不動産投資の中には、1万円から数10万円の少額資金から始めることができるものもあります。少額の現金から始めることができる不動産投資は、ハードルが低いだけでなく、その分失敗したときのリスクも低いため、初心者が取り組みやすい投資方法です。
しかし、比較的に少額で投資可能とは言えリスクがあるため、投資先は慎重に選ぶことが重要です。投資対象によって期待できるリターンやリスク、注意点が異なってくるので、大まかに違いを理解しておくと良いでしょう。
この記事では、不動産投資を小さく始める方法について、初心者向けの手順や注意点を解説します。
目次
- 不動産投資を小さく始める方法
- 不動産投資信託(REIT)
2-1.不動産投資信託(REIT)投資を始める手順
2-2.不動産投資信託(REIT)の注意点 - 不動産小口化商品・不動産投資型クラウドファンディング
3-1.不動産投資型クラウドファンディングを始める手順
3-2.不動産投資型クラウドファンディングの注意点 - 少額収益物件(区分マンションなど)への投資
4-1.少額収益物件の投資を始める手順
4-2.少額収益物件の注意点 - まとめ
1.不動産投資を小さく始める方法
収益物件を購入して始める不動産投資には、通常、数百万円から1,000万円程度の現金が必要になることが多いといえます。しかし、少額資金から小さく始める方法もあります。代表的なものに次のような方法があります。
- 不動産投資信託(REIT)
- 不動産小口化商品・不動産投資型クラウドファンディング
- 少額収益物件(区分マンションなど)への投資
不動産投資信託は1口1~数10万円程度から購入できます。不動産小口化商品・不動産クラウドファンディングも1口数万円程度から購入できるものが多く、実物の不動産を所有する場合と比較して非常に少ない資金で投資可能となっています。
少額収益物件への投資の中には数10万円の頭金で始められるものもありますが、基本的には不動産投資ローンを組むことになります。
2.不動産投資信託(REIT)
不動産投資信託は、資金を不動産に投資して運用するために組成された投資法人の投資証券です。
投資法人は、証券の発行によって投資家から資金を集め、金融機関から資金を調達して、不動産を購入し、賃貸料収益や売却収益を上げて運用します。投資家には、その運用益を投資証券の分配金として分配します。
証券市場に上場している不動産投資信託は、投資信託を解約することなく、市場で売買することができます。証券会社を通じて手軽に売買ができるため、少額から始めて、不動産投資について学ぶ1つのきっかけとしても人気があります。
例えば実物不動産投資の場合、不動産を売却するまでに早くとも3ヶ月ほどかかり、すぐに現金化しづらいという点はデメリットです。不動産投資をやめたい、もしくは異なる不動産に買い替えたいといった場合のハードルが高いという特徴があり、初心者の方が不動産投資を始めづらい一つのハードルとなっています。
上場不動産投資信託では、すぐに市場を通じて売買ができるため、このようなデメリットはありません。少額資金から不動産市場への投資を気軽に行いたい場合にはメリットが大きいと言えます。
2-1.不動産投資信託(REIT)投資を始める手順
- 投資対象のREITを選ぶ
- 証券会社の口座を開設する
- 証券会社の口座から選定したREITを購入する
- 必要に応じてポートフォリオを見直す
- 配当金や売却益の確定申告(特定口座の場合は原則不要)
不動産投資信託は投資証券であるため、通常の投資手順としては証券会社を通じて購入、売却することになります。1口1~数10万円程度から購入可能です。
まず、証券会社に証券口座を開設します。インターネット証券会社の口座でも取引可能で、投資したい不動産投資信託を選んで購入することになります。投資したい個別の不動産投資信託が見付からない場合、複数の不動産投資信託銘柄に分散投資ができる上場投資信託(ETF)などもあります。
不動産投資信託(REIT)が購入できる主なネット証券
2-2.不動産投資信託(REIT)の注意点
不動産投資信託は、上場されて売買取引が盛んであるため、市場の影響を受けやすく、取引価格の変動度合が大きい傾向があり、注意が必要です。
また、不動産投資信託は、投資対象の不動産選択などの運用を専門家に一任する商品であり、投資家の意思を反映する余地はありません。投資したい具体的な不動産がある場合や、自身で運営・管理を行いたい場合には不向きな投資方法となります。
【関連記事】REIT(リート)の始め方は?初心者でも分かる投資手順や銘柄選びを解説
3.不動産小口化商品・不動産投資型クラウドファンディング
不動産特小口化商品は、不動産特定共同事業法に基づいて小口資金を投資家から募り、その資金を事業者が不動産事業に投資・運用し、得られた収益を投資家に分配する仕組みです。
運用の方法や投資家との契約形式の種類によって、任意組合型、匿名組合型、賃貸借型に分かれます。不動産クラウドファンディングも、不動産特定共同事業法に基づいておこなわれる不動産小口化商品の一つです。
上場REITとの大きな違いは、証券会社での売買ではなく、個別の事業者ごとで組成されるファンドに投資する仕組みであるという点です。一部のサービスを除いて、基本的に売買や譲渡ができず、あらかじめ定められた期間は保有し続けることになります。
一方で上場していないため価格がついておらず、不動産運用の利益は分配金として事業者から収益を分配されます。つまり、REITのように経済トレンドの影響を過敏に受け取らないため、キャピタルロスのリスクがありません。
また、REITでは複数の不動産への投資案件をまとめていたり、投資規模が大きいものが主流となっていますが、不動産クラウドファンディングでは区分マンションや戸建てなどの小ぶりなものから、物流不動産やホテル、商業施設などの大型のものまで豊富な種類の不動産へ個別に投資することができます。
3-1.不動産投資型クラウドファンディングを始める手順
