない姿勢が大切であるといえます。
2-3.家賃収入をメインとした資産形成
家賃収入をメインとしてできる限り収入を増やし、資産を大きく形成していきたい、という場合もあります。
このような場合、家賃収入の利回りが高い物件を選ぶことになります。また、自己資金のみならずローンに頼ることになるため、金融機関の担保評価が高い物件を選ぶことも重要でしょう。
また、利回りが高い物件は築古物件であったり、空室が増えていたりなどリスクが高くなる傾向にあります。築古であれば修繕費はどれぐらいになる可能性があるか、リスクを慎重に見積もって投資を行うことがポイントになるでしょう。
2-4.損益通算による所得税の減額
給与収入の多い人が損益通算により所得税を減額する目的で不動産投資を行う場合もあります。
損益通算とは、所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
不動産投資においては、不動産所得で減価償却費により赤字を出し、その赤字を給与所得と損益通算して総合的な課税所得を減らすという仕組みになります。
このようなケースでは、減価償却費に計上できる建物価格の割合が大きい、区分マンションが向いていると言えるでしょう。ただし、区分マンションは、築浅で購入すると値下がり率が高く、控除できる金額を超えて投資利益がマイナスになるケースがあります。
減価償却費を損益通算して所得税を控除する目的であっても、不動産投資の収益は家賃収入から生まれています。購入前に綿密なシミュレーションを行い、投資で得られる利益をベースに検討することが大切です。
まとめ
不動産投資では、相続対策や所得税の控除、家賃収入を長期的に得たいのか、資産形成に利用したいのか、などの目的によってそれを達成するために意識するポイントが異なります。
相続対策や長期的な家賃収入を目的とする場合は、不動産投資のリスクの低さを重視した投資といえるため、リスクの低い物件選びが最大のポイントといえるでしょう。
また、投資効率を高めて家賃収入によって資産形成を目指す場合は、リスクとリターンのバランスを調整することが重要になります。
不動産は物件のタイプによってメリットとデメリットがあります。まずは投資の目的を明確化し、優先順位を立て、慎重に検討してみましょう。
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佐藤 永一郎
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