- 不動産投資型クラウドファンディングのサービスを選び口座開設
- 案件・ファンドを選択し、出資
- 案件の終了(分配)まで待つ
不動産投資型クラウドファンディングの場合、インターネット上で投資家を募ることが前提になっているため、基本的にはオンライン契約となります。契約後、出資金にかかるお支払い手続きを行い、契約に基づいて、分配金が振込まれます。
不動産投資型クラウドファンディングを提供するサービスには様々な種類がありますが、投資対象が実物資産となるため、エリアや物件のタイプ、想定利回りなどから総合的に判断して利用するサービスを選ぶと良いでしょう。
サービス名 | 主な特徴 |
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【関連記事】不動産投資型クラウドファンディングを選ぶポイントは?注目の10社を紹介
3-2.不動産投資型クラウドファンディングの注意点
一部の不動産投資型クラウドファンディングを除き、基本的には運用期間中の解約ができないという点に注意が必要です。案件によって数か月~3年程度の運用期間が定められており、この期間中は投資した資金を引き出すことが出来なくなります。少額から投資可能なため、余裕資金で投資を検討されてみると良いでしょう。
また、人気のファンドには応募が殺到し抽選や先着順などの制限によって投資機会を得られないことがあります。あらかじめプラットフォームへの投資家登録を済ませておき、募集開始したタイミングで投資検討できるように準備しておくことも重要なポイントです。
なお、REITと同じく直接投資家が不動産を所有するわけではないため、運営や管理の方針に投資家の意向を反映させることはできません。投資時点で案件ごとの物件情報を比較し、慎重に判断しましょう。
4.少額収益物件(区分マンションなど)への投資
現物の収益物件の中には、少額の現金から購入できるものもあります。また、不動産投資ローンを活用することで2,000~3,000万円の区分マンションであれば数百万円程度の頭金から始められたり、共同担保やダブルローンを組めば、10万円などの自己資金で投資を開始できるケースもあります。
区分マンション投資や戸建て投資は、収益用の区分マンションや戸建てを現物で購入し、投資家自身で収益物件の管理・運営の責任を負って運用していくことになります。実際に不動産を所有できるため、修繕費や減価償却費を経費として計上できたる税制上のメリットや、経営方針をある程度は所有者の自由にできるといったメリットがあります。
4-1.少額収益物件の投資を始める手順
- 不動産会社やポータルサイトから物件情報の収集
- 買付(購入の申し込み)
- ローンの事前審査
- 売買契約・金消契約
- 物件の引き渡し
収益用の区分マンションや戸建てを取り扱う不動産業者に問い合わせるなどして、収益物件を探します。購入対象の収益物件が見付かったら、売買契約を締結します。購入にあたっては、物件価格の1割~3割程度の頭金を準備し、不動産投資ローンを組むことになります。
売買契約の締結後、収益物件の引渡しまでは1カ月程度かかることがあります。収益物件の購入後は、収益物件の管理・運営を投資家が自分でおこなうことが前提となり、入居者対応、入退去業務、物件の修繕など、様々な業務を投資家が自己の責任においておこないます。
実際の業務は管理会社に委託することができますが、家賃の設定や売却のタイミングなどはオーナー自らが判断することになります。なお、売却する際は不動産会社に仲介を依頼して、現物の不動産市場で売却することになります。
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4-2.少額収益物件の注意点
収益物件に関する投資判断、運用中の管理・運営に関する判断のすべてを、投資家が自己の責任においておこなうことが必要になります。
特に、収益物件の収益性に関する判断は個別性や地域性も高く、様々な要因が複合的に絡んでおり、難しいことが多いので注意しましょう。収益物件で賃貸料収入を得るには、管理・運営の手間がかかることも念頭に置いておきましょう。
また、頭金が数十万円~数百万円の拠出であっても、不動産投資ローンの返済責任を負うことになります。返済スケジュールに問題が無いか、家賃収入が下がった場合でもキャッシュフローに問題がないか、慎重に判断することが大切です。
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まとめ
不動産投資を小さく始める方法には、主に不動産投資信託、不動産小口化商品(不動産投資型クラウドファンディング)、少額収益物件への投資の3つの方法があります。
不動産投資信託は証券会社に口座開設をして、証券市場を通して売買します。実際に不動産を所有しているわけではないため運用の手間が無い反面、原則として事業運営に対して影響を与えることが出来ないという特徴があります。
不動産小口化商品は不動産特定共同事業法に基づいておこなう、不特定多数の投資家向けの商品で、不動産投資型クラウドファンディングが代表的です。こちらも所有権を持たない契約形態が大半となるため自由度は低いと言えますが、様々なプラットフォームから個別の物件を選択しやすい点はメリットです。
少額収益物件への投資は、投資家が収益物件のオーナーとなって、自ら運用する方法です。区分マンションや戸建て投資であれば、数10万円の頭金から投資をおこなうことも可能です。ただし、管理・運営業務のすべてを投資家が責任を負う必要があり、不動産投資ローンの返済責任を負うことになります。
それぞれの方法の注意点を踏まえ、リスクを理解したうえで個別事情に適した投資をおこなうことを検討してみましょう。
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佐藤 永一郎
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